【孤独死予備軍の共通点】8050問題と中高年の引きこもり61万人
日本少額短期保険協会の第4回孤独死現状レポートで以下のデータが出ています。
■64歳未満の孤独死の割合は5割
■60歳未満の現役世代の孤独死の割合は4割
孤独死と孤立死はニュアンス的にはそれほどの違いはありませんが、一般的に厚生労働省をはじめとした行政が使うのは「孤立死」であって「孤独死」ではありません。
孤独死と孤立死の違い
子どもだけではなく、ご近所とのおつきあいもせず、自分だけの世界に閉じこもって暮らした結果、死を迎えても誰にも死亡したという事実を知られないままになってしまうのが、孤立死です。
孤独死はというと、高齢者が持病を原因として自然死した際に、誰にも看取られることなく亡くなった状態のことを言います。
一緒に暮らしていなくても、たまには子が顔を見せに来たり、ご近所さんとのお付き合いがあるかもしれません。 そうした人たちによって発見される可能性がある人の場合、その人は死の際に看取られる人がおらず孤独だっただけで、孤立していたというわけではないというとらえ方になります。
まったく社会と接点がなく、誰とも人付き合いをしていない場合の死は、孤立しています。 一方、社会との接点はあるけれども、亡くなる時には残念ながら一人の状態だったというのが孤独死です。
引用元:マレリーク
日本のひきこもり100万人!40歳~64歳のひきこもりは61万人!
現代のひきこもりは若年層に限った話ではありません。子供が40歳を過ぎても「子育てが終わっていない」家庭が多い…いわゆる7040問題、8050問題です。
2019年4月の内閣府の調査結果では、自宅に半年以上閉じこもっている40~64歳のひきこもりが 全国に推計613,000人いると発表されています。15歳から39歳のひきこもりは推計541,000人。つまり日本のひきこもりは優に100万人を超えているのです。
親亡き後のひきこもりの末路はどうなるのか?8050問題、7040問題が社会問題になっているのを見てもわかるとおり、中高年の引きこもりは孤独死・孤立死という結末を迎える可能性が高いことは明らかです。
親が生きているうちは親におんぶにだっこで生きていけます。しかし引きこもりの多くは 親との永遠の別れ以降は自分一人で何もできない人が圧倒的多数。
先に亡くなった親の遺体をそのまま放置して自分も餓死してから第三者に発見される…という事案が後を絶たないことからもそれはわかります。8050問題の孤独死は、今や毎日のように起こっているのが現実です。
高齢社会白書によると、孤独死・孤立死を身近な問題と感じている人は50%を超えている、つまり「他人事とは思えない」と答えています。
対人関係がうまくいかない、仕事のつまづき、元々「生きづらさ」を感じる性格(発達障害も含めて)…などでひきこもりがちな人が家をゴミ屋敷にしたり、セルフネグレクトに陥りやすいです。これらの原因を見ると、どれもが誰にでも当てはまる可能性があると思いませんか?
人間、どこで「精神的に」つまづくかわからない。ひきこもりもネグレクトも孤立死も孤独死も「無縁社会」と呼ばれる今の時代は決して他人事ではないのは事実です。
孤立死・孤独死する人の共通点とは?
