勉強本・教養本・教育本・脳科学本【みんなのおすすめ本レビュー】


FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

大人勉強おすすめ本

ファクトフルネスとは―データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣。賢い人ほどとらわれる10の思い込みから解放されれば、癒され、世界を正しく見るスキルが身につく。世界を正しく見る、誰もが身につけておくべき習慣でありスキル、「ファクトフルネス」を解説しよう。世界で300万部の大ベストセラー!特にビル・ゲイツは、2018年にアメリカの大学を卒業した学生のうち、希望者全員にこの本をプレゼントしたほど。

ビル・ゲイツ、バラク・オバマ元アメリカ大統領も大絶賛!
■「名作中の名作。世界を正しく見るために欠かせない一冊だ」―ビル・ゲイツ
■「思い込みではなく、事実をもとに行動すれば、人類はもっと前に進める。そんな希望を抱かせてくれる本」―バラク・オバマ元アメリカ大統領
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20代男性 この本は私たちにとって疑わない世界の常識を、統計学を用いて本当に正しいのかを調べた本です。ハンス・ロスリングさんが文字通り生涯をかけ調べ、その答えを見つけました。その後彼の遺志を継ぎハンス・ロスリングさんの二人の娘さんが本にしたためました。

「この世界は常に悪くなり続けている」と考えている人が多いが 実際に世界は悪くなり続けているのか。当初の私は世界は常に悪くなり続けているのは当然だと考えていました。

なぜなら、ニュースを見れば世界中が犯罪者のニュースであったり、アフリカなどの食糧危機問題であったり、最近ではコロナなどの悪い報道が常にあったからです。

本当に世界が悪くなっているのかどうか?については その指標としてまず世界人口が昔と比べて増えているかどうか。これは人口が増えればそれだけ安全で豊かな国が多いという指標になります。

次に世界の平均寿命このデータによって、昔より寿命が短くなっていれば世界は悪くなっていると考えられます。最後に世界の犯罪率、このデータの犯罪率が高ければ高いほど世界は悪くなってると考えられます。

彼の本に書いてある実際の統計のデータから50年前と今の世界の人口の数の変化、平均寿命、そして世界の犯罪率を比べました。驚いたことに、人口は2倍に増え、世界の平均寿命はなんと72歳であり、そして世界の犯罪率は減少傾向であるとデータが出ました。

つまり、世界は常によくなり続けているという結果になります。それでも疑う人に対してハンス・ロスリングさんはこう言いました。

私たちが見ている世界は50年前の世界である。

それを聞いて 確かに世界の問題に対して実際に勉強したのは学生の時だけだし、その書かれている教科書は一体何十年前のことについて書いてあったのか定かではない。

それを今も変わらず、ずっと起きているはずがない…そんな当たり前のことに気づかされて 私は大いに感銘を受けました。

コロナも少し前までは県外に出ることすら禁止されていましたが、今は比較的緩和されているのをみても 世界は少しずつ変わり続けています、それもよい方向へと。

この作品にはAudible版があります


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独学大全—絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法(読書猿)

大人勉強おすすめ本

古代ギリシアから最新論文まで、ありとあらゆる「知」を全網羅!著者が独自に収集・開発した技法「ベスト55」を厳選した「独学本」「勉強本」の決定版!!

▼柳川範之氏(東京大学教授) 「著者の圧倒的な知識に裏打ちされた勉強法の詳細なプログラム。学生から大人まで使える」
▼山口周氏(独立研究者) 「この本、とても面白いです。アインシュタイン、ダーウィン、エジソン、ジョブズ…イノベーターの多くは独学者だった。混乱の時代、あらためて『独学の量で人生は決まる』と強く訴えたい」

