
相続や終活のために準備する書類って遺言書だけでいいの?老後のいろいろな心配事に対応する契約書は必要?
公正証書とは?
お金に関する公正証書はどんなものがあるか?
自分の希望や契約に関する公正証書にはどんなものがあるか?
公正証書とは?相続と終活のための公正証書の種類をわかりやすく解説
公正証書とは わかりやすく言えば公証役場の公証人が作る書類です。
公証役場(公証人役場)の公証人が 2人以上関係者に対する権利や義務や契約法律行為について記載します。
公証人役場は法務局が所管しており、公証人がで公正証書の作成や私文書の認証、確定日付の付与などの執務を行います。
公正証書というと いちばん先に連想されるのが「遺言書」だと思いますが、公正証書で結ばれる契約はお金に関する義務や権利だけではありません。
尊厳死を望むことを宣言する「尊厳死公正証書」というものもあります。
希望通りの終活を進めるために、8つの公正証書について知っておきましょう。
公正証書遺言
公正証書遺言の場合は 遺言書を開封する立ち合いに裁判所の検認が不要ですので、すぐに遺産分割に入れます。
一方、自分で書き残した「自筆証書遺言」を手元に保管していた場合は 相続の発生後に裁判所の検認が必要となります(※)
遺言書の有効性についても、公証役場で締結した文書ですから、不備はまずありえません。
また、故人が公正証書遺言を残していることがわかっているのに原本が見つからないときには 遺族は公証役場で検索してもらえますので安心です。
(※)令和2年7月10日から「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が施行され、法務局で遺言書を保管してもらえる制度ができました。

そうぞく
任意後見契約公正証書
将来自分の認知能力や判断能力が落ちた場合に 日常生活と財産に関する執務を自分が信頼する人を指名して任せることができます。
これを公正証書を使って契約するのが任意後見契約公正証書です。
後見人が自分に代わり財産を管理したり、必要な契約締結などを行います。
これは本人がお元気で、判断能力が備わっているうちに作成します。

尊厳死公正証書(リビングウィル)
人間としての尊厳を保ったまま死を迎えるのを望むことを自ら宣言するもので、これを公正証書で遺します。
「延命治療をしない・または打ち切って自然に死を迎える」希望を伝えるものです。
しかし現代の医療現場は 患者が存命である限り治療を続けるというスタンスです。
尊厳死宣言書(リビングウィル)が尊重されるべきものであっても、医療現場がそれに従うかどうかは微妙ですので、希望通りに実現できるとは断言できないのが現状です。
ここで紹介しているのは「公正証書」についてですが、尊厳死宣言は公正証書で遺す方法と、リビングウイルノート(エンディングノートの一種)に書き残す方法があります。


委任契約公正証書
まだ認知症などの症状はなく、自分の財産管理が自分でできる状態にはあるものの、高齢が理由(寝たきり・歩行が困難など)で外出するのが難しい人が 特定の人に一定の行為(銀行への所用その他)を依頼する等の契約を結ぶための公正証書です。

贈与契約公正証書
自分の財産を無償で相手方に与える意思を示して、相手方がそれを承諾するものです。
死因贈与公正証書
贈与する者の死亡という事実によって効力が発生する、生前の贈与契約に関するものです。
遺産分割協議公正証書
遺産分割において どのくらいの割合で相続するのかを相続人全員で協議した内容を記載したものです。
死後事務委任契約公正証書【おひとりさまには必要】
亡くなった後の諸手続き、葬儀、納骨、埋葬などの事務についての委任契約です。
死後のことを書き残すというと遺言書が必要!と思うかもしれませんが、遺言書に基づく手続きは四十九日の後ということも多いのです。
亡くなった直後の手続きを遺言書に書いておいたとしても、それが読まれる頃には全部が終わっていることもある・・・つまり遺言書では遅いこともあります。
その点、死後事務委任契約は亡くなった直後の様々な手続きを概ねフォローしています。よって自分の希望通りの手続きがしてもらえるわけです。
特におひとりさまの場合は、生前に死後事務委任契約公正証書を作成し、亡くなった後の諸手続きを誰かに依頼しておくことが大切です。
死後事務委任契約を結ぶ代理人になるには特に資格はなく、友人や知人にお願いすることもできます。
しかしやることが多く煩雑で 正直 素人には手ごわいですから、トラブルが心配なら専門家(弁護士・司法書士・行政書士)に依頼するのがいいでしょう。

