相続で訴えられた!前妻の子が後妻の財産隠しを疑い遺産分割調停申立
これは父の遺産相続で母と私が前妻の子どもたち4人かから訴えられた時のエピソードです。
登場する人物
■父…85歳で他界。前妻を病気で亡くしている。
■母…当時55歳。父の後妻。
■私…当時27歳。母の連れ子。父とは養子縁組み済み。
■前妻の子供たち…4人とも50代
母に因縁をつける前妻の4人の子供たち
父が85歳で他界してその遺産を分割することになりました。
父は引退してずいぶん経っていましたが 名の知れた企業でトップ近くまで登り詰めた人だったので 退職金や年金はかなりもらっていましたが、亡くなった時点での貯金通帳の残高は 葬儀の代金を払うとほぼゼロになりました。
前妻の子供たち4人はそれを「おかしい!」と思ったようです。
父は晩年 認知症が悪化して老人施設に入所していたため、

その間に父の資産を後妻が横取りしていたに違いない!
…ということで、相手方は弁護士を立てて相続を調停に持ち込んできました。
母が生命保険の外交員時代に父と知り合って再婚したという経緯があったので、

父に高額な保険金の生命保険をかけていたのではないか?
とか、私がお産をしたときに母が手伝いに2か月ほど来てくれたのですが、

そんなに長期間 後妻が父をほったらかしていたから、認知症が進んだり、高額な商品を買わされたり、新興宗教団体の勧誘を受けて大金を取られてしまったのではないか?
…など言いたい放題で、自分たちの義務は棚に上げ、すべてを母のせいにする始末でした。
実際に父はある宗教に入信して総本山という場所に合宿のような感じで出かけたり、壺を購入したりはしていました。
庭造りにもかなりのお金をかけており「戦死した弟や戦友の供養のため」といって泉水にシャワーを作ったりしていましたが、それはすべて父の自由意志でしていたことです。
母にはまったく関係がないことですが、前妻の子供たち4人は根掘り葉掘り話を持ち出してきては 母に因縁をつけていました。
遺産分割協議に2年余りの月日を要した
弁護士まで立てられ、なんの知識も情報もなかった私と母は、半ば恐れおののいて近所にある司法書士の元へ相談に行くことにしました。
何をどう調べられても父の遺産は母が住む家屋敷だけだったのですが、相手方は

後妻はただちに家を出ていき、不動産を売却して遺産を分けろ!
…と半ば強要していました。
そのことを話すと、司法書士は家屋敷の財産の算定の仕方など教えてくれて

何も臆することなく、調停に通ってありのままを述べたらいいですよ。
…とおっしゃり、相談料は「近所のよしみだから」と請求されませんでした。
相手方がつけた弁護士のスケジュールに調停の日時を合わせなくてはならず、時間のロスがかなりあったり、母や私の預貯金口座や契約している保険などの内容もすべて調べ上げられました。
このように最初に司法書士の後押しとアドバイスがあったため、遺産分割協議に2年近くもかかり、さんざん嫌な思いもさせられましたが 何とか乗り切れました。
もくろみ大外れ!捕らぬ狸の皮算用の末路は?
調停員から申述書を書いてくるようにと言われたので 私と母の母子家庭時代の話、一生懸命節約して預貯金に励んでいたこと…などを書いて提出しました。
母は20年以上前から欠かさず付けていた家計簿を提出しました。
これらが証拠として認められたのか 相手が諦めたのかはわかりませんが、これらの経緯から父には預貯金はなかったことが証明されました。
その後 家屋敷を売却して金銭に置き換えて分割・相続することになりました。
家は古く、土地もあまり便の良い立地にはなかったためなかなか買い手が現れませんでした。やっと売れたと思っても 正直 二束三文といったところでした。
相手方の取り分の10分の4はそこから支払いました。
遺産分割調停を申し立て、2年余りの期間と弁護士を立てて争うほどの相続財産などは 我が家にはそもそもなかったのです。
後日、母と二人で笑いながら話しました。

もしかしたらあの人たちは 弁護士費用の方が高くついたんじゃない?
前妻の子に相続させない方法
前妻は離婚すれば配偶者ではなくなるため、相続人にはなりません。しかし、離婚しても前妻の子と父との親子関係は続くため、前妻の子も相続人となるのです。そして、遺産分割協議は、相続人全員が参加しなければならないため、前妻の子も交えて話し合いをしなければならず、その結果、トラブルになる可能性が高くなります。そのため、このようなケースでは、トラブルを避けるための対策をとる必要があります。
遺留分とは、法律上、兄弟姉妹以外の相続人に最低限認められている遺産の取得分のことをいいます。前妻の子の場合は、本来もらえるはずの法定相続分の2分の1を請求することができます。相続法の改正により、2019年7月1日以降に亡くなった方の相続については、この財産に相当する金額の金銭を請求できる、ということになっています。
遺留分については、生前に放棄してもらうことも可能です。しかし、遺留分を生前に放棄してもらうには、無理やり遺留分を放棄させられるケースがないように、家庭裁判所の許可が必要です。家庭裁判所では、遺留分を生前に放棄する合理的な理由があるか、放棄する代わりに何か財産を受け取っているかといった事情を踏まえて判断します。このような事情がない場合には、遺留分の放棄が認められない可能性があるといえます。
【死後に相続放棄をしてもらう】
前妻の子が相続放棄をする場合、前妻の子が相続放棄の申し立てを家庭裁判所に対して行う必要があります。相続放棄の申述書や、被相続人の戸籍や住民票等、前妻の子自身の戸籍等を用意して、裁判所に申し立て、裁判所が相続放棄を受理すれば、相続放棄がなされたことになります。相続放棄は、基本的に、前妻の子が、父が亡くなったことを知った時から3カ月以内に行う必要があります。【相続分の放棄】
上記の相続放棄と似たものとして、相続分の放棄というものがあります。これは、いわば、相続人との話し合いのなかで自分の相続分を放棄することで、家庭裁判所の手続きは必要ありません。財産を受け取らないことになるのみで、相続人であることには変わりがないので、遺産分割協議書をつくる場合には、署名押印をする必要はあります。また、被相続人に債務があった場合には、債務の負担を免れることはできないなど、相続放棄との違いがありますので、注意が必要です。【相続人排除】
ケースとしては少ないですが、相続人のなかで、被相続人に対して虐待や重大な侮辱をしていた人がいる場合には、相続人廃除という手続きで相続人としての資格を剝奪することができます。廃除は、生前に行うことも、遺言で行うこともできます。ただし、廃除をする場合には、家庭裁判所に廃除の申し立てをしたうえで、家庭裁判所が、虐待等があったかどうか、廃除が妥当かどうかを判断して決定します。そのため、被相続人が廃除を希望したからといって、必ずしも実現するものではありません。
引用元:相続会議(2021年4月1日時点の情報)
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