【手元供養とは】お墓はいらない・意味がないなら手元供養がおすすめ
手元供養とは?
手元供養とは遺骨の一部を粉骨して収納・加工したオブジェにして自宅に置いたり、アクセサリー(ペンダントやブローチなど)にして身につけやすい形にすることで「手元」で身近に供養する方法です。
葬送業界ではもともと「メモリアルグッズ」と呼んでいたものですが、現代はお墓離れが進み、遺骨を自宅で供養する人が増加していることから、近年注目を浴びています。
手元供養品の種類…納骨型
ミニ骨壺…焼き物・ガラス・真鍮製など様々な素材のものがある。
オブジェ型…部屋置きタイプ。中に金属製の納骨ケースが入っているものが多い。アート作家もの・御影石・焼き物などがある。
ペンダント型…シルバー、ゴールド、チタン、ステンレス製のメモリアルペンダントが多い。




手元供養品の種類…遺骨加工型
セラミックプレート…遺灰に金属化合物を混ぜて成形したファインセラミック製プレート。
遺骨人工石のペンダント…遺灰を水晶粉に混ぜ結晶化して作る人造石
メモリアルダイヤモンド…遺灰から炭素を抽出して結晶化させて作る人造ダイヤモンド。ペンダントなどに加工する人が多い。
手元供養品の目的・使われ方
手元供養をしている人は何らかの手元供養品を利用していますが、それを利用する目的は大きく2つあります。
お墓の代わりとするもの
グリーフケア
グリーフケアの観点から利用される手元供養は 大切な人のお骨を手放す寂しさに耐えられないために 何らかの形で手元に置いておくというもの。
例えば遺骨を粉骨にしてペンダントに入れて身に着けたり、遺骨を練り込み加工したオブジェなどを身近に置くというものです。
お墓の代わり
手元供養品には遺骨を収納するタイプと遺骨を加工するタイプ、遺骨とは無関係のオーダーメイドの位牌や 遺族や故人の好みに合わせた骨壺、ミニ仏壇のような遺骨ステージなど 最近はたくさんの手元供養品が手に入るようになりました。
手元供養はどのお品物を選んでも、これらを身近に置き、手を合わせ。時に話しかけながら故人を偲んだり 祈りをささげることは共通しています。お墓参りでやることと一緒ですよね。
手元供養を選んだ理由は?
ずっとそばにいたい・置いてあげたい。
持ち歩けるといつも一緒にいる気持ちになり嬉しい。

お墓はあるのだが、故人を手元で偲びたい。
お墓はあるのだが、継承者がないので この先無縁仏になる可能性がある。
お墓が遠くてお墓参りができない・難しい。
経済的な理由でお墓を建立できない。
喪失感が強く、寂しすぎて遺骨を手放せない。
自然葬(散骨や樹木葬など)をするが、遺族が手を合わせる対象物も必要と考える。
分家の身だけれど、両親を供養したい。
・・・こんな風に考える人が、手元供養を選んでいます。
遺骨を食べる!?…骨噛(ほねがみ)という慣習
余談ですが、戦前まで行われていた骨噛(ほねがみ)についてもついでに書いておきます。
骨噛はその字のごとく「骨を噛む」ことや骨を食べることを指し、これは故人への愛情表現という意味合いでやっていた慣習です。
骨を食べることで故人と一体化する、故人の魂を受け継ぐ意味合いもあったようです。
手元供養は他の納骨方法との組み合わせが自由。仏壇や戒名もしかり
手元供養は火葬された遺骨のすべてを手元に残しておく人もいますが、ごく一部を残しておいて残りの遺骨は別の納骨方法を使う人がほとんどです。
- 手元供養+従来のお墓に納骨
- 手元供養+永代供養墓
- 手元供養+本山納骨
- 手元供養+本山納骨+従来のお墓
- 手元供養+自然葬(散骨や樹木葬)
- 手元供養+自然葬+従来のお墓
- 手元供養+自然葬+永代供養墓
- 手元供養+仏壇
- 手元供養のみ
仏壇は必要なものなのか?
仏壇は亡くなった人を供養するものと考えている方が多いですが、本来は宗派の仏様(ご本尊)をお祀りするもの。
宗派のご本尊への信仰心やこだわりが強い方は仏壇があった方がいいですが、故人を偲ぶため…と考えているなら必ずしも仏壇にこだわる必要はありません。
手元供養専用のミニ仏壇や遺骨ステージなどを家族が集まる居間などの片隅に設置すれば、仏壇がなくてもそれで立派な手元供養ができます。

