こんな疑問にお答えします。
✔ 身元引受人と身元保証人の違い
✔ 身元引受人がいないと入院は無理なのか
✔ 身元引受人を頼まれた。断ることはできるか
身元保証人と身元引受人の違い
「身元保証に関する法律」によると、身元保証人とは 本人の行為により相手方が損害を受けた場合で本人が損害賠償を出来ない場合に 賠償責任を負う人をさします。
身元保証人は雇用契約の時によく使われる用語です。親戚の子供が就職する時に身元保証人を頼まれたという人も多いでしょう。
一方で、「身元引受人」は法的な用語ではありません。
一般的に「身元引受人」は 医療機関の入退院や老人ホームを入退所する時に「身柄を引き受ける責任を持つ人」という意味で使われることが多いですが、その他に警察に捕まった被疑者を監督する場合でも使われます。
厚生労働省の「身元保証等がない方の入院・入所にかかるガイドライン」(平成29年・半田市)によると、身元保証人と身元引受人の違いははっきりしていないということです。
医療・介護の現場では、身元保証人や身元引受人など、さまざまな「保証人」が求められていますが、その内容は施設・病院ごとに違っていたり、明確でないのが現状です。
「身元保証」という言葉を病院や施設、関係者が、それぞれの理解の中で使用していることです。例えば、本来ならば「連帯保証人」という言葉を用いるべき「金銭保証」についても、「身元保証人」に求めている場合があります。これは、契約社会の中で、漠然とした「不安」に対して慣習的に保証人等を求めている側面もあるのではないでしょうか。
病院や施設等の漠然とした「不安」を解消するためには、まずは、用語の意味をきちんと理解し、「身元保証」がない方に対して、どのような保証を求めているかを整理する必要があります。そして、その内容に対して、誰がどのように支援していくかを明確にしていく必要があります。
引用元:厚生労働省
それにしても 入院という大きなお金が動くシーンにしては これらの用語はアバウトな使われ方をしているんだなと、今回調べてみてしみじみ感じました。
ネットでググッてみても「引受人」と「保証人」という言葉はかなりごちゃまぜに使われているのが見受けられましたので、誰もが皆 意味をあまり深く考えずに使っているような気がしました。
身元引受人がいない人は少なくない!
最近は身元保証サービスを行う団体が登場し、家族に代わって重要な役割を担うようになっています。
少子高齢化が進むと同時に一人暮らし世帯が増加している現代、身元引受人がいない人も少なくありません。
さらに近隣や親族などとの関係が希薄になっていることもあり 身元保証サービスへの需要が高まってきています。
身元保証制度は従来は家族や親せきに頼ってきましたが 社会の変化とともに少しずつ変容してきているのでしょう。
身元引受人がいないと入院できないの?
現在は身元引受人がいないことを理由に入院を拒否することが医師法に抵触するとされていますから、問題があればその医療機関には行政指導が入ります。
よって入院拒否されることは ひと昔前に比べたら かなり少なくなっているはずです。
とはいえ、医療機関の9割以上が入院時に患者の身元保証人を求めている事実に変わりはありません。
身元引受人を求める3つの理由は
②逝去後の対応…遺体と遺品の引き取りなど。
③債務の連帯保証…本人が入院費や損害賠償を払えない時に支払いを肩代わりするため。
身元引受人を頼まれた!拒否できないのか?
身元引受人のデメリットは債務のリスク
病気で入院する時や施設に入居するほとんどの場合は 身元引受人が必要です。
入院・手術が必要になり病院から身元引受人が必要だと言われてどうしようと思っている人がいる一方で 身元引受人を頼まれて不安を感じている人もいます。
施設によって異なりますが、身元引受人を引き受けると、入院・手術費用を本人が支払うことができない場合に、本人に代わって身元引受人が支払いを肩代わりしなければいけない場合があります。
費用の支払いだけでなく、身元引受人は入院・入所・退院・退所、転院についても責任を負うため、多くの病院や施設が入院患者や入居者を受け入れるときに、身元引受人を求めます。
身元保証人になる場合、入院申込書などの書類にどのようなことが書いてあるかをまずは確認しますが、ほとんどは金銭的な債務が生じると記載されているでしょう。
身元引受人を頼まれても拒否できる
債務はリスク、デメリットです。あなたはそれだけの責任を負えますか?
