相続問題の兄弟争いは遺産が少ないのが原因という悲しくシビアな話

相続問題の兄弟争いは遺産が少ないのが原因という悲しくシビアな話

相続問題で兄弟争い

終活の目的は、自分の亡きあとに家族が平穏に過ごしていくことを担保することです。

そのためにも遺言書作成は重要であり、それが相続争いを防ぐもっとも最適な手段でもあります。

一般論として、相続争いは高確率で起こります。

これは決して脅している話ではなく、それを承知していればお互いが歩み寄ったり 納得した遺産相続をする心構えができるということを あらかじめ知っておいた方がいいということです。

相続争いが起こる5つの原因

相続問題で兄弟争い

相続人が「一次相続」のことしか考えていない

普通、親の相続は二度あります。

最初の親が亡くなったときを一時相続、二親めが亡くなった時が二次相続です。

一時相続の時は二次相続を視野に入れて相続を考えるのが望ましいのです。

ほとんどの人は目先の相続(一次相続)のことしか考えませんが、遺産分割協議をする場合 二次相続も視野に入れる必要があります。

例えば父親が亡くなった場合。

相続の話し合いが成立しない場合は、配偶者である母親に全てを相続させて、子への相続は二次相続の時に話し合いをすれば トラブルは最小限になります。

「親」という重しが取れるから二次相続が起こる

相続問題で兄弟争い

相続の問題は多くは子ども同士で起こり、さらに二次相続で起こることが多いです。

その理由は 二次相続で「親」という重しがなくなるからです。

一時相続
  • 配偶者の税額軽減が適用される
  • 納税額が少ない
  • もめても配偶者が仲裁できる
二次相続
  • 配偶者の税額軽減がない
  • 納税額が多い
  • 仲裁人がおらず、もめやすい

相続争いの原因は金額より立場や考え方の違いにもよる

相続問題で兄弟争い

相続争いの原因は、金額の多少よりも それぞれの立場やものの見方・考え方の相違から起こることが多いです。

中でも親の介護についての認識において、意識の違いが大きく表れます。

介護においては 同居人と非同居人との意識がかなり違います。

介護をしたかどうかの認識では 皆が同じように主張したりと 個々の認識のズレが多く見られ、これがひと悶着おこる元だったりします。

法定相続分の理解度の相違

相続問題で兄弟争い

法定相続分は権利です。

必ずそれを死守するのか、現状と実態に沿った公平な分配にするのかについての考え方も 人それぞれ違います。

そもそも遺産額が少ないから相続争いが起こる

相続問題で兄弟争い

遺産が多額な場合よりも 遺産の額が少ない方が分け方に不満が出るケースが多く、相続争いになりやすいものです。

親の遺産分割では相続争いは起きるものという認識で臨む方がいいでしょう。

遺産相続はいわば「棚ぼた」

相続人同士の平等と公平をめぐる、時と場合によっては熾烈なせめぎあいです。

相続人全員にそれぞれの立場や状況・思いがあります。

本当はそれらを洞察しながら財産の分配を考えていく必要があるのですが、なかなかそうはいきません。

遺言書がないと相続問題はどうなるか?

相続問題で兄弟争い

相続が発生して遺族が困ること

故人の財産がどうなっているのか不明。

財産の存在と所在を明らかにしておかないと遺族の労力ははかりしれない。

財産分割ができない。特に分割できない不動産はもめごとの火種。最悪の場合は絶縁に。

故人の意思がわからない。延命治療や葬儀、お墓は?

遺言書をなぜ作るのか?

それは財産の分け方を確定するためです。

どうして遺言書が必要なのか?

それは遺産の所有権を移転させるため。つまり財産の名義を書き換えるためです。

では遺言書がなければどうなるのか?というと、それに代わるものが必要となります。

それが「遺産分割協議書」 残された法定相続人等で決めた遺産の分配内容を書いた書類です。

もし法定相続人の間で遺産の分け方が決まらなければどうなるか?というと、その時は家庭裁判所に行くことになります。

家庭裁判所で調停分または審判を決めて、それを「調停調書」または「審判書」という書類にしてもらいます。

相続では各遺産の名義を書き換えるために書類が必要だからです。

相続問題で兄弟争い

このように財産の分け方には三つの方法がありますが、どれが優先されるのか?

それはもちろん「遺言書」で、遺言書 に書かれた遺産分与の内容が最優先されます。 ※ただし「遺言の無効訴訟」などの一部の例外はあります。

遺言書があれば「遺産分割協議書」を作る必要はありませんし、当然 家庭裁判所に行く必要もありません。

遺言書があればそこに指定された財産の分け方で名義変更が行われます。

つまり遺言書に記載してある分け方が最強ということです。

相続問題で兄弟争い

昨今は相続でもめる家族が増加していますが、遺言書がなくて遺産分割協議がまとまらないと、遺産が凍結してしまう場合もあります。

遺産相続を裁判所まで持ち込まれるケースは、すぐには金銭に変えられない不動産をどう分けるかをめぐって争われることが多いです。

金銭なら、多少もめても簡単に分けやすいシロモノですが、不動産ではそうはいきません。

不動産の分割方法

現物分割…不動産をそのまま分けること。だれがどれを相続するかで話し合いが難航する場合がある。

代償分割…1人が不動産を相続し、ほかの相続人に金銭を支払う。不動産の評価でもめることがある。

換価分割…不動産を売却して代金を相続人に分割する。不動産を売りたくない相続人がいるともめる。

共有…相続人で不動産を共有する。賃貸・売却には全員の合意が必要であり、一人でも判断能力を失ったり 所有者同士でもめると 不動産は凍結してしまう。所有者の人数が多すぎて手が付けられなくなることもある。

終活に遺言書作成は絶対必要!

相続問題で兄弟争い

現代の法律と現実のギャップを認識すべし

戦後に育った人たちは 戦後に施行された民法の相続制度や法定相続を 学校で習ったりして 知識として持っています(対処法がわからないという方は多いですが)

とはいっても、日本人には当たり前に遺言書を作る習慣がありません。

また、一般的にその意識も低いものです。

それは第二次世界対戦終了まで長男が全ての財産を引き継ぐ「家督相続制度」が国の制度だったことも理由のひとつです。

この制度では遺言の必要がありませんから、特に昭和初期生まれの世代の方は そもそも遺言書を作るという考えがわかないのです 。

このように法律と現実のギャップを認識していない世代は 遺言書の必要性を感じていないため、日本では遺言書を作る意識が薄く、それが相続問題をこじらせる原因となっています。

相続争いを防ぐ2つのシンプルな方法

相続問題で兄弟争い

家族に日ごろから遺産分割の意識を促しておく

相続問題を勃発させないためには、常日頃から財産分与についての自分の考えをしっかりと家族に伝えておくことです。

まずは相続する人たちの遺産分割の意識を改革しておくことが はじめの一歩となります。

遺言書を作り法的な裏付けを取る

もうひとつは その財産分与の考えを現実化させるために法的な裏付けをとること。

つまり遺言書の作成です。

残された家族の平穏な生活を担保して安心して旅立つためのツール、それが遺言書です。

自分の亡き後の家族の状況は 旅立つ人の心構え次第で変わります。

社会には物の所有者がその所有物を100%自由に処分することができる大原則があります。

人それぞれ、様々な思惑を持っていますから 自分の死後、家族に平穏な生活を送ってもらうためには 遺言書が必要で、自分が最適と思う財産の分け方を遺言書で指定することが最善なのです。

相続問題のおすすめ専門家ランキング!弁護士・遺言書作成・相続代行・空き家問題