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登記名義人と所有者が違う!変更せず死亡して相続人93人の事例も!

【監修者】
オレンジ@終活ガイド

生前整理という名の断捨離にいそしみつつアラカンでの熟年離婚を画策中のおひとりさま予備軍女性がこのブログの中の人です。終活に活かすため終活ガイド1級とホームヘルパー2級を取得しています。
 
ここでは人生100年時代に備えた終活と生活のヒント、怖いけど知っておいた方がいい話、トラブル回避のハウツーなどを「事実は小説より奇なり」みんなの体験談を元に紹介していきます。

登記名義人と所有者が違う!変更せず死亡して相続人93人の事例も!

登記名義人変更

2021年12日14日、相続登記義務化のニュースが流れました。

相続登記義務化 令和6年施行へ
政府は14日、所有者不明土地問題の解消を図る民法や不動産登記法などの改正法の施行日に関する政令を閣議決定した。相続不動産の取得を知ってから3年以内の登記を義務化する規定は、令和6年4月1日から施行。正当な理由がないのに怠れば、10万円以下の過料を科す。法務局に自分が相続人の一人であると申告すれば、登記義務を果たしたと見なし、手続きを簡略化する制度も同日から施行する。
一定の要件を満たせば相続した土地の所有権を手放し、国に帰属させることができる新法は5年4月27日から。遺産分割されないまま10年経過すると、法定割合に応じて自動的に分割する仕組みなどを設けた改正民法は同年4月1日から開始する。
引用元:産経ビズ

相続登記を怠ると10万円以下の過料…これで少しは空き家問題が減少に向かうのかどうか…。

ところで あなたの実家は祖父母以前から受け継がれてきたものですか?

自分の実家が祖父母以前に手に入れたものであれば、早めに実家の登記簿謄本を調べてみた方がいいです。

なぜなら登記名義人と真の所有者が違うことがあるからです。

不動産の名義変更をしないでおくと後に相続人がぞろぞろ出てくるケースも…

登記名義人変更

戦前の日本の相続は「家督相続制度」が当たり前でした。その家の財産は長男がすべてを引き継ぐという暗黙の了解のもとで相続が行われていました。

もしあなたの父親が長男で、相続が発生してから実家をあなたが継ぐことになった時に 登記簿の名義が父親になっていなかったら 後々エラいことになることもあります。

父親から相続したと思っていた土地を売却しようにも、すぐに売却できないこともあります。

相続のやり直し!?手続きは相続人調査から始まる

登記名義人変更

では土地の名義が祖父のまま、父親が不動産の名義変更をせずにそのままにしてしまった場合どうなるか。

まず祖父の相続人調査から始まります。

ずらーっと相続人全員を割り出して、その人たち全員のところを回って あなたが相続することに対して承諾をとらなければなりません。

そのうえで土地の名義をあなたに書き換えます。

この相続人調査で相続人が何人出てくるか…はケースバイケースですが、とにかく相続人全員から一人残らず承諾を得なければいけないわけですから、大変なことになることは想像に難くありません。

相続人全員から実印押印をもらう「ハンコ代」で相続が赤字になるかも

登記名義人変更

相続人が確定できたら次は遺産分割協議書を作り、全員の印鑑証明と実印の押印をもらいます。

「遺産相続」と聞いただけで「金になる!」とイメージする人が多いように、この相続人たちもそう思わないとは言えません。中には

相続権は主張しないよ。でもさ…わかってるよね?

…という輩(失礼!)もいるでしょう。いわゆる「ハンコ代」というやつです。

ハンコ代とは、法的には支払い義務がありませんが、物事を円滑に進めるため、承諾を要する相手側に支払うお金のことです。相続では一般的に、遺産分割協議書に署名捺印してもらうために支払うお金のことをいいます。

ハンコ代は、これだけ支払うので書類にハンコを押してくださいというものですから、相手側との交渉次第で金額は変わってきます。そのため、特に相場といったようなものはなく、その事情や相手によってバラバラです。だいたい10万円から30万円くらいの寸志相当の金額から、法定相続分の半分(遺留分相当分)くらいまでを提示するのが一般的です。

ハンコ代に相場はありません。いったいいくらもらえるものなのかという質問をいただきますが、はんこ代というのは、どこで折り合いをつけるかという駆け引きの結果なので、これと決まった相場があるわけでもなく、一概にこの程度が適当ということはできません。実際に支払われているはんこ代の金額にはかなり幅があり、下は数十万から上は数億もしくは遺留分相当までと様々です。また、はんこ代は、各相続人対本家という個々の交渉の結果なので、同じ条件の法定相続人であったとしても同額が支払われるとは限りません。
引用元:税理士法人レガシィ

祖父の代からだと相続人が20人くらい出てくるケースもあります。仮に1人10万円のハンコ代をはらうとしたら 20人で200万円。

相続する土地が負動産で、売ろうにも売れない、売れたとしても二束三文だったとしたら…ハンコ代200万円が回収できなくて 下手したら大赤字!やってられませんよね…。

登記名義人の変更をしないと売るに売れない、貸すに貸せないケースも

登記名義人変更

そこまでやらないと土地はあなたの名義になりませんから、売却もできません。売れないなら貸せばいい!と思っても、そう簡単なことではありません。

不動産賃貸の際には借主に対して「登記名義人が誰か」を説明する義務があります。これから借りようとしている土地の「登記名義人は亡くなっています」と言われたら?

