死後離婚の年金・相続・デメリット!子供のいない夫婦のトラブル実例

死後離婚とはどんなもの?夫の死後に離婚届が出せるの?
死後離婚したら遺族年金はもらえないの?相続はどうなる?
死後離婚したら子どもの戸籍は?相続はどうなるの?

こんな疑問にお答えします。

【監修者】
オレンジ@終活ガイド

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死後離婚の年金・相続・デメリット!子供のいない夫婦のトラブル実例

死後離婚の実例

死後離婚とは「婚姻関係終了届」を役所に提出することを指します。

「死後離婚」という表現が一般的に使われていますが、実は法的には死後に離婚することはあり得ません。それは夫の死亡により婚姻関係は解消しているからです。

死後離婚は姻族関係終了届を提出するだけ

死後離婚の実例

死後離婚の手続きは簡単です。印鑑と本人確認書類(運転免許証など)を持参して 本籍地か住所のある市区町村役場へ出向き、夫妻両方の戸籍謄本と「婚姻関係終了届」を提出するだけです。

手数料はかかりません。夫の血族の同意も必要ありません。終了届を提出したことが夫の親族に連絡されることもありません。

ただし、死後離婚の届け出をした後に これを撤回することはできません。

死後離婚すれば墓や嫁姑・介護の問題から解放されて肩の荷が下りる!?

死後離婚の実例

夫との死別後に、夫の血族(両親や兄弟など)との法律的な関係を解消ために、妻は「婚姻関係終了届」を提出して「死後離婚」に踏み切ることができます。

夫が亡くなれば夫妻の婚姻関係は終了しますが、死後離婚しなければ夫の血族と妻との親族関係はそのまま続きます。よって夫の両親に対する扶養義務もそのままです。

死後離婚の件数は10年前の2倍以上、1000件以上増加しています。死後離婚を利用するのはほとんど女性です。自分が死んだあと、夫のお墓に入りたくないという妻もとても多いですから、そういう場合には死後離婚は有用でしょう。

妻が夫と死後離婚の手続きを取らなかった場合、義父母や義理の兄弟の扶養義務を負います。

将来、夫の両親の介護を引き受けなければならなくなる可能性もありますから、これがなくなることが 妻側から見た死後離婚の一番のメリットだと個人的には思います。

死後離婚の実例

高齢者の方の間では「親の面倒は嫁がみるもの」という考えが根強く残っています。介護は嫁がして当たり前…という風潮もあるあるですよね。

それにもかかわらず、長いこと同居していても、義父母の介護を献身的にやっていても、嫁は相続においては他人扱いです。損得勘定にかかわらず無料奉仕してきた嫁に恩恵がゼロというのも なんともおかしな話です。

こんな扱いを受ける嫁の立場からしたら 法律とはいえここまで努力や献身が報われないことに対して「なんともはや…」と思わずため息が出ます。

しかし2020年7月に民法が改正され、嫁が義理の両親の介護をして それが特別に寄与したと認められれば 相応の金額を相続人に請求できることになりました。

ただし一定の手続き(無償で介護の労務提供をした証拠の提示)が必要です。介護の証拠(経費の領収書や介護日記や記録など)を きっちりと保管しておかなければいけません。

結構な準備と手間はかかりますし、しかも時効は6か月と限られています。そこまでやったとしても どれだけの金額をもらえるかはケースバイケースです。

不義理と言われてしまえばそれまでですが・・・義父母の扶養義務から解放されたい人には、死後離婚は都合のいい制度でしょう。死後離婚が増えている理由、同じ嫁の立場から 私も納得できます(爆)

旦那との死後離婚で子供の戸籍や相続はどうなる?

死後離婚の実例

妻が死後離婚しても、子どもと夫の両親の血縁関係はそのままです。祖父母や叔父・伯父・叔母・伯母との関係も今まで通りです。

死後離婚することで 妻は夫の両親の相続権はなくなりますが、子供は「代襲相続」という形で遺産を相続できます。

子供が亡くなった親に代わって遺産を相続することを「代襲相続」といいます。

死後離婚で遺族年金や相続はどうなる?

