福祉支援により高齢者がサービス付き高齢者向け住宅に入居した体験談
30代男性 これは社会福祉士の私が関わった、介護者を失った高齢者が福祉支援により安心できる住居を見つけられた話です。
要介護者のAさん(80代女性)は夫に先立たれ、息子と二人で暮らしていました。
Aさんには認知症のような症状はないものの身体が弱っており、介助が必要な状態で「要介護1」の介護認定かおりていて 週1~2回デイサービスに通っていました。
家にいる間は息子が主たる介護者だったのですが、その息子がバイクで交通事故に遭い急死。
そのことだけでもAさんは悲しみにうちひしがれていましたが、身寄りが誰もいないことでいくつかの問題が浮上しました。
特に自宅が息子名義になっていたため、社会的手続きなどをAさんが行うことも難しい状況になりました。
そのことを案じた近所のBさんが民生委員に相談したうえで「やはり専門職に相談しよう」と相談窓口にやってきました。
まずは私がBさん・Cさんも同席のうえでAさんの家庭訪問をしてお話を聴きました。

息子が亡くなったことが悲しくて仕方がない。この家は過ごし慣れているが、ここにいると息子を失った悲しみに包まれるようでつらい。それに家が高台にあるし 段差も多いから 一人暮らしをするのは不安を感じる。今まで通りのデイサービスには通いたいけれど、住まいは安心できるところがいい。
こんな希望がAさんにはあったため、まずその希望を別の社会福祉士に伝え、担当ケアマネジャーに連絡調整することにしました。
そこでは、Aさんの自宅の法的な手続きは後から専門家と相談するとして、すぐにでもAさんが安全に暮らせる場所探しを優先することになりました。
ケアマネからは Aさんの新しい住まい候補として 介護付有料老人ホームや軽費老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などが提案されました。
しかし介護付有料老人ホームは高額であり、Aさんには利用料の支払いが難しいと判断されました。
また軽費老人ホームは費用面ではいいのですが、これまで通りのデイサービスに通うとなると やや遠くなることがAさんにとっては不安でした。
では結局どこがいいのだろうか?と専門職たちが悩んでいるところに、民生委員から情報提供を受けました。

私の知り合いが Aさんの家の近所に入所施設を近々オープンさせると言っていましたよ。
そこでAさん本人とケアマネ、民生委員、社会福祉士の4人でその施設の見学に行くことになりました。
そこはAさんが暮らしている地域の隣町で なじみも土地勘もある場所です。
しかも事業形態が「サービス付き高齢者向け住宅」で これまで通りにデイサービスに通うこともでき、必要があれば住宅内でホームヘルプサービスを受けることもできる…という好条件でもありました。

こんなきれいな場所に住ませてもらえたらありがたい。
サービス付き高齢者向け住宅の経営者からは

単に住むだけでなく、住宅内でも楽しんでもらえるような取り組みをいろいろ考えていますよ。
…という説明を受けて、Aさんはこのサービス付き高齢者向け住宅への転居を強く希望しました。
近所の人や民生委員、社会福祉士やケアマネジャー、事業所の経営者など色んな人々が素早く動いたことで、少なくとも「住まう」ということの安心を提供することができた事例です。
悩んでいることや気になる事がある方は、一度気軽に行政に相談してみることをおすすめします。