うつ病引きこもり無職から発達障害が発覚し障害者雇用を選んだ体験談


うつ病引きこもり無職から発達障害が発覚し障害者雇用を選んだ体験談

うつ病引きこもり無職

30代男性 これは社会福祉士の私が関わった、大人の発達障害がわかった人が障害者雇用で社会復帰したときの話です。

Aさん(30代男性)は元々は会社員として働いていましたが、ある年の夏頃からうつ病で休職しはじめました。

会社側は「休職期間は1年間あるからゆっくり休むように」…と伝えていたのですが、Aさんは年度末で自主的に退職してしまいました。

退職しても失業保険などの手続きをすることもなく、家に引きこもり、外出すらできないような状況でした。

Aさんが休職しはじめたころから 時々電話で話を聴いていた友人のBさんが「このままではいけない。相談に行こう」と勧めて、二人で相談窓口にやってきたのです。

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Aさんは窓口で話を聴く限りは普通の人に見えましたが、うつ病に至った理由を尋ねると

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Aさん

さほど忙しい仕事ではなかったものの チームワークが取りづらくて ストレスが溜まっていました。

そのことから精神保健福祉士にも話に入ってもらい、より詳しく聞き取りをしました。

Aさんの自覚としては、

自分はこだわりが強くて人に押しつけやすかった。他の人のやり方が気に入らないとイライラしてしまう。

…ということでした。

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Aさん

働きたい気持ちはあるけれど、チームワークを求められる仕事は無理だと思う。その点に配慮してもらいやすい仕事なんて見つかりそうにない。その上、いつまでたってもうつ病の症状が良くならないから 絶望的な気持ちになっている。

Bさんからはこんな意見がありました。

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Bさん

Aさんは元々成績優秀で有名大学も卒業していて能力は高いです。でも趣味がマニアックで ちょっと風変わりな面もある。なんとなくですけど、最近よく聞く「大人の発達障害」っぽく見えます。

Aさんの通院先を聴くと精神科専門医ではなく、内科・神経科・心療内科を標榜し、医師も内科の専門医でということでした。

そのことからAさんを精神医療につなぐことと、仕事で社会復帰できる方法を考えることになりました。

 

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まず精神保健福祉士がその仲間や心理士などのネットワークを活用し、Aさんが通いやすい場所にある精神科専門医がいる医療機関を探しはじめました。

また、Bさんの意見通り Aさんに大人の発達障害の可能性があるならば、それも判断できる医師がいるところを探したところ、ある心理士がZ病院を紹介してくれました。

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Cさん

通院先をZ病院に変更してはどうですか?

…と勧めたところ、Aさんは当初は渋っていましたが、Bさんからの説得もあって 病院を変更することに決めて受診しました。

Z病院では心理検査や知能検査なども行ってもらうことができ、その結果 Aさんは大人の発達障害、自閉症スペクトラムと診断されました。

※発達障害の特性によっては二次障害(重ね着症候群)が出ることがあります。うつ病などのストレス性疾患は二次障害に多く見られます。

 

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AさんはZ病院の医療ソーシャルワーカーから

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発達障害のある人は精神障害者保健福祉手帳を取得できる可能性がある。手帳があれば障害者雇用に応募できるし、障害者雇用なら配慮もしてもらいやすい。

…と情報提供を受けました。

ただし初診から6ヶ月が経過する必要があるため、しばらく通院を続けることになりました。

半年経過後に精神障害者保健福祉手帳を申請し、Aさんに3級の手帳が交付されました。

そのころにはAさんのうつ状態はかなり良くなっており、労働意欲が見られるほどに回復していました。

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Aさんは障害者手帳を取得してすぐにハローワークへ行き、障害者雇用の相談を主に担当するハローワーク職員から求人の情報を提供を受けたり 相談に乗ってもらったりしていました。

ハローワークの担当者は関係機関との連携が上手く、精神保健福祉士や社会福祉士の私とも連絡調整をして これまでの経緯などを勘案して、複数の求人をAさんに提供してくれました。

結果、Aさんは未経験の業種ではあるものの、パソコンが得意であるなどといった良いところを活かして企業のIT関連部署に雇用され、社会復帰に成功したのです。

【大人の発達障害】自閉症スペクトラムの症状とは?

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社会的なコミュニケーションや他の人とのやりとりが上手く出来ない、興味や活動が偏るといった特徴を持っていて、問診や心理検査などを通して診断されます。親の育て方が原因ではなく、感情や認知といった部分に関与する脳の異常だと考えられています。

■会議などの場所で空気を読まずに発言してしまい、ひんしゅくを買う ■視線があいにくく、表情が乏しい ■予想していないことが起きると何も考えられなくなり、パニックを起こす ■自分なりのやり方やルールにこだわる ■感覚の過敏さ、鈍感さがある(うるさい場所にいるとイライラしやすい、洋服のタグはチクチクするから切ってしまう) ■手先が不器用である ■細部にとらわれてしまい、最後まで物事を遂行することが出来ない ■過去の嫌な場面のことを再体験してイライラしやすい

上記のような症状のために他の人とうまくコミュニケーションを取ることが出来なかったり、学校や仕事で上手くいかなかったりして二次的にうつ病等、他の精神的な病気になるケースもあります。 引用元:NCNP病院

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