本書はインターネットの知の巨人、読書猿による「独学のやり方」を完全網羅した1冊です。独学者は孤独です。やる気が起きないとき、挫折したとき、どの本を読んだらわからないとき、他人と比較してコンプレックスに押しつぶされそうなとき…どんなときでもこの本を手元に置いておくことで、何らかの答えが見つかる「独学の百科事典」が完成しました。これまでの勉強本との一番の違いは、全てに学問的裏付けがあり、かつ誰でも使えるようマニュアル化されている点です。「著者一人の経験」や「脳科学神話(あなたはまだ脳の10%も使えていない)」を押し付けるのではなく、「ダメダメでサボってしまう」というヒトの性質を前提に、歴代の独学者たちが開発してきた方法(読書猿さんはこれを「外部足場」と読んでいます)を収集、著者独自の視点で技法に昇華させています。

この本のゴールは、独学する内容、ジャンルを問わず「何を」「どう学ぶか」を自分で決めて実践できること。「誰かのおすすめ」や「偶然の出会い」に依存する人生、そして「忙しいから」と言い訳をつけて学ぶことから逃げる人生をやめることができます。受験勉強や資格試験などゴールが明確な人に向けて「どう学ぶのか(How)」に答えるのはもちろん「何を学ぶのか(Whtat)」を見つけたい人、「なぜ学ぶのか(Why)」に立ち返りたい人にも具体的な技法が用意されています。
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20代女性 本書はまずレイアウトが良いです。索引がついているので、読みたいところから読み始めることができます。今自分が困っていることが文章になって索引に収まっているので、50音順でそれを探していけば自然と悩み事が解決するページにたどり着けるような仕組みになっています。

長いから読めない、はじめから読まないとわからない…なんてことはないです。はじめからこの本は読みたいところ、貴方の悩みを解決するところから読めば良いという形式になっています。つまりあらゆる読者の読み方に対する適応力が他の本と比べて高いです。

参考文献も豊富で「今ここから始めたい」という人に向いています。この手のハウツー本は「読み終わったけれど、で、次何すればいいの?」というものがたくさんありますが、本書は次から次へと参考文献を紹介してくれるので、自然に次の本へと誘導してくれます。

本書中で私が最も感銘を受けたのは「独学も読書も自由であっていい」というあり方です。どんな勉強法でもいいし、どれを選ぶかは自分次第であること。先人たちが作った勉強法をして、記録をとって自分に合わなかったら次の勉強法に移れば良いだけ。

本も同じで、この参考書が合わなかったら別の本にいけばいいだけ。「これが正解です」という押しつけがましさがないところもとてもいいです。

何を勉強するかしないかも、どう勉強するかしないかも 全て自分でアレンジできる。そして何から始めたら良いかもアシストしてくれる最高の本です。

国語ならこの本、数学ならこの本…と ジャンル別で大学の授業で使われているような教科書を参考文献として挙げられているところからも、本書は勉強・独学の解像度が高いと見受けられました。

この作品にはAudible版があります


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人生を面白くする本物の教養(出口治明)

大人勉強おすすめ本

本を読み、人に会い、旅をする。そして自分の頭で考え抜く。教養とは人生における面白いことを増やすためのツール。であるとともに、グローバル化したビジネス社会を生き抜くための最強の武器である。その核になるのは、「広く、ある程度深い知識」と、腑に落ちるまで考え抜く力。そのような本物の教養はどうしたら身につけられるのか。60歳にして戦後初の独立系生保を開業した起業家であり、ビジネス界きっての教養人でもある著者が、読書・人との出会い・旅・語学・情報収集・思考法等々、知的生産の方法のすべてを明かす!
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30代女性 「教養」という言葉を聞いても、具体的には一体どのようなことなのか説明がしづらかったのですが、この本を読んで「教養=自分の頭で考える力」だと感じました。

現代の日本の教育は、いまだ戦後の社会を反映しているものと言えるそうです。戦後の日本は復興のためにアメリカを手本として、経済や産業などを立て直してきました。圧倒的な手本、見本があるために「自分の頭で考えない方が都合がいい社会」になっていったといいます。

ゴールがハッキリ見えている「ルートのある登山」をしている社会の中で、教育も「教科書を読んで学ぶ」ことが中心となり、思考力を育むことより与えてもらったものを記憶するということが目的となってしまったように思います。