ただしこのあたりはその人の考え方・感じ方によります。
自分の気持ちが納得し落ち着けるから仏壇はあった方がいい!と思うなら、それがあなたにとっての正解です。

「戒名に意味はない」と思うならつけなければいい
最近は菩提寺を持たない人やお寺との付き合いがない人が多いですが、日本人は信仰心がないのに「葬式仏教」を選びますよね。
そして葬儀で初めて会った僧侶から高額な戒名料の請求が来て「ばかばかしいことこの上なし!」といたくご立腹…というのがあるあるなパターンですが…それはちょっとおかしな話ではありませんか。
戒名なんて意味ないんじゃね!?と思っているなら…世間体のために戒名をつけるのなら… はじめから戒名をつけなければいいのです。
戒名は仏教信心からくるただの心の安寧。そんなの必要ない、菩提寺も要らない、戒名もつけない…と自分で決めたなら それはそれでよし。
最近は無宗教葬儀を行う人も多く、お骨は海洋散骨などの自然葬にしてお墓を持たない人もたくさんいます。
それに戒名は亡くなった後につけてもらうもの(没後戒名)と思っている方が多いですが、そんなことはなく、自分が生きているうちにつける「生前戒名」を選ぶ人もいます。
自分が本当にどうしたいのか 自分で自由に決めればよし。
そういうことを考えられる元気なうちに自問自答して、それなりの準備をしておけばいいのです。

「手元供養は良くない」は本当か?理由はカビ!?
「手元供養は良くない」という人が世の中にはわりと多くいるようです。ではその理由や根拠は?
巷には「遺骨を家に置いておくと故人が成仏できないから」という人が多いですが、本当ですか?
関東だけでも100万個以上の骨壺が自宅に安置されていると言われていますが、骨壺を自宅に置いたから悪いことが起こったとか不幸な目に遭ったとか・・・そんな話を聞いたことがありますか?私はないですが。
お骨のカビを気にする人が多いことから「良くない」と言われるのかもしれません。
確かに住空間が高湿度で劣悪な環境だとか。骨壺を頻繁に開け閉めを繰り返して外気に触れさせているとか。そういうことがあれば遺灰が吸湿してカビが生えることはあるかもしれません。
ですが、意識的に手元供養をされている人の多くは そういう点に気を付けて遺骨を管理しています。
手元供養品の中には遺骨や遺灰を入れた後に蓋が開かないように接着剤で封印してしまうものも多くあります。業者によっては遺骨の焼き直しを請け負ってくれるところもあります。
保管に無頓着すぎる人には手元供養は向かないですし、そういう人には「手元供養は良くない」ですが、故人の遺骨を大切に扱い、長期保管にも気を配れる人なら、手元供養に何ら実害はありません。
手元供養のカビについては業者さんでも様々なアドバイスをしているようです。それらに関する記述がある記事はこちら にあります。参考にしてください。

手元供養していることで遺族が悲しみから立ち直ったり、単に「気が済む」「執着が吹っ切れる」という人もいます。人それぞれ様々な事情があり、いろいろな心境の変化が訪れるもの。
今は墓じまいや永代供養が増え、葬送の自由も許される時代ですから、法に触れなければ自由でいいわけですし。手元供養が「良くない」と考えるのも まったく個人の自由です。
ただ、現時点で手元供養には法律上の問題はまったくありませんよ。
手元供養は「葬送の自由」時代の新しいトレンド
これまでの手元供養はどちらかというと西日本の方が東日本よりも積極的に行われる傾向がありました。
これはお骨上げの慣習が東西では少し違うことが関係しています。西日本では分骨することが当たり前になっているのです。
東日本ではお骨上げの時 すべての骨を拾う全部拾骨が当たり前で灰まですべて骨壺に納めますが、西日本ではのどぼとけなどの一部しか拾いません。
西日本では骨上げされる骨の量が少ないため、骨壺自体もサイズが小さく、東日本の半分くらいの大きさです。ちなみに東日本の骨壺の大きさは、直径・高さ共に20㎝強です。
東日本では火葬場に残る灰が少ないですが、西日本ではかなり大量に残るはずで、その後の処分の行方ははっきりと明かされていないようですが、遺族の知らないところで土に還されているようです。
ということは、お骨の一部をお墓や納骨堂におさめ、一部を散骨し、残りの一部を手元供養するという選択肢もまったく問題ないわけです。
こういった自由な葬送スタイルが 近年急速に増加しているトレンドのひとつなのです。
また、故人の葬送スタイルは年々簡素化される一方で、ペットの葬送スタイルは年々派手になっていくのも最近の傾向です。