実際には親族から頼まれると断るに断れず、身元引受人になるケースが多いようです。
身元保証人を引き受けるか否か?それはあなたの意思で決定でOK!
様々なしがらみがあるかもしれませんが、お受けするのもお断りするのもあなたの自由意志で決められます。
入院の身元引受人と連帯保証人を「誰に頼むか」問題
身元引受人の条件と責任
連帯保証人と違って身元引受人は「家族やごく身近な親族の中から選んでください」と施設から言われることが多いです。
それは万一の場合の対応を引き受けるのが身元引受人だからです。
身元引受人は友人に頼んでもいい?
しかしいろいろな事情から、身寄りに頼めない・頼りたくない…ということもあるでしょう。
そういう場合は身元引受人を友人に頼んでも問題はありません。
ほとんどの病院は家族や親せきはいないですか?と聞いてきますが、「緊急連絡先」「身柄の引受」「債務の連帯保証」を担ってくれる成人なら、誰でも身元引受人になれます。
入院時の身元引受人と連帯保証人の違い
一般に、身元引受人は成人であることを条件にしていることが多いですが、連帯保証人は債務を保証する立場ですから、支払い能力があり、患者とは別の生計を営む成人を条件にしています。
記事の冒頭でも述べたように 「身元引受人」や「身元保証人」の用語の使われ方自体が曖昧で混在していることが多いので、「連帯保証人」は立てずに 身元引受人に入院費用の債務をお願いする医療機関もあります。
私の体験では、両親と自分が入院したのは別の病院でしたが、どちらも入院申込書には「身元引受人」と「連帯保証人」の欄があり、これらは別生計を営む人を立てることが条件とされていました。
身元の保証と金銭の支払いを2人に分けている所が多いですが、保証人(引受人)1人に絞っているところも中にはありますし、最近はクレジットカードの登録で連帯保証人を立てなくてもよい医療機関もあります。
入院を余儀なくされた場合のために自分がかかっている病院がどのような制度になっているのかを あらかじめ調べておいた方がいいでしょう。
入院の身元引受人と連帯保証人は同一人物でもいい?
身元引受人になる人は患者と同一世帯でも別世帯でもどちらでもOKだけど 連帯保証人は患者本人とは別世帯かつ身元引受人とも別世帯でないとNG
つまり連帯保証人は身元引受人とは別人で 独立して生計を営んでおり、支払い能力のある成人に限るということです。
医療機関によって違いますので一概には言えませんが、身元引受人と連帯保証人は別世帯にしてくださいというところが多いです。
おひとりさまでも困らない制度がたくさんある
最近はおひとりさま人口は右肩上がりですが、これは生涯独身者が増加しているせいだけでなく、配偶者との死別・離別によるおひとりさまの増加も理由のひとつです。
どちらかといえば夫が先立つケースの方が多いので、妻がおひとりさまになることが多いですよね。子供はいるけど離れて暮らしているから、一人暮らしを余儀なくされているとか。
そう考えると、誰もがみんなおひとりさま予備軍で「明日は我が身」とも言えます。
ですが社会もそれに順応して 様々なサービスを用意してくれていますから、おひとりさまでも心配しすぎなくて大丈夫です。
…という人もいますが、こんな場合は身元保証を行っている代行サービスを当たってみることも一つの方法です。
また身近に相談できる人がいない場合は まず社会福祉協議会や地域包括支援センターに相談すれば、親身になって対応してくれます。
今は身元保証をしてくれる単独サービスのほかにも 生前事務委任業務・任意後見業務・死後事務委任業務を利用するなど、おひとりさまにも終活の選択肢がたくさんあります。
人生100年時代。これらの活用も視野に入れて 前向きに歩んでいきましょう。