死後離婚の実例

死後離婚後の相続

死後離婚しても、夫の財産の相続権は失われませんから、妻が不利益を被ることはありません。

仮に夫の親族から相続放棄を迫られたとしても それに従う筋合いはありません。 ※夫に多額の借金があった場合は相続放棄を選ぶべきですが。

死後離婚後の遺族年金

死後離婚しても、遺族年金が支給されます。ただし妻に再婚や事実婚などがあった場合には、年金の支給は停止されます。

死後離婚後の戸籍はどうなる?

死後離婚の実例

妻が夫の戸籍から出るには

妻が死後離婚の手続きをすると、戸籍に「姻族関係終了」と記載されます。婚姻関係は終了しても戸籍は夫の戸籍に入ったままです。

妻が夫の戸籍からはずれたい場合は 復氏届(ふくうじとどけ)を提出し、親の戸籍(旧姓)に戻るか、新しい戸籍を作るかを選びます。

子供の戸籍はどうなる?

妻が復氏届を出しても、子供の戸籍はそのまま変わりません。

子供の戸籍を自分の戸籍に入れたい場合には、新しい戸籍を作る必要があります。その後、家庭裁判所で「子の氏の変更」の手続きをしてから 子供の入籍届を出します。

死後離婚の実例~いとこの急逝で垣間見えた泥沼死後離婚劇

死後離婚の実例

私には2つ年上のいとこ(A君)がいたのですが 6年前に50歳の若さで肝臓がんで他界しました。彼は2年目の新婚さんで、10歳下の奥さんとの間にはまだ子どもはおらず、両親(私の叔父と叔母)の援助で建てた新築の一軒家に住んでいました。

夫が亡くなったことで、この若い奥さんは死後離婚を選び、すぐに実家に帰ったそうです。それは当事者間でかなりいざこざがあったからみたいです。

遺産はこの不動産のみ。遺産分割協議の話し合いで、叔母が「私たちが援助して建てた家なんだから、全部私たちのものだ」と言い張って譲らなかったのです。

バツイチのA君のところに10歳も年下の若い女性がお嫁に来てくれた時には、叔父も叔母もとても喜んでいたので、彼らの関係は良好だったのですが、お金が絡むと一瞬で関係は悪くなるんですね。

お嫁さんの方は結局相応の金額を支払ってもらってこの家を出ていき、今はバツイチの娘(A君の妹)が子供と一緒にそこに住んでいます。

死後離婚の実例

子どもがいない夫婦の場合、法定相続人は配偶者と親で、配偶者が3分の2、親が3分の1の法定相続分となります。

財産が不動産だけだったので「代償金」という形でお嫁さんにお金を渡したのですが、多額の支払いが生じたことに叔母のイライラは止まらなかったようです。叔父は黙ったままでしたが。

A君は遺言書を作っていませんでした。奥さんに生前贈与もしていませんでした。それがもめる元凶でした。

法的に遺産のほとんどは奥さんに行きますが、結婚して2年あまりで愛する夫に先立たれた上に遺産相続の大トラブルに見舞われ・・・他人事ながらお気の毒に思ったものです。

最後に私たちがA君の状況を知らされた時には末期の状態で、私が母とお見舞いに行った3日後に彼は亡くなってしまいました。

A君は多分余命宣告は受けていたのではないかと思います。もしそこまでは知らされていなかったとしても、がんの告知を受けたときに奥さんのために遺言書を用意しておけば、奥さんをつらい目に遭わせなくて済んだのに…と思います。やっぱり遺言書は作っておくべきですね。

死後離婚のトラブルやデメリットは?

死後離婚の実例

死後離婚を選ぶ人にもそれなりの理由があります。そして死後離婚には相応のメリット・デメリットがつきものです。

夫の親族との関係を断ち切った場合、心理的なしこりやその後の法事をめぐるいさかいなど、様々なトラブルが起こる可能性があることも視野に入れて決断しなければいけません。

子供がいる場合には さらに人間関係が悪化したり複雑化する可能性もあります。なかなか決断できない場合は、行政書士や司法書士などプロの助言をもらった方がよいでしょう。