今の社会を動かしているのが、この「自分の頭で考えなくてもいい」教育を受けてきた世代なので、あらゆる変化に疎くなっているのではないかと感じました。しかし、世の中の変化のスピードはすさまじいもので、コロナ渦においてそれが如実に現れました。

「これまで通りではやっていけない」ということが多くなり、多くの人が生活や仕事に何かしらの変化を求められています。これはコロナ渦の間だけではなく、これからの世界は本当に必要なものとそうでないものが二極化し、「変わる」という選択を迫られる場面が増えてくるはずです。

そのような場面で「変わる」決断をすぐにできるかどうかが、時代に取り残されない鍵だと感じます。少しでも迷ったり躊躇したりしていると、あっという間に置いていかれるのが現代社会です。

決断を迫られる場面に遭遇した際に瞬時に決断するためには、多くの本を読み研鑽を積み、広い視野で物事を見たうえで「自分の頭で考える」、つまり教養を身につけるトレーニングを繰り返さなければならないと強く感じました。

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東大教授が教える知的に考える練習(柳川範之)

人生おすすめ本

本書は、高校へ行かず、通信制大学から独学で東大教授になった著者が、大量情報時代に必要な新しい「頭の使い方」を紹介するものである。日々インターネットを通じて流れてくる情報を見るだけで精一杯。あまりにも情報がありすぎてじっくり考えることができない。そもそも大量情報時代においてじっくり考えることとはどういうことなのか? たくさんの情報を使って何をすればいいのか? ……このような現代ならではの問題・疑問に答え、勉強においても、仕事においても、人生においても応用できる、あらゆる思考のもとになる「考える土台」が身につく本。著者が日々実践する大量情報を処理するための工夫やコツが満載。「知的に考える練習」を通じて、たんなる情報の受け売りではなく、どんな状況においても、自分自身の独自の考え、メッセージを自由自在にアウトプットする力が磨かれる一冊。
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30代男性 本書は、情報化社会における情報の扱い方、知的に考える技法を教えてくれる本であり、有意義なアイディアが多数掲載されています。特に情報の扱い方について達見が述べられています。著

者は、昔は限られた情報をいかに活用するかが問われる時代だったと言います。しかし、現代社会は情報が沢山手に入る時代であり、その情報を取捨選択し、有益な情報を抜き出し、自分なりの解答を提示する事が求められる時代だと持論を展開していきます。

また勉強においても物事を丸暗記する事のほかに、考える大切さ、疑問をもつ事の大切さを指摘し、そこにAIでは成し得ない優れた思考が結実すると説明しています。

では具体的にどのように考えるかというと、今までにない異なる分野の情報をくっつけて、新しいアイディアを創造するという手法があります。例えばグーテンベルグは、コイン鋳造機とワイン搾り機を組み合わせて活版印刷の技術を発明、活字の普及と知的水準の向上に大きく貢献しました。

また西洋料理と理科の実験を組み合わせて、料理を理科の実験のように作るという手法も流行っているということです。これらは全く異なる分野の知識をくっつけて面白いアイディアを創造した好例であり、このような考え方は面白いな…と思いました。

またこの他にも、具体的なものから抽象的なものを抽出して捉える思考法も重要であり、物事を考える上で有益な手法だと言っています。これは要するに具体例を一般的な概念に捉えなおし、他の物事に当てはめる事ができる形で理解する…という事だと思います。

この具体例として、織田信長の行動や豊臣秀吉の決断といったエピソードを挙げており、それを事実として知るだけでなく、そこから政治とはどのようなものか、組織のトップとはどうあるべきか、といった抽象的な問題を展開。高次元のレベルで理解できるようにすると、歴史が単なるエピソードではなく、複合的に役立つ知識として使用できるようになるといいます。

明智光秀が謀反を起こした、という歴史上の具体的な事実からは、信長が部下の扱いが下手だったのではないかがうかがわれます。しかしこれだけでは表面的な解釈だけで終わってしまいます。