孤立死が発生・発覚すると、ほとんどの場合で行政に責任が問われます。
よく見かけるバッシングが

生活保護や環境福祉の点から行政の対応が不十分だったのでは!?いったい何やってたんだ!?お役所仕事はこれだから・・・
…というもの。確かにそれも一理あるかもしれません。
しかし孤独死・孤立死する側にも それぞれに様々な問題をはらんでいたり、個人的な事情を複数抱えていたりします。
孤独死・孤立死は女性より男性が圧倒的に多い
孤独死・孤立死の原因の多くはセルフネグレクト(自己放任)が絡んでいますが、パワハラや失業など、男性は社会的原因でセルフネグレクトに陥ることが多いです。
一方で、失恋や離婚などの喪失感という個人的原因でセルフネグレクトに陥ることが多いのは女性です。
セルフネグレクトに陥る根本原因から見ても、男性の方が社会の軋轢による影響をかぶって孤立死・孤独死に至るケースが多いことに納得できます。
離婚後の孤独死・孤立死が多い
離婚後のショックが大きくて その後酒に溺れてアルコール依存症になったり、不摂生がたたって病気になったりして孤独死・孤立死するケースも多いです。
アルコール依存症から引きこもりに移行し、どんどん孤立が深くなったために亡くなってもしばらく発見されないこともよくあります。
離婚からセルフネグレクトになり、若くして体を壊して孤独死・孤立死するケースは、最近ではかなり多いということです。
実は65歳未満の孤独死・孤立死が多い
60歳未満の孤立死は全体の40%というデータもあります。
ある特殊清掃会社によると、特殊清掃の依頼を多く受けるのは 40代から50代あたりの男性の孤独死・孤立死だということです。
また別の特殊清掃会社でも、特殊清掃依頼の8割は孤独死者が65歳未満だということです。
65歳以上の高齢者の孤独死・孤立死も確かに多いのですが、高齢者は社会の「見守り」の中にいる人が多いです。
しかし働き盛りの現役世代はそういった見守りがないため、孤立した状態にいる人は ひっそりと亡くなっても気づかれないことが多いです。
単身者(おひとりさま)と独身者に孤独死・孤立死が多い
生涯未婚率の増加による独身者も多いですが、既婚者でも連れ合いに先立たれれば「おひとりさま」であり、離婚しても「おひとりさま」
誰もが「おひとりさま予備軍」ですから、孤独死・孤立死については 婚姻歴の有無は関係ありません。
2015年には3世帯に1世帯が単身世帯である…というデータも出ていますが、一人暮らしであれば遺体の発見が遅れる確率は当然高くなります。
ブラック企業に勤めている人にも孤独死・孤立死が多く見られる
ブラック企業はそもそも人の出入りが激しいため、急に出社しなくなっても気にする人が少なく「あいつ、やめたんだろ」で済まされることが多いです。
それによって発見が遅れることも多々あります。
不摂生・不衛生・健康管理ができていない人(セルフネグレクト)に孤独死・孤立死が多い
孤立死・孤独死する人の8割はセルフネグレクトが占めていると言われています。
つまり生活習慣の乱れや日ごろの不摂生がひと目でわかる人が孤立死・孤独死するケースが多いということです。
経済的に困窮している・余裕がない人に孤独死・孤立死が多い
経済的に余裕がないために病院に行かず、具合が悪くても市販薬を飲んで一時しのぎし、時間の経過とともに死に至るところまで行ってしまうケースが多いです。
慢性疾患を抱えている人に孤独死・孤立死が多い
セルフネグレクト状態にある人は病院に行かない場合が多く、食生活からして不摂生であることが多いので、慢性疾患を抱えていているケースも多いです。
アルコール依存症・大酒飲みに孤独死・孤立死が多い
アルコール依存症の人の遺体の腐臭は独特なので 特殊清掃人にはそれがわかるといいます。
特殊清掃現場は生前にアルコールを過剰摂取していた故人宅が多いのかもしれません。
人付き合いがほとんどない人に孤独死・孤立死が多い
団塊ジュニアやゆとり世代は社会的孤立に陥りやすい傾向にあります。
人付き合いがないからいなくなっても気づかれないのであって、亡くなってすぐに気づかれたなら それは「孤独死」とか「孤立死」とは呼ばれません。
セルフネグレクトから住まいがゴミ屋敷・ゴミアパート・ゴミマンション・隠れゴミ屋敷になるケースが多く、さらに孤立を深める要因が増加します。
孤立死した人の部屋にある共通点
【関連記事】これはあくまで私見ですが、孤独死が起こり、特殊清掃の現場となる部屋には、ある共通点が存在します。それは、湿気です。
もちろん、日本は高温多湿な気候ですから、窓を閉め切って放置すれば湿気がこもり、カビも発生しやすくなります。しかし、いわゆる事故物件になるような部屋はその程度において尋常ではないのです。
日当たりが悪く日中でも薄暗い部屋、あるいは常にカーテンを閉め切っている部屋で暮らしていれば気分は沈むでしょうし、湿度が高ければカビが生じ、生じたカビは感染症や中毒、アレルギーといった健康上の問題を引き起こします。極論かもしれませんが、私は「カビが人を殺す」とさえ感じています。
特殊清掃の現場となる部屋は、例外なくジメジメとしていてカビ臭く、壁面にはカビによって生じた黒い斑点があるものなのです。
特殊な例ですが、とあるマンションではフロアの半分が事故物件ということもありました。そこは内廊下で湿気がこもりやすい構造になっており、部屋で人が亡くなればその臭いもこもります。
引用元:事件現場清掃人~死と生を看取る者