【粉骨のやり方】分骨・粉骨で葬送の自由度が上がり選択肢が広がる
焼骨を納めるのは「骨壺」…と思いきや、青森県では木箱だそうです。
骨壺と木箱を使う地域が混在しているのは 北海道・新潟県・石川県・福井県・愛知県。骨壺もところ変われば…ですね。
西日本では部分収骨なので、お骨上げの時点でお骨が分かれていて、それぞれの家族の事情に合わせてお墓に入れたり本山納骨をしたりと、分骨が当たり前に行われていました。
しかし場合によっては 分骨するには証明書が必要なことがあります。
分骨はいつ行うのか?
火葬場で分骨を行う場合は その旨を火葬前に伝えておけば「分骨証明書」を発行してもらえ、各自が骨壺やガラス瓶など分骨用の容器を用意すれば分骨してもらえます。
面倒なのは墓地や納骨堂に一度納めた遺骨を分骨して 別の墓地や納骨堂に移す場合です。
いわゆる「墓じまい」や「改葬」で、最初に分骨元の管理者に「分骨証明書」を発行してもらい、その証明書を分骨先の管理者に提出する必要があります。

手元供養することを決めているとか散骨したい人は ほんの少しの量ならば証明書をもらう必要はなく 分骨してもらえることがほとんどのようです。
【粉骨】砕骨のやり方
お骨を砕いて粉にするというと真っ先に思い描くのが「散骨」でしょう。
散骨にはいろいろなスタイルがありますが、海に骨をまく「海洋散骨」がいちばん良く知られているかもしれません。

現在、節度を持って行う散骨は、墓埋法にも遺骨遺棄罪にも触れないという解釈をされているため、法的に問題ありません。
ただし、海洋散骨の場合は沖合でまくことやお骨を2ミリ以下の粉末にするなど、複数のルールがありますから、このあたりはほぼ業者頼みとなります。
お骨を砕いて粉骨にする場合、遺骨のかたさ・強度は故人の年齢や健康状態にもよりますが、ほとんどの場合火葬された骨は意外と簡単に砕くことができます。
石やレンガなどの上に遺骨を置き、厚手の袋の中に入れた遺骨を 布の上から金づちでたたいて粉にしていきます。
砕いた遺骨をふるいにかけ、網目を通らなかった粗いお骨を再度たたいて粉にしていく作業を繰り返し行って粉骨にします。
これは手間はかかるもののやること自体は簡単です。
しかし大切な故人の遺骨を「たたき割る」という行為自体に心理的な抵抗感を強く感じてしまい、やっているうちに気が滅入ってしまう人も少なくないのは想像できるでしょう。
粉骨サービス業者は遺骨専用粉砕機でお骨をパウダー状にしますが、これにより遺骨の容量は4分の1から3分の1くらいまで減ります。
費用がかかりますが、自分の手で遺骨を砕くことに抵抗がある方は、粉骨業者を利用するといいでしょう。

手元供養していた人が亡くなったら手元供養品はどうすればいい?
手元供養していた方が亡くなった後に手元供養品をどうするか?という問題もあるあるです。
エンディングノートに書き残すなどして自分の希望を遺族に託しておければ 手元供養品を遺族に引き継ぐなり 希望の方法で処分するなりできますから、それがいちばんベストな方法です。
手元供養品を処分するには 納骨型と加工型では処理方法が違います。
納骨型の手元供養品の処分
ほんの少量を分骨した納骨型の手元供養品の場合は、まずは内部から遺骨を取り出し、故人の棺に納めるのがいいです。
残った容器は不燃ごみに出すなど、自治体の処理方法に従って処分します。
メーカーによっては納骨型の手元供養品の引き取りサービスを担うところもありますので、問い合わせてみるのも一つの方法です。
加工型の手元供養品の処分
加工型の場合は加工の工程や素材がメーカーによりまちまちですから、一度メーカーに問い合わせてみましょう。
適切な処分方法を紹介してくれたり引き取ってくれる場合もありますので、それに従うのが賢明です。