
自分が亡くなった後の希望は遺言書に書いておけばいいんでしゃない?それだけじゃダメなの?
【おひとりさまの死後事務委任】死後の手続きは遺言があれば大丈夫?
おひとりさまは死後事務委任契約で死後直後の手続きをフォローするのがおすすめ
死後事務委任をお願いするといくらかかる?
【おひとりさまの死後事務委任】死後の手続きは遺言があれば大丈夫?
おひとりさまはふとした機会に

私が死んだらそのあとはどうなるのだろう?
…と考えたことがあるのではないでしょうか。
死んだ後のことは周りが何とかするだろう…などと漠然と考えていても・・・やはり人に迷惑をかけたくない。立つ鳥跡を濁さず的な生き方をしたいと思っている人も少なくないと思います。
祖父母や両親が亡くなった時の死後事務の一切合切を経験した人はその大変さがわかりますが、そういう経験がない人には何が何やらさっぱりわかりませんよね。
人が亡くなった後の一般的なタイムスケジュール
ご臨終後にどんな流れで火葬に至るのか、葬儀の手配や自治体への死亡手続、医療費の支払いなど。
タイムリミットもありますから、遺族の立場になったら死後の手続きはてんやわんやの連続です。
- 当日ご臨終死亡診断書をもらう。
遺体の安置場所の決定
葬儀社の手配
自宅か葬儀場へ遺体を搬送する。 - 1~2日程度葬儀の準備葬儀社と詳細を打ち合わせる。
死亡届の提出
火葬許可の申請
関係者へ連絡をする。 - ~7日目葬儀通夜
火葬許可証の提出
告別式・火葬・拾骨
埋葬許可証を受け取る - ~14日保険・年金・役所等の諸手続き年金受給の停止(未支給分の請求)
健康保険の喪失手続き
介護保険の喪失手続き
施設などからの退所手続き
役所での各種手続き(世帯主変更届など) - ~3か月相続の各種手続き遺言書を探す
遺言書の検認・相続放棄・限定承認など
故人の契約していたサービスや公共料金などの名義変更や解約手続き
賃貸物件の明け渡し・敷金請求
遺品整理
埋葬や葬祭費などの請求
免許証・資格証などの返却
配偶者がいれば遺族年金などの請求
高額療養費に当たる場合はその申請 - ~4か月準確定申告相続人の確定
相続財産調査
遺言執行者選任・特別代理人選任 - ~10か月相続の各種手続き財策目録の作成
遺産分割協議・遺産分割協議書作成
相続税の申告(延納申請可) - その後名義変更預貯金の名義変更
不動産の名義変更
株式等の名義変更
自動車の名義変更
保険金請求など
人が亡くなるとこんなにたくさんの煩雑な手続きがついて回ります。期限付きで手続きを行わなければいけないこともあるため、遺族は大変です。
こういうことはお互い様であるとはいえ、あなたが終活で自分の死後のことをきちんと決めておくことで、遺族の苦労を軽減することができます。
死後直後の手続きは遺言書ではどうにもならない
自分が亡くなった後の希望は遺言書を作っておけばいいんでしゃない?と考える人は多いでしょう。
遺言書にそういった内容を残しておくこともできますが、遺言書が開示され、その内容に基づいた手続きが開始されるのは ほとんどの場合はお葬式が済んで一段落したあたりから四十九日前後です。
ですから遺言書が相続人の目に触れるのは、すでに葬儀一切が終わった後。つまり葬儀の希望を遺言書に書いておいても実行される可能性は低いということです。
遺言書は法的効力があるものですが、それはそもそも遺産を誰にどう譲るのかや、財産をどう処分するのかがメインとなる話。
遺族の立場としても、遺言書に死後直後の手続きについて記載されているとは あまり考えないですよね。
それに葬儀も終わっていないご臨終直後のドタバタ時には遺言書の開示もほとんどないです。
つまり亡くなった直後の自分の希望を書き連ねたとしても、葬儀前にそれが読まれる可能性が低いのですから、実行されるはずがない…と思った方が間違いありません。
身寄りがないおひとりさまは最悪の場合に葬儀が直葬のみになる
まったく身寄りがないおひとりさまでも、亡くなったら放置されることはありませんのでご安心ください。自治体(市区町村)が埋葬までしてくれることになっています。
これは自治体ごとに決められているルールと墓地埋葬法に則って行われるのですが、多くの場合が「直葬」となります。
遺体を火葬し、提携している合葬墓に納骨をされる流れですが、この時には読経もしないシンプルなお弔いが多いです。
引用元:おひとりさまの終活まるわかり読本
直葬の前に自治体は「この人には本当に身寄りがないのか?」を戸籍をたどって徹底的に調べます。
何とか親族が見つかれば遺体の引き取りをそちらに依頼しますが、見つからなかった場合、全くいなかった場合、いたとしても親族に引き取りを拒否された場合に 直葬のみを行います。