問題はそのような欠点があったにも関わらず、それでも信長が天下統一しそうなくらいの魅力と強さを持っていたのはなぜなのか?部下の扱いが下手だったにもかかわらず、多くの部下が従い、勢力を拡大してきた理由は何だったのか?完璧な性格の持ち主が勢力を拡大するわけではないのか?…といったように、そこから会社における部下と上司の関係を考えるヒントが抽象的な問題として浮かび上がってきます。

このように抽象と具体を駆使して問題点を構造化できると、応用可能な範囲はさらに広がる、と著者は言います。スピーチなどでも内容の骨組みを作って構造的に捉えると、他の様々なスピーチに応用できますし、上手く行きやすくなります。

抽象と具体の構造化のイメージとしては、多数の具体が抽象につながっていく構造イメージでしょうか。そこから具体と抽象を行き来できると、物事の理解の範囲も広がるのではないかと思います。

また、複数の具体が抽象に含まれている構造もイメージとしてあり得るかな…と思います。具体例がたくさん集まって抽象的な事実を作り出しているというこのようなイメージは、具体と抽象の関係性を的確にとらえる上で役に立つのではないかと思いました。

最後に著者の至言のひとつとして「考える事に終わりはない」があります。一時的に問題に対する答えがあったとしても、そこからは次から次へと次の状況と問題点が発生してくるのであり、世の中のほとんど全ての問題には正解がないということです。つまり正解だと思う選択をしても、その後の状況においてまた判断しなければならないので、前の解答が正しかったのかを正確に判断する事は難しいというのです。

正解は誰にも分からないのです。正解だと思って行動した結果、続けて次の問題が発生し、その問題点に対処していく事が必要になってくるので「これが答えだ!」といったように分かりやすく完結的な正解は多くの場合ありません。そこで正解はなくても よりよいと思える方向に向かっていく事が大切なのだというのです。

このような考え方を展開する事には、自分の選択に対する後悔や悩みといったものが薄れていくという有益な効果があり、ひとつの物の見方として優れているのではないかと思いました。

革新的な思考を大きく進め、世の中全体の評価や価値観を軽視するところなど、手放しで肯定できない部分もありますが、このように著者の言葉からは多くの事を学ぶ事ができるので、気になった方はご一読をおすすめします。

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モンテッソーリ教育×ハーバード式 子どもの才能の伸ばし方(伊藤美佳)

「9つの知能」を伸ばすオリジナルのメソッドを40種類紹介。どんな家庭でも、楽しく、かんたんに子どもの才能を伸ばすことができます。子どもの「困った行動」も、「才能の芽」に見えてくるため、「はじめて子育てが楽しいと思えるようになった」「子どもにイライラすることが少なくなった」「怒ることがなくなったので、自分もラクになった」こんな喜びの声も多数届いています。
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30代女性 子どもの育て方、教育の仕方に悩んだときに主人が購入してくれました。モンテッソーリは、子どもが元々持っている才能を引き出し伸ばす教育です。その引き出し方、伸ばし方を大きく分けて8つの題材に分け、1つずつ細かく分かりやすく説明してあります。

子育て中、悩むことがたくさんありますが、本を読めばそれはしょせん「子育てあるある」で、「普通にあることなんだ」と安心できます。また、その悩みに対してどういう対応をしたら良いかや、その行動はこういう時期だからやっている、だからこういう対応をしたらいいと思われる…など書いてあるため、読んだあとは前よりも納得して対応できるようになりました。

全てが本の通りにはいきませんが、読んでおいたら心の準備ができるかなと思います。

ケーキの切れない非行少年たち(宮口幸治)

児童精神科医である著者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。

50代女性 タイトルからは、なぜ非行少年がケーキが切れないのかの意味が想像つかないと思いますが、読んでなるほど!となります。ケーキが切れない、と言うのは例えではなく、文字通りの意味。本当のことで、作者が職業柄たくさんの例として目にした実体験なのです。

