ペット信託と終活の体験談!飼い主が死んだらペットはどうなる?
30代女性 これは私が目の当たりにしたペット終活に関するエピソードです。
当時の私は介護サービスのスタッフとして、身寄りがない82歳の独身男性(Aさん)のお世話をほぼ毎日行っていました。
Aさんは一人では寂しいからということでペット(犬)を飼育していましたが、犬の世話をするのも容易ではなくなってきたことを年々実感するようになり、

自分にもしものことがあった時に犬が取り残されてしまうのが心配だ。
…と犬の行く末を懸念されていました。
ペット信託の契約を猛反対する遠縁の一家
Aさんが愛犬家であることは、毎日寄り添ったサービスをしている私から見てもわかります。
今をともに生きる人生の唯一のパートナーである愛犬の将来をどうすべきか。何を残すべきか。いわゆる終活とペット問題で悩まされていました。
そこで私がネットでいろいろ調べてみたときに得た情報を Aさんに伝えたことがあります。

家族信託の中にペットの契約ができる「ペット信託」というのがあって、ペットに生涯のお世話の費用を遺産として残す方法があるみたいですよ。
…と話してみたところ

それを使えば 最期まで犬の世話をしてもらえるね。
…と喜んでいました。
そしてペット信託を契約しようとしていたとき、Aさんは遠縁の親戚(Aさんの介護サービスの保証人になっている親族)の猛反対に遭いました。
遠縁の親戚はAさんの犬に対する信託について異議申し立てをしてきたそうです。

私たちがAさんの犬の面倒を見る。
…と犬の引き取りの交渉もしてきました。
しかしAさんから聞いたところによると、その遠縁の一家は大の犬嫌いであるとのこと。
犬嫌い一家が犬を引き取るということは 遠縁の親戚が目当てなのはAさんの遺産であることが火を見るよりも明らかです。
雰囲気からして人間性もあまりよろしくない人たちのようで、やりとりを聞いていた私も困惑してしまいました。
負担付き遺贈で飼い主亡き後でも愛犬の世話を監視できる
悩んだAさんは弁護士に相談したところ「負担付き遺贈」という方法をアドバイスされました。
ペットの世話をすることを条件に遺産を贈与することを遺言するもので、Aさん亡き後も愛犬の暮らしを保証することができる内容です。
「ペット+世話の費用」を遺贈された遠縁一家がもしも愛犬の世話を怠っていることが発覚したら、遺産を返納することにもなるといいます。
世話をきちんとしているかどうかを監視する「遺言執行者」を置くため、愛犬の世話をせずに遺産を使い込むことはできません。
遺言執行人というのはAさんが指定した人が担うのですが、これは弁護士に依頼することも可能だということから、Aさんはその弁護士を遺言執行者に依頼しました。
自分亡き後のペットの世話は信頼できる人にお願いすることを「遺言書を書き残しておくだけでよい」とイメージしていたAさんは 遺言執行人を立てる方法があることを知って本当に安堵していました。
引き取り手から相続放棄されてもペットが困らないようにするためには?
しかしその時にAさんは弁護士から こうも言われたそうです。

遺産を受け取るということはペットの世話をするということですが、相手方は相続放棄する権利も持っています。もし相続放棄をされても困らないように、ペットの引き取り先も別にきちんと考えておくべきです。
愛犬家にとって犬は家族同然の存在ですから、もしもの時の処遇についてしっかり対応しておく必要があります。
日本の法律では動物は遺産相続ができません。
またペットのための使う遺産は動物の引き取り手が受け取るので、相続人については十分に吟味して選ぶ必要もあります。
やり方を選べば間接的にペットに遺産を遺せるからこそ、大事なのは相続人の人となりを知ることだったり、相続人にペットを託して安心して天国に旅立てるのかをしっかり考えて結論を出すことでしょう。
先の弁護士のアドバイスにもあるように、負担付き遺贈の制度を100%過信することなく、法律とは別にペットの引き取り先を考慮しておくことが大切です。


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