認知症介護サービスを拒否していた夫が介護保険を受け入れた体験談


認知症介護サービスを拒否していた夫が介護保険を受け入れた体験談

認知症の介護サービス拒否

これは認知症の妻への介護サービスを拒否していた夫が ようやく納得して妻が介護サービスを受けられるようになったときの話です。

登場する人物
Aさん:40代、男性、相談窓口に来た人。BさんとCさんの長男。
Bさん:70代、男性、Aさんの父親
Cさん:70代、女性、Aさんの母親で認知症患者
Dさん:40代、女性、社会福祉士(私の先輩)
Eさん:40代、男性、地域包括支援センター職員
Fさん:70代、男性、Bさん・Cさんの友人
Gさん:60代、女性、民生委員
Hさん:70代、男性、自治会長
私:30代、男性、相談窓口担当(社会福祉士)

「家族が面倒を見るのが当たり前」と介護サービスを拒否する家族がいると…

認知症の介護サービス拒否

相談窓口に来たAさん(40代男性)は

母親が認知症になっている様子です。物忘れはひどく被害妄想が激しくなってきました。昔は得意だった家事も全然できなくなっています。介護サービスを使う方がいいと思うのですが、父親が頑なに拒否します。

 

父親は家事ができないので、僕が仕事の傍ら、または仕事を休んで家事や介護をしているのですが もう限界です。なんとか母親が介護サービスを受けることを父親に納得させることはできないでしょうか。

…といった旨を語りました。

相談窓口で対応した私は 介護サービスに詳しい先輩のDさん(社会福祉士)にこの件を話しました。

Dさんは早速 Bさん(Aさんの父親・70代)の気持ち・話を聴くべく、Bさんが趣味で通っている地域のサークルに出向いていきました。

Bさんはかたくなに

妻がおかしいというのか?妻は歳をとってちょっと弱ってきたことは確かだが、それを誰かに頼らず家族が面倒を見るのが当たり前のことだろう。介護保険など要らん。

…とこちらの話を聞こうとしないため、Bさんに納得してもらうのには時間がかかりそうだ…と思いました。

そこで、Dさん・私、Fさん(70代男性・Bさんの友人) Gさん(60代女性・民生委員) Hさん(70代男性・自治会長) さらにEさん(40代男性・地域包括支援センター職員)を交えて、Aさん(BさんとCさんの長男)の要望を実現できるようにしようとするチームを組みました。

 

認知症の介護サービス拒否

しかし、そうこうしている間にもCさんの状態はどんどん悪くなっていったため、息子(Aさん)がこっそりと母親(Cさん)を認知症外来に連れていったところ「中等度の認知症」と診断されました。

それを知ったBさん(Cさんの夫)は猛烈に怒り、息子のAさんとの関係が悪化して、夜になると酒を飲みに出かけてしまうようになり、ひどいときには朝帰りまでするようになりました。

これにはさすがのAさんも極度に疲れ果ててしまい、仕事を長期に休むことになりました。

幸いにもAさんの勤務先は介護休暇に対して理解があったので その点は問題はありませんでしたが、心労からAさんも体調を崩してしまいました。

「介護サービスを受けたら施設に入らなければいけない」の誤解は解けたが…

認知症の介護サービス拒否

地域のサークルで一緒に活動していたFさん(B酸の友人)はBさん・CさんのことをAさんと同じように案じていたので、社会福祉士のDさんと私からの提案を快く引き受けてくれました。

Fさんは「僕がBさんの話を聴いてくるよ」と間に入ることを快く請け負ってくれたのです。

するとBさんの口からは意外な言葉が。

息子の言うことはわかるし、息子が大変な思いをしているのもわかる。でもできるだけ家族みんなで過ごしたい。介護サービスを受けたら 本人は家から出ていかなきゃならんのだろ?

どうやらBさんは、介護サービスを受けることイコール入所する…と思い込んでいたのです。

そこで 私とBさんの地域の自治会長であるHさんと、民生委員のGさんが

いやいや、そんなことはないです。在宅でも介護サービスを受けることはできますよ。

…と情報提供したところ、話自体は素直に聞いてくれたようでしたが、それでもなお介護サービスを受けることを拒否し続けました。

息子が介護休暇で面倒を見ればよい…では済まず、しぶしぶ説得に応じた父親

認知症の介護サービス拒否

一方、Aさん(息子)は介護休暇を取って家事・介護に奮闘していく中で 貯蓄がどんどん減っていくことにも不安を抱えていました。

介護休暇では給与がないため、Bさん・Cさん(両親)の年金しか収入源がなかったのです。

お金がどんどん減っていくことから父親のBさんも少しずつ危機感を持ち始めたものの、それでも

息子が介護休暇を取って面倒を見ればよい。

…と思っていた様子でした。

しかしある日、Cさんが深夜に徘徊した際に転倒して腕を骨折してしまいました。

Aさんはこの出来事にショックを受けつつも

これが何とかするための最後のチャンスだ!

…と考え、このタイミングで地域包括支援センターに相談し、Bさんに対してCさんが介護サービスを受けながら自宅で暮らせるよう説得を重ねていきました。

かなり時間はかかったものの、Bさんなりに色んな人からの話を振り返りながら 妻の介護サービスを受けることにしぶしぶながらも納得しました。

そしてようやくCさんは介護認定調査を受けられて「要介護3」の判定が出たため、デイサービスを2か所、ホームヘルパー、必要に応じて介護タクシーなどの介護サービスを受けることができるようになりました。

そのためAさんも仕事に復帰することができ、家計も安定するようになってホッとしています。

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