借主は「これは少し怪しいかも‥」と思ってサーッと引いていく人が多いのでは。奇妙な引っ掛かりがあれば、普通は契約は成立しません。

空き家にしておくのはまずいと思って賃貸住宅として貸し出すならやはりリフォームが必要となりますが、借り手がつくかどうかわからない物件に大金をかけてリフォームできますか?

元が取れるかどうかも不安なところで…これも現実的ではありません。

50年以上放置され相続人が93人いる空き家

登記名義人変更

普通の相続でも大変なのに、こんな風にこんがらがった相続問題を素人が自分一人の手で紐解こうと思っても手に負えるものではないです。

土地問題が絡んでいるため ふつうは司法書士などに依頼することになりますが、祖父の代からの相続人ですからぞろぞろ出てくることが予想されますし、プロでも探すのが大変です。

昔は8人兄弟とかが普通でしたから、調べてみたら相続人が20人以上いた…なんてこともザラです。

こちらのケース などは、所有者が江戸時代のままになっていたため、相続人が93人出てきたケースです。

 

93人の相続人を割り出すために、姫路市は半年の時間と120万円をかけて この家の家系図を作成しています。

これによりわかったことは相続人の数はもちろん、この土地の所有者が1940年に亡くなっているということ。

このときに長男がこの土地を相続していましたが、その後の民法改正で遺産相続が兄弟全員に適用されることになり、相続人の枝葉が広がっていきました。

そして最終的に確認された相続人は200人にも及びましたが、その中で存命しているのが93人だったということです。

空き家が行政代執行されるとしても、93人の実印を押した同意書がなければ がれきの撤去すらできない状況です。

相続登記しようがしまいが「固定資産税」は毎年もれなくついてくる

登記名義人変更

土地の相続をして名義変更をしてもしなくても、固定資産税は毎年もれなく請求されます。

相続登記はやらないと 発覚した時には上述のように大変なことになる場合もありますが これは義務ではありません。しかし納税は「義務」です。新しい相続人の元に毎年請求がやってきます。

相続した家や土地が「富動産」であればいいですが「負動産」だった場合、相続地獄が始まる可能性も。

売ることも貸すこともできない空き家や空き地が社会問題化して久しいですが、あまりにもこういったケースが多いので「空家等対策の推進に関する特別措置法」まで作られました。

空き家が「特定空き家」に指定されたら、固定資産税は6倍になります(家を取り壊して更地にしても6倍です)

遺品整理は49日前にすべき?空き家の固定資産税が6倍はいつから?
遺品整理はいつから?49日前?放置の空き家は固定資産税が6倍になるって本当?こんな疑問に答えます。

以前は相続した実家を売ることも貸すこともできない場合は、家がボロボロになってもそのまま放置されていることが多かったのです。

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解体費を200万円もかけて更地にしても 売れなければ固定資産税が6倍になるだけなんて損でばかばかしい!建物が建っていれば税金は6分の1だ。

昔は解体費用をかけてまで売らなくても、空き家が建っていれば安くつく…がまかり通っていたのですが、現在は空き家に対する規制がどんどん増えてきて、固定資産税にももはや逃げ道はありません。

特定空き家になると行政代執行による家屋取り壊しもありうる

登記名義人変更

特定空き家に指定されると、建物の修繕や伸びすぎた木の伐採などの必要な措置を 市町村長が所有者に 助言・指導・勧告・命令の4段階のいずれかで要請できるようになります。最終措置の「命令」に従わなければ50万円以下の罰金(科料)です。

家屋の倒壊などの危険性が高い場合は行政代執行により強制的に家屋の取り壊しなども行われます。もちろんその際にかかる費用はすべて所有者に請求が行き、支払いがなければ給与や財産の差し押さえが行われます。

ちなみに前出の相続人93人の空き家は、撤去に最低でも500万円はかかるということです。空き家を放置しているだけでも、このようなとんでもないことになる時代となりました。

特定空き家のほとんどは近隣住民からの強い苦情から始まりますから、空き家を相続したら常に目を光らせていなければいけないですし、近隣住民との関係も良好にしておく必要があります。

負動産だと思ったら、やはり相続放棄の手続きを取ることがいちばんかもしれません(もちろんほかの遺産との兼ね合いや相続人の希望にもよります)

とにかくこういった情報に常にアンテナを張っていないと、親が残した負動産が一生涯続く悪夢を招くことになる…ことを 肝に銘じておきましょう。
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