無年金救済と生活保護と介護保険サービスでゴミ屋敷老人が救われた話
30代男性 これは社会福祉士の私が関わった、妻に先立たれた上に生活に困窮し ゴミ屋敷住人となった老人が、社会支援を受けて生活を立て直した話です。
ある日、近隣に住む女性から相談が入りました。
後日 同僚の社会福祉士が民生委員と一緒にAさん宅を訪問しましたが、その時にも返答がありませんでした。
しかしその数日後に再び相談者女性が窓口に再びやってきて
そこで私を含めた3人でAさん宅を夜間に訪問をしてみたところ、ようやくご本人に会えて その無事を確認しました。
Aさんに『近所の人が顔を見かけなくなって心配している』旨を伝えたところ、

妻に先立たれて、しばらくは何とか頑張って家事などやろうとしたんだけど、からだの衰えもあってうまくいかなくて。掃除は清掃会社に、洗濯はクリーニングに、食事は出来合いのものにしていくうちに お金が底をついてしまった。
昔は商売がうまくいっていて金には余裕があると思ったが 一気に転落してしまったことで落ち込んでおり、今はほとんど昼夜逆転の生活をしているんだよ。
Aさんの許可を得て自宅の中を見せてもらうとひどいゴミ屋敷状態で、服も洗濯できている様子がありませんでした。
「妻が亡くなってから10kgも痩せてしまった」とのことで、髪の毛や髭なども手入れされておらず、体臭も強いひどい状態。

元々は商売人だったし人と話すのが好きだったのだが、今は孤独で辛い。お金もないし生活もどうにもならなくなっている。誰かに助けてほしい。
Aさんの生活を立て直すために 経済的な課題を解決すること 生活を整えること 他者と交流が持てるようになること…の3つを柱として 支援チームが組まれました。
まずは地域包括支援センターにこの話を持ち込み、Aさん担当の職員を決めました。
担当者がAさんのことを色々と聞き取ったり調査していくうちに、Aさんには年金の未納があるために国民年金も受給できておらず、ずっと貯蓄だけで生活していたことが分かりました。
そこでまずは生活保護の申請を行うことにしました。
Aさんは会話は流暢で認知症のスクリーニングにおいてもクリアでしたが、足腰の弱りと意欲の低下が見られたため、介護保険サービスを利用することを提案しました。

自分でも介護サービスを受けることができるのか!?
…と驚いていて 介護サービスのことをよく知らなかった様子でしたが、これらを情報提供することによって「是非利用したい」という意向を示されました。
そこで介護認定調査を受けてもらったところ「要支援2」の結果となったので、近所のデイサービスを利用することになりました。
少なくともデイサービス利用日は 入浴してバランスの良い食事をとり、適度な運動をすることができるので、生活習慣も少しずつ整うようになっていきました。
一方でAさんには「ホームヘルパーも利用したい」希望があったのですが、要支援2ではデイサービスとホームヘルパーの両方を利用することが難しかったのです。
そこで民生委員と社会福祉士が中心になって 家事を手伝ってくれるボランティアを募り、後日ボランティアによってAさんのゴミ屋敷片づけが行われました。
Aさんは事が進んでいくごとに元気になっていき、週1~2回利用するデイサービスで大好きな将棋を通じて仲のいい友達も作ることができました。
また、元々商売人だったこともありユーモアもあることから 他の利用者との交流もできるなど、元気を取り戻すことができました。
無年金でも生活保護の受給は可能!日本は手厚い福祉国家
年金払ってない人でも生活保護を受けることは可能になります。そもそも生活保護は憲法第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」に基づいて作られた制度です。そのため、年金払ってない年金未払い者でも生活保護を受けることができるのは、国民としての権利です。
会社員以外が加入している国民年金と生活保護を比較するとどうでしょうか。この差額を見れば、生活保護と年金どっちが得か、明らかに生活保護の方が得だと言えそうです。
また、生活保護の場合は、■医療費無料 ■健康保険・介護保険・所得税などの負担なし…といった補助もあるため、実質的には厚生年金受給者よりも手元に残る金額は多いでしょう。年金で受け取れる金額は最低限のため、「年金足りないなら無年金でいい」と年金制度への不公平感を感じてしまうのも仕方がないことなのかもしれません。
このように年金と生活保護の差額を見てみると、年金を払わずに将来生活保護を受けた方が得するように感じますが、後でも説明するように、生活保護には様々な注意点があります。また、年金払ってないことによるリスクやデメリットも多く存在しています。
生活保護受給の際の注意点は大きく2つあります。生活保護を受けるには、まず受給要件を満たす必要があります。この受給要件は継続的にチェックされます。言い換えれば、市区町村から資産管理をされながら生活しなければならないということです。また、現在生活保護世帯が増えていることを受け、生活保護の受給金額が減額されることも考えられます。
生活保護には 生活扶助・住宅扶助・教育扶助・医療扶助・介護扶助・出産扶助…など大きく8つの扶助がありますが、実のところ2013年8月から順次減額が始まっています。これに対して反対する声も上がっているようですが、生活保護を受けている世帯が増加していることを考えれば、さらに減額が進むことが予想されます。 引用元:ほけんROOM