【末期癌の在宅看取り】自宅で過ごす最期は豊かな時間が流れていた話
これは2017年7月にあった、余命3ヶ月のガン患者を寝たきりの状態でも自宅で看取るチームと家族の実話です。
私は当時27歳の訪問リハビリの職員です。末期癌患者の70代のAさんのお宅に週2回程度訪問に行き、リハビリを行っていました。
穏やかで明るい末期癌患者と奥さんの様子に打たれた…
Aさんは、医者にガンの余命宣告をされており、癌の場所が悪く 寝たきりの状態から起きることができませんでした。
病院で看取るという選択肢もある中、AさんとAさんの奥さんは自宅に戻って生活をするという選択をし、そこに私が関わることになったのです。
Aさんを自宅で看取るための訪問チームをケアマネジャーを中心にして作り、なんとか自宅で最期を迎えられるようにしようと協力体制を築いたのです。
しかし、訪問チームを組んだとしても、ずっとAさんのそばにいてメインの介護をするのはAさんの奥さんになります。
そこには苦しさが付きまとい、明るい環境の中で生活を送るのは難しいのではないかと感じる部分が 私の中にはありました。
しかし、私が繰り返し訪問をする中で、非常に穏やかで明るい空気でほとんどの時間を過ごしているAさんとAさんの奥さんがいました。
この様子を拝見した私は、寝たきりの末期癌であっても自宅で過ごすという選択肢の素晴らしさを再認識しました。
在宅看取りの看護計画と看取りチーム
末期癌の方の看取りのためのチームは『ケアマネジャー』『Aさんの奥さん』『訪問診療の医師』『訪問看護』『訪問介護』『訪問リハビリ』そして本人である『Aさん』で組まれていました。
ほとんど毎日、朝・昼・夕とそれぞれのメンバーが訪問するようにスケジュールが組まれており、専門性を活かしたケアを行なっていました。
ケアチームの訪問の時間のない時はAさんの奥さんがメインで関わり、夜間は訪問看護に緊急時の連絡が取れるような体制を取っていました。
末期癌の在宅看取りは悲しみよりも豊かな時間が流れる
在宅での医療や介護のケアサービスがある程度充実している中で、末期癌患者の自宅看取りの選択肢は、人生の最期を豊かに迎えることができる方法の重要な選択肢の1つであると感じます。
寝たきりの状態であっても、家族と少し会話をしたり、親族がフラッと来て話をしたり、コーヒーを飲んでテレビを見てみたり。
そんなことを自然と行いやすい自宅で最期を迎えるということは、悲しみの時間より豊かな時間なのだろうと強く感じました。
Aさんの家族にとって末期癌で寝たきりの状態であっても自宅で看取るという選択肢は、最善の選択肢だったのではないかと思います。
このような例があることは、どのようなら最期を考えるかという上でも重要ですし、要介護度が5のレベルであっても、自宅で最期を選択する方がいるのです。
在宅での医療・介護サービスの活用を考えることは、人生を豊かにする選択肢の1つになり得ますが、地域によっては在宅系のサービスが充実していない所もあります。自治体に問い合わせてみてください。
【最後まで在宅】平穏に生きて死ぬための医療と在宅ケア
末期がんの方々のお宅に同行させてもらい、この間の在宅医療の進歩に驚いた。
まず、痛みのコントロールに使いやすい麻薬(モルヒネなどのオピオイド鎮痛剤)が次々と登場し、薬の副作用などで起こる吐き気、嘔吐、便秘などに対しても、副作用を抑える薬を使ったり、副作用の少ない薬に切り替えることができるようになった。
在宅医療自体も、訪問診療医、訪問看護師、訪問歯科、さらにはリハビリやマッサージ、訪問薬剤師などがチームを作ってサポートする体制ができてきたので、介護者も心強くなった。麻薬などの薬、医療器具の説明や使い方、これからどんなことが起こりうるのか、といったことを、日々の訪問の中で説明してくれる医師や看護師もいる。
とはいえ、在宅医療、特に緩和ケアに対しては、地域格差が大きいため、どこでもこうした支援があるとは言い難い。
引用元:最後まで在宅
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