認知症の財産管理トラブル体験談!1000万円以上詐取された話
40代女性 これは私の祖母の死去後、1000万円の定期預金がそっくりなくなっていた話です。
祖母は祖父が早く亡くなったため40年以上一人暮らしをしていて、90歳を過ぎても自分の足で歩き 生活もほぼ自立している元気な人でした。
昔ながらの人付き合いのある下町に住んでいて、娘である母(69歳女性)が呼び寄せて「一緒に暮らそうよ」と持ち掛けても「一人暮らしが良い」と決して譲らず、最期まで住み慣れた土地で暮らすことを選びました。
祖母の認知症が発覚してから次第にお金の扱い方がおかしくなっていった
母と孫である私は祖母の家まで車で30分くらいの場所に住んでいたので、交代で週に1回は祖母の様子を見に行くようにしてました。
元気だった祖母も90歳を過ぎてからは軽度の認知症の症状も出てきて、訪問介護やデイサービスにお世話になるようになりました。
認知症になってからというもの、生活面ではお金を必要以上におろしてしまったり、美容院に毎週のように行ったり、鍵や保険証をやたらとなくす…という症状が出てきていました。

一人暮らしではどうにもできないこともあるので、そろそろグループホームに入居を考えよう。
…とケアマネージャーとも相談をしていたのです。
しかし本人はそれを強く拒否していたので「どうしよう?」と悩んでいるところで祖母は脳出血で倒れ、あっけなくこの世を去ってしまいました。
1000万円以上の預金があかの他人に引き出されていた

認知症にはなったけどピンピンコロリって、気が強いおばあちゃんらしい最期だったね。
…などと母と話しながら祖母の葬儀を済ませ、遺品整理に着手することになりました。
相続人は母一人だったので特に焦らずに進めていたところ、なんとJAで定期預金にしていたはずの1000万円がスカッと空になっていることがわかりました。

お金はJAで定期預金にしてあるから大丈夫。
…と祖母はずっと言っていましたし、実際にその定期預金の証書を大事にしまっているのを 私も母も見て知っていました。
ところがそれがゼロなのです。
その他の財産を確認してみると 普通預金の残高が120万円程度になっていました。
これも本来なら常に500万円程度は入っていたはずのものでした。
慌ててJAに問い合わせると、その定期預金は1年前に ある女性に預ける形で全額下ろされていたことがわかりました。
その女性は祖母の近所に住んでいて、日ごろ何かとお世話になっているAさん(60代女性)でした。
早速母からAさんに連絡を入れたのですが、Aさんからはガン無視されました。
直接家に伺っても居留守を使われて Aさんは一切出てきません。
そこでAさんが祖母のお金を預かったいう「JAの証書」をコピーして 配達記録郵便で送りつけてみましたが、郵便物さえ受け取り拒否されて返送される有様でした。
祖母が自分の意思で他人に預金を預けていたことにされていた
このままではらちが明かないので、私たちは知り合いの弁護士に相談することにしました。
そこでようやくAさんも弁護士を立ててきて 双方の弁護士同士の話し合いがもたれたのです。
Aさん側の弁護士は

Aさんはおばあさんの意思でお金を預かっていた。娘(=母)は何もしてれないので、相続させたくない。生活の世話になるAさんに全部あげたいと言っていた。
…と主張してきます。
確かにJAでも

定期預金を全額下ろす前に何度も本人(祖母)に確認したので「問題はない」と判断しています。
…ということで、祖母の直筆サインも確認しました。
定期預金の解約より認知症の診断の方が先だから解約は無効だ!
こちらの弁護士は

定期預金が解約されたのが2021年の3月。おばあさんの認知症の診断は2020年の1月に出ているため、いくら祖母の意思であっても 認知症なので解約は無効だ!
…と主張しました。
さらに当時の主治医は

認知症の初期ではあるが、会計のやりとりがスムーズにはできないなど金銭管理は難しく、また認知症検査では容易に他者に操られやすい特性があるという結果が出ていた。
…という旨の診断書を書いてくれました。
ここまでの証拠集めには長い時間と労力がかかりましたが これらの証拠により ようやくAさん側の弁護士が折れはじめました。
そして相手方の弁護士は「まずは半額返す」…などと言ってきましたが

半額なんて冗談じゃない!すぐに全額返さないなら 普通預金の減り方も異常なので それについても徹底的に調べる!
…と伝えると やっと全額1000万円の返却に応じました。
親切な隣人を装う詐欺師から1000万円取り戻したが500万円超えの余罪も…
普通預金の残高も調べてみると 年金が定期的に入ってくるのにも関わらず この2年で500万円ほどがスコーンと減っていることも確認していますし、祖母が持っていたはずの金やプラチナのネックレス、指輪もすっからかんになっていました。
Aさんは日ごろから祖母におかずを持ってきてくれたり、買い物を手伝ってくれたり、お世話になっていたことは確かに事実です。
しかしその正体は「親切な隣人」を装って年寄りから根こそぎ金品を奪い取る詐欺師 あるいは泥棒だったのです。
定期預金の1000万円は戻ってきましたが、その20%程度は弁護士費用に消えましたし、その他のAさんが詐取したたくさんの金品は返ってきませんでした。
バカ高い授業料を払う勉強をした気分です。
世の中には一見良い人に見えるとんでもない悪党がいます。
それは頭ではわかっていても自分達の身に実際に起こるなんて…想像もしていませんでした。
一人暮らしの高齢者はこういう悪党の餌食になりやすいです。
本当に気を付けないといけないと肝に銘じた出来事でした。