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認知症で成年後見人をつけた話!孤立無援の人が制度申立をするには?

【監修者】
オレンジ@終活ガイド

生前整理という名の断捨離にいそしみつつアラカンでの熟年離婚を画策中のおひとりさま予備軍女性がこのブログの中の人です。終活に活かすため終活ガイド1級とホームヘルパー2級を取得しています。
 
ここでは人生100年時代に備えた終活と生活のヒント、怖いけど知っておいた方がいい話、トラブル回避のハウツーなどを「事実は小説より奇なり」みんなの体験談を元に紹介していきます。

認知症で成年後見人をつけた話!孤立無援の人が制度申立をするには?

認知症の成年後見人

これは2017年10月頃に成年後見人の報酬についてトラブルになった女性の話です。

私は行政機関で高齢者福祉を担っており、Aさんの件を担当しました。

Aさんは80歳女性で、知的障害のある50歳の息子と生活しています。

何度も詐欺に遭う!生活保護を受けていないが孤立無援

認知症の成年後見人

Aさんは日常的な金銭管理ができず、詐欺の被害に何度も遭っていました。

連絡を受けた私がAさんのお宅を訪問すると、家の前にはたくさんの猫がいて、知的障害のある息子家の中でテレビを見ながら寝転んでいました。

夫の遺族年金と自分の年金と息子の障害者年金で生活しているAさんには認知症があります。

Aさんは人当たりがよく見栄を張る性格のため、訪問に来た人にお金を渡してしまうことがよくあったようです。

高額の鍋や水晶玉が自宅に置かれており、どれも詐欺に遭って、高額なお金を支払ってしまったもののようでした。

こんなことが多かったAさんは経済的に生活することもやっとの状況でしたが、年金が受給されているので生活保護の対象にもなりません。

何かしらの介護保険サービスを利用することも考えましたが、Aさん本人には認知症の自覚がなく、

困っていることは何もないから大丈夫。

…と言います。

誰か支援をしてくれる家族はいないのかを調べてみたところ 家族を見つけることはできませんでしたが、さらに戸籍の調査をしていくと、従兄妹がいることがわかりました。

女性の従兄妹に連絡し支援を依頼しましたが、

Aさんとはずいぶん長いこと会ってないよ。うちでは支援は難しいね。

…とのことでした。

市町村長による成年後見人の申し立て

認知症の成年後見人

Aさんはこのままだと今後も詐欺に遭う可能性が高いため、私がAさんを説得して市町村長により、成年後見人を申し立てることになりました。

そして家庭裁判所の調査などを経て、半年後にAさんに成年後見人がつきました。

申し立てには病院の診断書が必要でしたが、地域の民生委員さんの協力のもと、何とか病院へ連れていくことができました。

その診断書には8000円ほど料金がかかりますし、さらに詳しい鑑定書の費用がかかります。

これらの料金は当自治体では市町村長による成年後見人制度の申し立てができるよう規則が整えられており、予算で取ってあったため、行政の支出として支払うことができました。 ※この制度の予算は自治体によって異なります。

成年後見人には報酬が発生する!

認知症の成年後見人

当自治体には申し立て費用の助成制度はありましたが、後見人の報酬については規定も予算がなかったため、後見人はしばらく無報酬で業務を行うことになりました。

その後、後見人の手続きによりAさんの年金の中から報酬を捻出できるようになりましたが、家庭裁判所から行政へ

後見人の報酬について助成はできないのか?

…と問い合わせがあったりして、一時期トラブルになりました。

認知症などにより判断能力が低下した場合は、成年後見人などを申し立てることができますが、申し立てには診断書、鑑定書などに料金がかかり、申し立て書類を整えることはかなり大変です。

基本的には申し立ては本人または4親等内の親族が行うことができます。

さらに成年後見制度を利用する方は 後見人等が決定して業務が開始してからは、報酬が発生することを覚えておいたほうがよいでしょう。

申し立てや報酬については自治体によって助成制度がある場合があるので、一度相談してみるとよいと思います。

成年後見人の報酬の相場は?

認知症の成年後見人

後見人等の報酬額は、家庭裁判所の裁判官が決めますが、統一された明確な基準が示されているわけではありません。平成25年1月1日付で、東京家庭裁判所・東京家庭裁判所立川支部が「成年後見人等の報酬額のめやす」を出しています。

これを参考にすると、本人の財産額により、基本報酬は月額2~6万円程度とされています。通常は、1年分の報酬額を本人の財産から支払うことになります。

「めやす」では、基本報酬のほかに、付加報酬として後見人等の仕事が特別困難な事情があった場合には、上記基本報酬額に50%の範囲内で相当額の報酬を付加する、とされています。
引用元:相続会議

特別困難な事情…本人に代わっての不動産売却、遺産分割協議など、通常業務にはない内容です。

最近は親族よりも法律家が後見人に選任されるケースが多いですが、親族でも法律家でも上記の「めやす」はほとんど変わらないようです。

親族が後見人である場合は無報酬であることが多いですが、その場合は家庭裁判所が後見人を監督する「成年後見監督人」をつけますので、そちらには別途報酬が発生します。

成年後見監督人は法律家が選任されることが多く「めやす」によると月額1~3万円程度の報酬が発生します。