私が死んだらスマホはどうなる?携帯を見られるのに抵抗がある人必見
2021年現在、携帯電話やスマートフォンの世帯保有率は97%にも達していますから、所有していない人を見つける方が難しいかもしれません。
携帯電話やスマホだけでなく、パソコンやタブレットなどのデジタル機器も保有率が大変高いので、誰もが何らかのデジタル機器を持っていると考えて間違いないでしょう。
デジタル機器を持っていて当たり前の時代ですから、機器に何らかのデータを保存しているはずで、機器の中身であるデジタル遺品の処理と相続に無関係という人も ほとんど見当たらないということです。
スマホのパスワードロック解除は難攻不落!?
特にスマホは肌身離さず持っているとか、常に手元に置いていることが多いですから、故人の携帯電話が見つからない!ということはほとんどないかもしれませんが、

スマホのパスワードロック解除ができない!
…と頭を抱えるケースは頻発しています。

スマホのパスワードロックは非常に強固です。
2021年現在、iPhoneは連続10回の入力ミスにより初期化される設定になっているということで、手当たり次第に思いついたパスワードを入力してエラーが続くと さらに収拾がつかないとになります。

プロに頼めば何とかなるだろう。
…と高をくくるのも危険です。スマホの場合はプロでも絶対に解除できるわけではありませんし、現時点のデータ復旧会社ではスマートフォンは受け付けてくれないところがほとんどだということです。
スマホのパスワードロックはそこらへんの金庫よりもはるかに上を行くレベルの強固さを誇ることを まず念頭に入れておく必要があります。
スマホのロック解除は難しいが 隠したいデータを隠し通すのも難しい
かなり難しいとはいっても、スマホのパスワードロックが絶対に不可能と決まったわけではありません。
現状は難攻不落とも思えるスマホのパスワードロックでも かなりのお金と時間を投入することが可能ならばどうにかなるケースもあります。
絶対ではないにしても、お金と時間をどこまでかけられるかに左右される…これは一般人には難しい選択肢ですが。
2021年現在、スマホのパスワードロック解除の成功報酬は20~50万円程度かかるのはあたりまえ。もっと時間がかかればこんなものでは済まないと思われます。
現状を見ると

スマホのパスワードを家族に知らせておかない方が 自分的には好都合だな。
…と考える人もいるかもしれませんが、年々テクノロジーは進化し続けていますから、それがいつまで通用するかも未知数ですよね。
ともあれ、隠したいものをなかなか隠し通せるものではない…と肝に銘じておく必要はあるでしょう。
故人のスマホにログインして中身を確認する前に注意すべきこと
故人のスマホのロックが解除できたとしても、独断でそのままログインして中身を確認すると 後々トラブルになることがありますので注意が必要です。
故人のスマホの確認には相続人全員の合意を得ておく必要がある
スマホには故人の財産情報がたくさん詰まっていることがあり、それらには相続に関わるものも含まれますから、一存で勝手にスマホの中身を確認するのはまずいです。
必ず事前に相続人全員の合意を得てからロック解除と中身の確認を行うことが鉄則です。
勝手にスマホを見ただけで 何もしていないのにも関わらず

