妻のため公正証書遺言を作成した体験談!子供がいない夫婦の相続対策
60代男性 私の妻は55歳で、私たちには子どもがいません。妻には妹がおり、今年54歳になります。
また私には4歳上の兄がおり医師をしています。兄は何故か金銭トラブルに巻き込まれることが多く、常に借金を抱えているという状態です。
早めの終活で残された家族の生活を確保するために
私と妻は9歳差と年が少し離れています。一般的に女性の方が長生きするので、私の死後についてもめ事が起こらないように早めに終活を始めた方がよいと考え、思い切って遺言を作ることにしました。
特に我が家は旧借地借間法による借り手に非常に有利な条件の借地であるという事情がありました。その借地権を確実に妻に相続させたいので 公正証書遺言を作成することにしたのです。
義妹は妻とは仲が良く独身で子供もいない一人暮らしですので、私は家を建て替える際に義妹のための部屋も用意したのです。それは私が死んでも妻と義妹の二人で生活できる準備のひとつでした。
また我が家の借地は88坪という広さなので 空いた土地を賃貸駐車場にして毎月一定の収入が入るようにもしました。これはもちろん、地主さんの了解を得ています。こうしておけば年金以外にも結構十分な収入が得られるからです。
子どものいない夫婦の相続の悩みと対策
こうして彼女たちの老後の環境を整えたのですが、心配だったのは借地権の問題です。
私には兄がおり、子どもがいない私が死ねば兄にも相続権が生じます。妻の相続権の方が強いのは当然ですが、もし飛行機事故などで私と妻が同時に死んだらどうなるのか?
その場合、義妹の相続権と兄の家族の相続権が拮抗し、争いになる可能性を感じました。そこで借地権が確実に妻→義妹と相続できるように公正証書遺言を作ったのです。

私が死んだ場合は妻が全てを相続する。もしその時点で妻も死んでいたら全ては義妹が相続する。
こうしておけば確実に義妹の老後の生活は保障されると考えたからです。
未来に対して全てのケースを想定して準備しておくことは不可能だが…
義妹が「もしおねぇちゃんが先に死んじゃったらどうするの?」と聞いてきたことがありましたが、それに対しては「その時点で考えて、最善の方法を取れば良いよ」と答えておきました。
必ずしも年齢順に死ぬとは限りませんのでその可能性も確かにありますが、未来がどうなるかは誰にも分かりません。その分からない未来に対し「全てのケースを想定して準備しておくこと」など不可能なので、そう答えたところ納得してくれました。
公正証書遺言は「公文書扱いの最強の遺言」だということなので、何はともあれこれで一安心しました。
特に心配していた兄と兄の家族にもこのことを伝えたところ 簡単に了解してくれました。まあ、それはそうでしょうね、まだ事態が発生していないのですから。
実際に事態が発生してしまってからでは 金銭がらみの問題となると、やはり人間は欲が出てしまうでしょう。ですが現段階ではそれを防止できたことは何よりだと思います。
兄は頭は良いのですが人間が甘いところがあるらしく、なぜか金銭トラブルに見舞われることが多いのです。奥さんも金銭面では非常に苦労しているようなので、その影響がこちらに及んでしまうのを避けたかったのです。
公正証書遺言の立会人に面識のない第三者を手配してもらった
公証役場に行ったときに遺言を作りたい旨を言うと、すぐに公証人の方が内容を聞いてくれ、用意するものとスケジュールを作成してくれましたから、非常に事がスムースに進みました。
遺言の内容を証拠書類(銀行通帳や契約書類)で確認しながら作成してくれたので 安心して任せることが出来ました。
そして文言が完成して私が捺印すれば終了という時点で公証人の方が手配してくれた2人の立会人の方も来てくれ、公証人の方が内容を読み上げ、私が了解し捺印しました。
そして、立会人(全くの第三者で、それまで面識もなかったお二人です)も署名、捺印してくれ、公正証書遺言は完成しました。
ちなみに事前に公証人の方から言われていたので 公正証書遺言の立会人のお二人には5000円のお礼が入った封筒を用意しておき、差し上げました。
最強の公文書「公正証書」で家族みんなの安泰な未来を創る
公正証書登録した書類は公証役場で保管され、こちらには写しが渡されるとのことで コピーをもらいました。公証人の方によると「この写しを持っていけば金融機関でも裁判でも簡単に通る」そうです。
公正証書は公文書扱いであり効力としては最も強いものなのだということです。

そして万一に備え、義妹にその写しの保管場所も教えておきました。それなりに費用も時間もかかる公正証書遺言ですが、だからこそ早めに用意しておくことが肝心なのだと思います。
私が55歳の時に建てた今の家はまだ30年は持つでしょうが、その頃にはもう私はこの世にいないかもしれません。しかし女性は80歳以上生きることが多いので 妻と義妹は生きているでしょうし、その二人の生活を確実に支えることが公正証書遺言によってでき、これで私も、いつでも安心して死ねるというものです。
ちなみに私は無神論者で死後は墓に入れるのではなく散骨を希望しているのですが、さすがにそこまでは公正証書遺言には書けませんでしたので、エンディングノートにこの希望を文書化して残しておくことにしました。
【子供のいない夫婦】妻が兄弟姉妹に対抗できるよう「遺言書」で準備
会社経営者の男性(榎田さん)は、専業主婦の妻と高齢の母の3人で穏やかに暮らしています。しかし、自身も年齢を重ねるうち、相続の問題が気がかりになってきました。理由は、手の付けられないわがままな妹の存在です。自分亡きあと、妻が大変な思いをするのではないかと心配しています。
榎田さん夫婦は子どもがいません。そのため、高齢の母親が亡くなれば、榎田さんの相続人は妻と妹のふたりです。妹の性格上、必ず財産の請求をしてくるはずなので、妻が妹に対抗できるよう「自分の全財産を妻に」という遺言書を残したいと考えています。そこで、次のような遺言書を作成しました。
遺 言 書
遺言者 榎田正夫は下記のとおり遺言する。
第1条 遺言者は、遺言者の有する下記の不動産のほか預貯金を含む全財産を、遺言者の妻・真理子に相続させる。
【土地】
所在 東京都〇〇区〇〇一丁目
地番 〇〇番〇〇
地目 宅地
地積 〇〇㎡
【建物】
所在 東京都〇〇区〇〇一丁目
家屋番号 〇〇番〇〇
種類 居宅
構造 木造スレート葺2階建
床面積 1階 〇〇㎡
2階 〇〇㎡
第2条 遺言者は、本遺言の執行者として、妻・真理子を指定する。
2 遺言執行者は、不動産の名義変更等、本遺言を執行するために必要な一切の権限を有する。
3 遺言執行者が任務遂行に関して必要と認めたときは、第三者にその任務を行わせることができる。
付言事項
妻・真理子には、私の両親や姪に至るまで面倒を見てもらい、心から感謝している
令和〇〇年〇月〇日
〇〇市〇〇町〇〇
遺言者 榎田正夫
【対策と注意点】子どもがいない夫婦の場合、親あるいは兄弟姉妹も相続人になる点に注意。自分が築いた財産でも、遺言がないと配偶者に全部相続させられない。
子どものいない夫婦の場合、遺言があれば兄弟姉妹と話し合うことなく相続の手続きが行えます。兄弟姉妹には遺留分の請求権がないため、感情的なもめごとに発展しにくいといえるでしょう。また、もし共有の不動産がある場合は、早い段階で解消しておいた方が安心です。
引用元:幻冬舎ゴールドオンライン
