【後見人と認知症】成年後見制度のすすめ!親の後見人になるには?

【後見人と認知症】成年後見制度のすすめ!親の後見人になるには?

後見人と認知症

後見人とは?

現在認知症に使われている薬は治すのではなく 病気の進行を遅らせるだけのものです。

認知症には「アルツハイマー型認知症」と「レビー小体型認知症」があります。

レビー小体型認知症は幻覚が見えるので、アルツハイマー型よりも大変かもしれません。

脳の認知機能に支障をきたした患者は生活上様々な問題を抱えていますが、とくに問題となるのはお金の管理ができないことです。

そういう場合は認知症患者の代理人を立てて、お金を管理してもらうのが一般的です。

この代理人が「後見人」です。

後見人の種類

後見人と認知症

認知症患者は行為能力が十分ではないので、重要な局面においては法的な手続きが必要となります。

そこで家庭裁判所で後見人を立ててもらうことになるのですが、この後見人は法定後見人と呼ばれます。

もし認識能力や行為能力があるうちに 自分が将来認知症になったときのことを想定して 自発的に後見人を選んで後見契約を締結しても 後見は成立します。

それは任意後見人と呼ばれます。

後見人制度のデメリット

後見人と認知症

後見人には被後見人の財産を単独で扱う権限を持っていますので、金銭を着服したり 本人の生活改善に動いてくれないという不祥事や問題が発生することがあります。

法定後見人は家庭裁判所が決定するので、以前はほとんどが家族を指名していました

ところが後見人が「どうせ将来、これは自分が相続するものだから」ということで使い込みをし、それが発覚して他の親族から苦情が出てくるようにもなりました。

そこで家庭裁判所は、後見人に信頼できる弁護士や司法書士など法の専門家を当てる方針にしました。

しかし弁護士にもいろいろな人がいます。領収書を偽造して被後見人の財産を着服する人も出てきました。

そこで2019年に最高裁判所は

後見人には信頼できる身近な親族を選任することが望ましい

との考え方を示しました。

後見人の仕事

後見人と認知症

後見登記事項証明書の届け出

後見人の仕事をはじめる前に 今後の業務を円滑に進めるために 市町村役場の福祉課、金融機関、年金事務所、関係施設などに届け出をする必要があります。

自分が後見人であることを証明する「後見登記事項証明書」を法務局で取得します。必要となります。これは法務局で取得できます。

被後見人の生活設計

まずは財産目録と月間・年間の収支計画の作成です。

生活維持業務

後見人と認知症

お金の出し入れや各種契約事務を取り仕切りますが、出納の記録や証拠の保管が必須です。

また最低年1回は財産目録と収支報告書を作り、家庭裁判所等に報告します。

預金通帳は後見人用の通帳を新規で作らなければなりません。

本人や後見人名義の通帳をそのまま使うことはできないということです。

お金の区分をはっきりさせるために通帳を作成し、名義は「被後見人○○○○成年後見人□□□□」とします。

予期せぬ日常業務

これは日常業務以外に起こる突発的な出来事に対する対応という意味です。

例えば病気になったり 体力の衰えなどから日常生活が困難になり 入院や施設への入居が必要になることがあります。

そういう場合に病院や施設の手続きを取ることが 予期せぬ日常業務です。

ただしここで注意点があります。

後見人が家族や親族ではない場合、施設や病院での本人の「身元引受人」や「身元保証人」にはならないということです。

後見人はあくまでも本人の代理人なので、保証人などにはなりません。

任意後見の補完制度

後見人と認知症

任意後見の制度の場合、契約してから認知症になるまでの間に被後見人が病気になることがあります。

また、一連の後見業務には 被後見人の葬式やお墓の手続きは含まれていません。

では亡くなったらどうするのかというと、それらを補完する「見守り契約」「財産管理等委託契約」「死後事務委任契約」を使います。

見守り契約

見守り契約は「今月もお変わりないですか?」と月に1回声をかけて 被後見人の安否確認する契約です。

これが必ず必要かどうかは状況によります。

財産管理等委託契約

財産管理等委託契約は年金の出し入れや通帳の管理等の契約です。

これは認知症になる前に介護生活に入った場合などに必要になります。

死後事務委任契約

死後事務委任契約はお葬式や納骨を依頼する契約ですから 身寄りがないのであれば必要です。

荼毘に付し お骨をどこかのお墓に納骨してもらわなければなりません。

そのほかに遺言書の作成があります。

残った財産をどうしたいのかについての最後の始末です。

後見人になるには

後見人と認知症

法定後見人と任意後見人とでは手続きが異なります。

法定後見人

すでに判断能力を失っている場合は「法定後見人」を選任します。

法定後見人は家族や親族等が家庭裁判所に申し立てをします。

申立人の意見を聞いて家庭裁判所が選任するので、自分で後見人になる人を決めることはできません。

手続きをする場合は、法定後見人の申し出をする前に 管轄の家庭裁判所に連絡し、事前に後見制度のビデオを視聴して後見制度の勉強をします。

法定後見人が決まるまでの機関は 申し立てから約6か月です。

任意後見人

任意後見人は 任意後見契約を締結すればいいだけです。

判断能力があるうちなら、判断能力を失ったときのために任意後見契約をしておくことができます。

契約書は公証役場で 公正証書を作成します。

任意後見は 契約の相手方が 家庭裁判所に後見監督人の選任を申し立て、任意後見監督人が選任されてから始まります。

後見監督人とは?

後見人の事務を監督する人です。家庭裁判所が必要があると認めるときは 後見人等の請求により選任されます。実務上、家庭裁判所が職権で後見監督人を選任することが多いと言われています。

後見人が確定したら 家庭裁判所は後見人の登記を法務局で行います。

登記が終了すれば家庭裁判所から通知が来て 手続きが終わります。

法定後見と任意後見。選任にしっかりとした本人の意思が反映されている任意後見の方が優位・優先です。

後見人の手続き費用

後見人と認知症

後見人申し出等の手続きに必要な費用ですが、法定後見人の場合で6万円くらいです。

ここには認知症の判断の鑑定料5万円が含まれます。

任意後見手続きの費用は 契約書を公正証書で作成するので 3万円くらいです。

費用はこのほかに 後見人に専門家が選任されれば報酬が発生します。

報酬額は業務内容によって異なりますが おおむね後見人で年額60万円くらい、後見監督人で年40万円くらいです。

後見の終了

後見人の業務は本人が死亡すれば終了します。

本人の財産は相続財産になりますから 財産を整理、報告書作成、家庭裁判所等に報告、そして相続人に引き渡しです。

これは死亡から2か月以内に行います。

最期に後見人の終了登記を行って 後見人の仕事は終了します。

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