あいつはなにか不正行為を働いたのではないか!?
…などと言われては たまったものではありませんよね。
それがもとで争族に発展する可能性もあります。痛くない腹を探られることさえあり得ます。
故人のものを動かす時には必ず相続人全員に ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)をすることを怠ってはいけません。
オンラインで故人のアプリにログインしてはいけない
利用規約にユーザーアカウントの一身専属性の規定を謳っているアプリの場合、ユーザーの死後にアプリにログインすることが規約違反になることがあります。
場合によってはトラブルに発展することがありますので、オンラインで勝手にログインすることにも注意が必要です。
故人のスマホにログインできたら確認する内容は?
スマートフォンにログインしたものの何が出てくるかわからないなど 手探り状態で調べなければいけない場合は、まずはメールの履歴から見ていくといいでしょう。
メールを確認していくことで どんな金融機関を使っていたのかや、キャッシュレス決済サービスの利用の有無などが確認できるかもしれません。
金融・財産・決済に関する内容を見つけだす
資産管理・金融機関アプリ…ネットバンク、ネット証券口座など
キャッシュレス決済サービス…ペイペイ、モバイルSuica ほか
サブスクリプションサービス利用の有無の確認
交友関係に関する内容をみつけだす
電話帳
SNS系アプリ
メール履歴のチェック
その他
写真
業務系アプリ
その他のアプリ
故人のスマホにログインできなかったらバックアップを調べてみる
スマートフォンには自動でバックアップデータを取る仕組みがあるので、外部にデータのコピーが残っている場合があります。
それを使えば、故人が亡くなる直前までのデータが残っているとすれば そこから情報をたどれます。
どうしてもスマホのロック解除ができない時にはマイクロSDカードなどからデータを探してみる方法もあります。
故人がクラウドサービスを利用していたなら、スマホと一緒に使っていたパソコンからアクセスできることもあります。
iPhoneの場合はiCloudに、パソコンユーザーならiTunes(Windows) Finder(Mac)にバックアップを取っていることもありますので、あらゆる可能性を考えながら調べていくといいでしょう。
【デジタル遺品の生前整理】Apple IDのデジタル遺産プログラムでデータを誰かに託す
これはApple ID独自のサービスですが、Apple IDの所有者が亡くなった時に iCloud上のデータを生前に指定した相手に託せます。
Googleが提供している「Googleアカウント無効化管理ツール」と同じような機能です。
Googleアカウント無効化管理ツールは生前にアカウント所有者があらかじめ設定しておけるのですが、appleのデジタル遺産プログラムは、データを託される相手がappleに申請して初めて稼働するものですから、申請されなければ始まりません(←2021年時点では)
自動的に稼働するものではないため、託したい相手にきちんとその旨を伝えておいて、没後に手続きをしてもらう必要があります。
故人のスマホ内のデジタル遺品や履歴を隠す方法は?
スマートフォンの中にあるデータがオフラインであれば、非公開のファイルや隠しフォルダーにデータを格納しておけば、見つかる可能性は低くなります。これも「絶対」ではありませんが。
故人のオンラインデータが隠せるかどうかはケースバイケース
オンラインの場合は、snsのアカウントが匿名だったり、そのアカウントで友人・知人と接触していなければ、家族に見つかったり見破られたりする可能性は低いと考えられます。
もしsnsを知る友人・知人がいるなら家族への口止めをお願いしておくなどの対策をあらかじめ講じておく必要があるでしょう。
ネットショッピングの購入履歴は削除・非表示にできない!?
ネットショッピングについては 故人の過去の購入履歴を見られるかもしれないことは念頭に置いておく方がいいでしょう。
しかし一般的に遺族が気にするのは 月額課金されているサービスに加入したままになっているかどうか。

サブスクリプションサービスに加入したまま放っておくと毎月お金が引き落とされてしまう!早めに退会や解除をしなければ!
…という点が真っ先に知りたい部分のはずです。
そのため 遺族が「この人は今まで何を買ってたのかしら?」にフォーカスするケースは少ないのではないか…と思います(可能性ゼロではないですが)
購入履歴を非表示にしたり削除したりできるかどうかはサイトにより異なりますので、サイトの運営に直接問い合わせたり ネットで調べてみてください。
ちなみに楽天市場では購入履歴は削除も非表示もできないようです。
引用元:楽天市場
Amazonの「注文履歴」(購入履歴)は、スマートフォンのAmazonアプリでは非表示にすることはできません。しかし、ユーザーが繰り返し購入している商品や、日用品や食品などの消耗品がピックアップされる「再び購入」では、商品リストを編集して特定の「おすすめ商品」を非表示にすることが可能です。
なお、PCサイトからは注文履歴の削除が可能です。注文履歴をどうしても削除したい場合は、「Amazon」アプリを一旦スマートフォンから削除したのち、Webブラウザを起動してAmazonのPCサイトを開き、本ページの下部で解説しているPCサイトでの注文履歴を削除する手順どおりに操作してみてください。
引用元:マイナビニュース
先手を打って家族ときっちり情報共有しておけば故人のスマホへの関心は下がる(かも)
あなたが自分のスマホ内を回遊されたり くまなく見られたりするのがイヤな場合は、先手を打って 家族に必要な情報のありかを共有しておくこともひとつの方法です。