葬儀は簡単でもいいけど読経もしてもらえないのはイヤ!最低限のセレモニーはしてほしい!
…などの希望がある場合は、事前に葬儀社を決めておくとか、生前予約をして打ち合わせておくとかしないと、思い通りにはいかないことが多いです。
葬儀の希望を通すためには エンディングノートや契約書などを使って葬儀を取り仕切る遺族に伝わるようにしておくなど 生前にそれなりの準備が必要になります。
そして、ここから紹介していく「死後事務委任契約」も「それなりの準備」の一部となります。
おひとりさまは死後事務委任契約で死後直後の手続きをフォロー
死後事務委任契約とは、言葉通り 死後事務を誰かに委任する契約を結ぶことです。
自分に変わって死後事務手続きを執る代理人を決めて、その人に自分の希望通りの手続きをしてもらいます。
死亡届の提出
火葬許可証の申請・受領
葬儀や埋葬に関する手続き
諸費用(入院費・家賃など)の支払い
保険・年金などの資格執行手続き
各種契約の解除・解約(クレジットカードなど)
【賃貸住宅の場合】物件の明け渡しと遺品整理※前出の「死亡直後からの手続きのスケジュール」にあることはほとんどフォローしています。

死後事務委任契約は公正証書を作るのがおすすめ
死後事務委任契約を結ぶ相手は自由に選べて、資格などは要りません。だから親族でなくても、友人・知人にお願いすることもできます。
ただ、死後事務は量も内容もかなりボリュームがありますから、受任者は想像している以上に大変です。
そういうことにあまり知識のない人に受任者になってもらうこともできますが、受けた方は思っていた以上に煩雑な手続きに苦労する可能性もゼロではありません。
また多かれ少なかれお金が絡んでくるので、受任者を選ぶことに対してトラブルが心配になることもあるでしょう。
そんな場合は弁護士や司法書士、行政書士などのプロに依頼するのがいいです。
引用元:おひとりさまの終活まるわかり読本
友人・知人に受任者をお願いする場合でも一度は法律のプロに相談し、契約書を公正証書にしておけば完璧です。
死後事務委任をお願いするといくらかかる?
死後事務委任契約は身寄りのないおひとりさまを助けてくれる心強い制度ですが、おひとりさまであっても死後事務をきちんと任せられる親族がいるなら、こういう契約を結ぶ必要はありません。
というのも、やはり契約の締結や経費・報酬にはそれなりの金額がかかるからです。
専門家に依頼した場合の報酬
たとえば、弁護士や司法書士、行政書士に頼むと報酬もそれなりにかかります。死後事務委任契約についての報酬を載せているウェブサイトを見ると、だいたい報酬として50万~100万円、葬儀や火葬などの経費として150万~200万円といったところです。
プラス、契約を公正証書にする場合、書類作成などに10万~30万円ぐらいかかります。また、安否の確認や見守りなどのサービスをお願いすると、毎月数千円から2万円ほどかかることも。
つまり専門家に頼むとトータルで200万~400万円ほどかかる計算になります。弁護士に委任するともっと高額になることも。
ただ、これらは死後に受け取る保険金などで相殺するという選択肢もあります。
引用元:おひとりさまの終活まるわかり読本
報酬例
死亡届の提出…3万円~
健康保険や年金の資格喪失手続き…5万円~
病院や施設の退院・退所手続き…5万円~
葬儀の手続き代行…葬儀の規模によるが5万~20万円
納骨・散骨の手続き代行…5万円~
ペットの引き渡し手続き…5万円~
友人に依頼した場合の報酬
友人への報酬は頼む相手との関係性でも変わってきますが、事後事務手続きはとにかく煩雑なので 専門家を交えて報酬を決めておけば、後々のトラブルも防げて安心です。
こういう契約では 一般的に報酬とは別に必要経費を預託金として預けておきますが、必要経費が足りなくなって友人が費用を持ち出しにならないようにプラスアルファを加えておく方がいいでしょう。
「報酬なんて要らないから」と固辞する善意の友人には、友人に遺贈する旨の遺言書を作成しておけば、最期にきちんとお礼ができます。
