高齢者の生前整理の進め方!4つの手順で自宅内事故を予防できる
生前整理の最大の目的は、家族の負担を減らすことにあります。
現在の親世代はモノのない時代に育ち、高度経済成長期あたりに働き盛りを迎えた年代です。
モノをすてるのが「もったいない」という気持ちと同時に 物があることに「豊かさ」を感じているので、不要なものでも「いつか使うかもしれないから」と捨てることを渋ります。
年齢を重ねるにつれ、この傾向は強くなります。
次第に体力が衰え、足腰が弱くなってくると、ますます片付けがおっくうになり、押入れや引き出しになんでも押し込めて 物があふれだすのです。
そんな片付けの負担を減らすためにも、今、生前整理に着手することがおすすめです。
これから先の自分の人生に必要ないものを処分することは、自分の持ち物や気持ちを整理する良いきっかけになります。
【生前整理の進め方】ルールはシンプルに3つだけ
4つに仕分ける
まずはモノを仕分けます。
「使うもの」「使わないもの」の2択に「人にあげるもの」「捨てるかどうか迷っているもの」を加えて 4つに分類します。
物をカテゴリー分け
本、衣類、食器…など、物ごとにカテゴリー分けしていきます。
居間やキッチンなど、特定の場所にあるもので分けるのではなくて、あくまでも同種類・堂ジャンルのものに分けます。
「本」なら、家の中にあるすべての本や雑誌を1か所に集めて、4つに仕分けていきます。
処分に迷ったものは半年後に捨てる
捨てるかどうか迷ったものは、とりあえず段ボール箱などにひとまとめにして保管します。
保管場所は押入れの奥などに入れてしまうのではなく、目につくところに出しておきます。
そのまま半年おいてみて、使わないのであれば それは必要ないものと判断して 処分します。
生前整理を無理なく進める4つの手順
- モノの整理…使うか捨てるか判断しやすいモノの片付けから着手する
- ココロの整理…趣味のものや写真など。迷ったときは「迷うもの」に仕分けする
- 情報の整理…保険・預貯金などの財産から、交友関係、エンディングの関する情報(お葬式やお墓など)
- 継続する整理…しばらくすると必要なものが変わったり、もの自体が増えることもある。定期的に見直しをして、整理された状態を保つよう心がける。
「手元に残すのはこれからの人生に必要なものだけ」というルールを最初に決めてしまえば、自然とモノは減っていきます。
整理された状態をキープするためには、モノを増やさないための買い物を心がけていくことが大切です。
本当に使うものしか買わない
収納場所がなければ買わない
一目ぼれで衝動買いしない
流行に乗せられて買わない
他人と比較して買わない

他人が見たら価値のない不用品であったとしても、本人にとっては思い出深い大切なものかもしれませんから、最近はやりの「ミニマリスト」を目指す必要はありません。
あくまで判断基準は自分のココロ次第です。
とはいえ、生前整理をして この先の介護やもしもに備えることは 自分の暮らしを整えることにもつながります。
自身が亡くなった後に遺族が遺品整理で苦労しないくらいまでは 身の回りの整理をしておくことがおすすめです。
まずは玄関周りからすっきりさせていく
高齢者の片付けでどこから手を付けたらいいか迷った時には、まず玄関周りから始めましょう。
例えば大きな地震が来て逃げる時、避難しやすくするには出入り口の導線を確保しておくことが大切だからです。
緊急に避難する時は、日常ではあまり気にならない障害物や段差に足を取られてケガをしたり骨折することが多いのです。
また地震の揺れが大きい場合、玄関近くに背の高い家具があれば、倒れて逃げ道をふさがれてしまう可能性もあります。
家具の上部にしっかりとストッパーをつけるか、倒れる恐れのある家具自体を置かないことがいちばんです。
自然災害による万一の時に備えて、逃げ道をふさがない工夫を考えておきましょう。
高齢者が生前整理をする3つのメリット
生活がスムーズになる
高齢になるにつれ、体力やいろいろな能力が衰えてきます。
モノの管理についても同様で、モノがあふれる家に暮らしていれば必要なものが見つかりづらくなりますし、掃除や整理整頓の手間や時間も相応にかかります。
ですから生前整理をして、本当に必要なものだけですっきり暮らしていくのは シンプルに毎日の生活がしやすくなります。
バリアフリーリフォームも介護も楽になる
高齢になって自宅をバリアフリーにリフォームする場合も、介護が必要になった時にも、モノが少ないほどスムーズに生活が送れます。
自宅内事故を予防できる
65歳以上の高齢者が事故に遭ったりけがをする場所は77%が自宅だそうです。
自宅内の事故のうち 特に事故が多いのは居間が45%で最も多いです。
次いで階段が18% 台所が17% 玄関が5% 風呂場が3% トイレが2%です。
住み慣れた住宅の居室での事故が多いのですから、片付けてモノを少なくしておくことは 事故を予防することにもつながると思います。
ただでさえ 高齢者は骨がもろくなったり 筋肉が萎縮しています。
骨の周囲にそれを守る筋肉が少なくなっているため、転倒しただけで骨折しやすくなっています。
生前整理は、そんな身近な危険を予防・回避することにもつながります。