スマホのパスワードロック解除をしてくれる業者は少ないし、うまく解除できたとしても成功報酬の料金が数十万円もかかることがあるらしいよ。
…ということを家族にそれとなく伝えると同時に、パスワードは渡さずに(ログインを許可しないで) 自分と家族との間で 必要なすべての情報をまったく別の形で開示・共有しておくのです。
そのやり方は 遺族への引継ぎにエンディングノートを使い、一連の情報や流れを生前に伝えておくことです。
わからないことが多すぎるから、遺族はやっきになって故人の持ち物をくまなく探すんですよね。
必要な情報、特に遺産相続に関わる財産についてのすべての情報を遺族に渡すことができていれば、遺族が必死になってスマホのロック解除をしたり 内部データを血眼になって探すということも少なくなるはずです。
エンディングノートというと「ノートを1冊用意して手書きで作る」というイメージを持つ方が多いかもしれませんが、パソコンソフトにもいいものがあります。
手書きのノートだと「読めない」「解読できない」問題がでてくることもあるので、パソコン入力がおすすめです。
パソコンソフトで必要な情報を入力しておいてその所在を家族に伝えておくか、必要なページを印刷して家族に渡しておけば、デジタル機器に疎い家族でも いざというときに困りません。

デジタル遺産のページ…PCソフト「はじめてのエンディングノート2」より
「はじめてのエンディングノート2」の良いところは読みやすさだけでなく、更新が簡単なことや、画像が保存できる点です。
たとえば加入している保険証券の画像を保存しておくこともできますし、個人的に大切な画像も残しておけます。
年賀状ソフトを引っ張り出さなくても、訃報を知らせる交友関係の一覧も用意しておけます。
デジタルデータによる記録ですから 紙のノートのような経年劣化や盗難・紛失もありません。
家族に伝えるべき情報をこのようにわかりやすく保存して開示できるようにしておけば、第三者に覗いてほしくないスマホから 家族の意識が遠ざかる効果もある…かもしれません。
エンディングノートのパソコンソフトは私も絶賛活用中の「はじめてのエンディングノート2」がおすすめです。
「見てほしくない」という故人の意思をくんでもらえる人間関係の構築も大切
スマホはプライバシーの範疇だから他人に見てほしくない!というのは誰でもわかる心理だと思うのですが「見ないで!」と言われると逆に見たくなるのも人間の心理。

「見ないで」と言われてたから、やめておこうよ。
…と故人の意思をくんでもらえるかどうかは、生前の人間関係にもよるところが大きいでしょう。
「見られたくない」という故人の意思をくんでもらえる良好な関係の構築を日ごろから心がけておくことも、デジタル終活上、大切なポイントです。
相続放棄するつもりなら故人のスマホに手を付けてはいけない!
故人の財産を相続放棄をする予定がある場合、スマートフォンのパスワードロック解除やデータ復旧をする、あるいはスマートフォンを処分するなどがあると 相続放棄ができなくなる可能性が出てきます。
スマートフォンはデジタルデータと違い「実体」があるものですから 相続財産の一部になります。

その相続財産の一部に手を付ける行為は「単純承認」とみなされ、相続の放棄が認められなくなる可能性があるからです。
相続放棄するなら一切の相続財産に手を付けないようにしないと、後々困ったことになる可能性があります。
「たかがスマホで」などと軽く考えると痛い目を見ますので、その点にも注意を払いたいものです。
故人のスマホ契約の承継は可能?
主要キャリアの場合、多くのところが故人の契約を遺族が引き継げるようになっているので、承継を希望する場合は問い合わせてみましょう。
引継ぎができない場合でも、携帯電話番号ポータビリティ(MNP)を利用して 電話番号はそのままに別のキャリアにのりかえてサービスを利用する制度もあります。
故人のスマホの処分方法は3通り
住んでいる市区町村が指定する専門業者に回収してもらう(小型家電リサイクル法)
キャリアショップに持ち込んで処分する
中古スマホショップに売る