「ケーキのようなものを普通の人のように切れない」理由と、そのような理由を持った子どもたちの特性はおのずと悪い環境に巻き込まれやすいということのロジックに、とても納得が行きます。誰しも、知り合いや周囲にそんな子ども、あるいはそういう元子ども(大人)、居るなあと思い当たるのでは無いでしょうか。そのような子どもたちが、劣悪な環境にならないよう、また、負のスパイラルを起こさないような手立ても考えさせられます。

この作品はAudible版でも楽しめます


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スマホ脳(アンデシュ・ハンセン)

スマホ脳

平均で一日四時間、若者の二割は七時間も使うスマホ。だがスティーブ・ジョブズを筆頭に、IT業界のトップはわが子にデジタル・デバイスを与えないという。なぜか? 睡眠障害、うつ、記憶力や集中力、学力の低下、依存。最新研究が明らかにするのはスマホの便利さに溺れているうちにあなたの脳が確実に蝕まれていく現実だ。教育大国スウェーデンを震撼させ、社会現象となった世界的ベストセラーがついに日本上陸。
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20代男性 人間は社会環境の変化に遺伝子的な進化という意味では適応できていません。脳はまだ数万年前のサバンナで生きていたときと同じだそうです。当然10年前くらいに登場したばかりの「スマホ」にも適応できているはずがありません。サバンナ時代の脳で本能的に反応してしまいます。

ドーパミンというホルモンは何かを達成したときに分泌される報酬物質であり、何に集中するかを選択させる「人間の原動力」です。つまり人を動かすもの。サバンナ時代では食糧を得るためにこのシステムが重要でした。

また「確実に報酬が得られるもの」だけでなく「2回に1回報酬が得られるもの」にも反応する人のほうが生存率が高くなるため 後者のほうがドーパミンは多く放出されるように進化してきました。つまり脳は「かもしれない」が大好きだということです。

スマホはドーパミンの分泌を促し続けるので、重要なメッセージが届いているかもしれない、新しい情報、面白い情報が出ているかもしれない…など、薬物と同じような働きをしてしまいます。またSNSは頭のいい人が考えて作っているので 更に中毒性が高いそうです。

このように10分に1回くらいドーパミンを放出させるスマホを 脳が無視できるはずがありません。その結果、スマホがポケットにあるだけで集中力が落ちたり、寝室にあるだけで睡眠時間が短くなったりするそうです。それに伴って 若い人の精神病が増えていると。

ではどうすればいいのかという方法の一つとして 本書には運動が挙げられていました。1週間に2時間、何でも良いから運動をすれば、集中力は上がるということです。

実は本書は自分で購入したのではなく、会社の上司から「読み終わったからあげる」と言われて読み始めた本です。はじめは「怪しいなぁ」とか「自分は大丈夫だ」とか思っていましたが、想像以上に自分に当てはまる点があって反省しました。

友人と食事に行った時にスマホを机の上に置くこと。それが自分のものでなくてもスマホが目の前にあるだけで食事が楽しくなくなるということを知って、今後は絶対にやめようと思いました。

これからもスマホは使い続けていくものですから、使い方を見直さなければ…と思える本でした。

空気を読む脳(中野信子)

人生おすすめ本

職場で、学校で、なぜ日本人は「空気」を読むのか?中野信子さんが脳科学をとおし、初めて日本人の心性と強みを読み解く。

「いじめ」「サイコパス」「キレる心」「だまされる心理」など、脳科学から人間を鋭く分析し、対処法をわかりやすく教えてきた中野信子さん。本書では初めて、日本人の脳に迫ります。「醜い勝ち方より美しい負け方が好き」「不倫は懲らしめるべき」「雇うなら体育会系男子という企業意識」「なぜ、イケメンのほうが美人より会社で得なのか?」「今が幸せと感じられないし、将来も不安でしかたない」「同調しないと怖い」――日常のさまざまな現象の背景には脳の影響があります。

