介護者を失った高齢者がサービス付き高齢者向け住宅を見つけられた話
これは2018年11月~2019年3月に介護者を失った高齢者が素早く安心できる住居を見つけられた話です。
登場する人物
Aさん:80代、女性、要介護者
Bさん:70代、女性、Aさんの近所の人
Cさん:60代、女性、民生委員
Dさん:40代、男性、社会福祉士
Eさん:50代、男性、Aさんの担当ケアマネジャー
Fさん:50代、女性、Cさんの知人でサービス付き高齢者向け住宅の経営者
私:30代、男性、相談窓口担当(社会福祉士)
要介護者を失った高齢者の住まい探し
要介護者のAさん(80代女性)は夫に先立たれ、息子と二人で暮らしていました。
Aさんは認知症のような症状はないものの、身体が弱っており介助が必要な状態で「要介護1」の介護認定を受けて週1~2回ほどデイサービスに通っていました。
家にいる間は息子が主たる介護者だったのですが、息子がバイクを運転中に交通事故に遭い急死。
そのことでただでさえAさんは悲しみに明け暮れていましたが、それ以外にも自宅が息子名義になっていたため、社会的手続きなどをAさんが行うことも難しい状況になりました。
そのことを案じた近所のBさん(70代女性)は民生委員のCさん(60代女性)に相談したうえで「やはり専門職に相談しよう」と相談窓口にやってきました。
まずは私がBさん・Cさんも同席のうえでAさんの家庭訪問をしてお話を聴きました。

息子が亡くなったことが本当に悲しくて仕方がない。この家は過ごし慣れているが、この家にいると息子を失った悲しみに包まれるようでつらい。
家が高台にあるし 段差も多いから 一人暮らしをするのは不安を感じる。今まで通りのデイサービスには通いたいけれど、住まいは安心できるところがいい。
…という希望がAさんにはあったため、その希望を社会福祉士のDさん(40代男性)に伝え、まずは担当のケアマネジャーであるEさん(50代男性)に連絡調整することにしました。
そこでは、Aさんの自宅の法的な手続きは後から専門家と相談するとして、まずはすぐにでもAさんが安全に暮らせる場所探しを優先することになりました。
利用しているデイサービスにも通える住まい探しに成功
まず、ケアマネージャーのEさんからは 介護付有料老人ホームや軽費老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などが提案されました。
しかし介護付有料老人ホームは高額であり、Aさんには利用料の支払いが難しいと判断しました。
軽費老人ホームは費用面ではいいのですが、これまで通りのデイサービスに通うとなるとやや遠くなることがAさんにとっては不安でした。
結局どこがいいのだろうか?と専門職たちが悩んでいるところに、民生委員のCさんから

私の知り合いが Aさんの家の近所に入所施設を近々オープンさせると言っていましたよ。
…と情報提供を受け、Aさん本人とCさん・Dさん・Eさんが見学に行きました。
場所的にはこれまでAさんが暮らしている地域の隣町で なじみも土地勘もある場所、事業形態も「サービス付き高齢者向け住宅」ということでこれまで通りデイサービスに通うこともでき、必要があれば住宅内でホームヘルプサービスを受けることもできるという好条件でもありました。

こんなきれいな場所に住ませてくれるなんてありがたい。
見学したAさんは納得がいった様子でした。
サービス付き高齢者向け住宅の経営者のFさん(50代女性)からは

単に住むだけでなく、住宅内でも楽しんでもらえるような取り組みを考えています。
…という説明を受けて、Aさんはますますこのサービス付き高齢者向け住宅への転居を強く希望しました。
このように近所の人や民生委員、社会福祉士やケアマネジャー、事業所の経営者など色んな人々が素早く動いたことで、少なくとも「住まう」ということの安心を提供することができたのでした。
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