うつ病患者がキャリアコンサルタントの支援を得て仕事に復帰した話
これは2019年1月から2019年10月にあった、長年就労できなかったうつ病患者が福祉支援を得て仕事に復帰した話です。
登場する人物
Aさん:40代男性、うつ病患者
Bさん:40代女性、Aさんの妻(私の知人)
Cさん:40代男性、精神保健福祉士
Dさん:50代男性、キャリアコンサルタント
私:30代男性、社会福祉士
医師から仕事の復帰を促されても「どこかに勤める気はない」
Aさん(40代男性)は激務な仕事と人間関係のいざこざから2013年頃からうつ病を患い、休職の果てに2014年に退職しました。
退職しばらくは会社に対する不満をずっと妻のBさん(40代女性)にぶちまけ続け、失業保険が切れても就労や職業訓練を受ける意欲がほとんどありませんでした。
家事をすることもなく、ネットに愚痴を書き続ける日々が続いているうちに 2019年を迎えてしまったということです。
そんなAさんの状態を案じたBさんは私に相談を持ちかけ、同じ職場の精神保健福祉士のCさん(40代男性)にも話に入ってもらったうえで Aさんからも話を聴くことができました。
Aさんはうつ病で通院しながら薬物療法を続けており、医師からは

短時間や隔日勤務などからでいいから、そろそろ就労するなど社会との交流を持つ方がいい。
…と勧められていたものの、Aさん自身は

そんな意欲はない。
…とずっと言い切っていました。
独立・起業に向けた支援をキャリアコンサルタントに依頼
しかしその一方で

どこかに勤めるのは嫌だ。独立・起業ならしたい。工学部を出ているから技術を活かしたい。
精神保健福祉士のCさんとしては、まずは医師の言うように社会との交流を持つための機会を探すこと。
さらに働くということについては Cさんの知人のキャリアコンサルタントであるDさん(50代男性)に話を聴いてもらって対策を立てるを提案しました。
まずうつ病のことについては、Aさんの了承を得たCさんが Aさんの主治医に連絡調整して意見を聴きに行きました。医師は

Aさんには就労能力は十分あると思う。いきなりのフルタイム勤務とか、未経験の業種に飛び込むなどはリスキーだが、得意分野や経験のある業種なら就労できると思う。
…という意見でしたが

ただ、Aさんは会社組織になじみにくい性分がみられる。一応、うつ病としての診断を出しているが、発達障害にもみえるのだが、うちのクリニックではそこまでの検査ができないので はっきりしたことは断定できない。
…とも語ったということでした。
そしてCさんからAさんに「リワークやデイケアを利用する」「うつ病の当事者会に参加してみる」などを提案したところ、

当事者会には行ってみたい。
…という答えがあり、地域の当事者会を探して参加してみることになりました。
キャリアコンサルタントがスキルを分析して独立・起業の可能性を判断
一方、就労については キャリアコンサルタントのDさんがAさんのスキルを分析し、工学部で電気・電子を学んでいたということと パソコンを使った技術的な作業ができるということから、独立・起業の可能性もあると判断しました。

ただし、安定性でいえばどうしても就職の方がアドバンテージがあるけれども、どうするか?

それでも独立・起業を前向きに考えたい。
そこでDさんは知人をたどって「システム構築をはじめとするITのコンサルティングを請け負ってくれる人を探している」との話を受け取り、Aさんを推しました。
Aさんはそこでまず 単発でシステム構築の仕事を請け負いました。そしてそのことがきっかけになってクライアントからの「継続的にコンサルティングをしてほしい」という話につながり、独立・企業の道への第一歩を踏み出すことになりました。
まだそこで十分な収入があるとはいえないものの、継続案件を少しずつ取ることができ、フリーランスのITコンサルタントとして働くことができるようになりました。
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