相手の気持ちを察するのがうまい日本人。それを「空気」を読むといいます。それは、すぐれた協調性、絆の深さ、恩や恥を感じる心にもつながるでしょう。でも逆に、周りの空気が私たちに、「生きづらさ」や「不安」「忖度する心」「バッシングの快感」といったものを生じさせる原因にもなります。近年苛烈さを増すバッシングは、「人を引きずりおろす快感」や「ルールを守らない人間を懲らしめたい欲求」という空気です。

日本は世界幸福度調査で常にその順位の低さが話題になりますが、生理的な特質からきているのでなかなか幸福度を上げるのは難しいでしょう。「褒める」教育が当たり前になっていますが、エリートが行う捏造や改竄の裏に、誤った褒め方がある可能性がわかりました。日本人の才能を伸ばす方法についてヒントが見つかるでしょう。

ほかにも、留学などに「挑戦」する人が減ったのはなぜか? なぜ女性が「婚活」に苦しむのか? なぜ13年連続でイグノーベル賞をとれたのか? なぜ日本は長寿国なのか?脳の中に私たち自身を読み解くカギがあります。日本人の特徴を知ることは、日本人以外の人々との違いを知ることにつながります。このことが、現在をより良くし、未来を資する役に立つはずです。
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40代男性 理系学部出身の自分はどちらかといえば「理系脳」が働く傾向が多く、良くも悪くも物事を一歩引いて客観的に捉えようとする「思考のクセ」のようなものがあると感じています。これには一長一短があり、時々疲れることがあるので困った一面も持ち合わせているのです。

元来の性格的に、感情などのエモーショナルな視点で捉えるというよりは、科学的に捉えようとするタイプであると思います。だから感情だけでしか考えない、動けない人は、正直苦手だし、できるだけ距離を置いています。

それ故に他人からは冷たく感じられる短所もありますが、最近は年齢のせいかその辺りもそれほど気にならなくなりました。

むしろ、メンタル面がしんどい時や辛いときなどはそのストレス要因が何かを一歩引いて考えられる面で役立つこともあり、必要以上に腹を立てることも少なくなりましたし、そこには人との心地よい距離感も維持することができる長所もあります。

そのようなことを日々思っている中でふと出会ったのが、今回紹介する中野信子氏が執筆した「空気を読む脳」

以前から「脳科学」という分野に興味があり、テレビでもコメンテーターとして活躍されている脳科学者の中野信子先生の意見には賛同するものが多くありました。女性ならではの物腰の柔らかい表現が多く、日常生活に頻繁に起こるシーンを例えに出して解説されているので非常に読みやすい良書です。

中でも一番興味深く感じた内容は「なぜ人間は報酬が高いとやる気を失ってしまうのか」という項目です。

一見すると矛盾した項目のように思えますが、読み進めていくうちに感銘を受ける文章が。

脳科学 中野信子

人間は報酬が高い時点で その作業の中身そのものに対する「モチベーション」が、実は脳科学的には減少していく。

最初は不思議に感じたのですが、この箇所は興味深くて何度も読み返していくうちに、なんとなく実体験的に納得できるようなことがありました。

私にはかつてNPO法人でボランティアでピアサポーターをした経験があります。無報奨ではありますが「誰かの役に立っている」という強い実感があり、それがモチベーションに繋がっていたことは確かでした。

また このコロナ禍で在宅勤務を半年ほど経験したとき、安定的な賃金はあったものの、コミニケーションが希薄になり、人との繋がりが極端に少なくなり、ただただ与えられた作業をこなすという一種の「作業マシーン」のような感覚にも陥った時期もありました。

これが中野先生が指摘している内容に近いものではないかと感じました。

これからアフターコロナ、ウィズコロナの時代を迎えると 人との繋がりがどうしても薄くならざるを得ないですが、この「空気を読む」ということは非常に重要なことだと、最近は日々感じるようになりました。

最近は「繊細さん」とか「HSP」などの言葉もよく耳にします。

脳科学的に物事を捉えることで 冷静に客観的にも「コミニケーションを分析できる」という意味から、人との繋がりに悩んでいる方には、これは是非にお勧めしたい良書です。

この作品にはAudible版があります

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