依存症は誰でもなり得るこころのSOS
例えば、アルコールをやめたいのにやめられない。ギャンブルのしすぎで借金もしているのにそれでもやめられない。そんな依存症でお悩みではないですか。
依存症は、周りから見ると「自分の意思でやめられないなんて意志が弱い」そんな風に見えることもあるかもしれません。
しかし依存症は病気であり、決して意志の強さで解消されるものではありません。
依存症になるのは、アルコールでも薬物でも同じで、脳の仕組みに原因があります。
アルコールや薬物が身体に入ると、脳内でドーパミンという快楽物質が放出されます。この快楽物質によって、中枢神経が興奮し、それが快楽やよろこびにつながります。
この感覚を脳が覚えてしまうと、脳が同じ快楽をまた求めてしまい、快楽を求める回路が出来てしまいます。
しかし何度も同じ快楽を与えていると、中枢神経の機能が次第に低下し、脳はより強い快楽を求めるようになります。
一度そうなると、その強い刺激にも次第に慣れ、どんどん強い刺激を求めて依存症になっていきます。
依存症のおそろしいところは、一度依存してしまうと、周りの人にも影響を及ぼしてしまうというところです。
例えばギャンブルがやめられないとなると、借金をしたり、両親に嘘をついてお金を借りるようになります。お金ほしさゆえに、暴力沙汰になってしまうケースもあります。
アルコールや薬物がやめられないと社会生活を送ることも難しくなるでしょう。
しかし依存症は脳の回路の問題なので、誰でもなり得る可能性のある病気です。
ちょっとストレス発散にした買い物が病みつきになってしまった、辛い時にお酒を飲んだら楽になり、そこから抜け出せなくなってしまった、そんな簡単なきっかけで誰でもなり得る病気です。
アルコール依存症
お酒を飲むと楽しくて嫌なことを忘れられるといった経験をしたことがある人は多いですが、常習的に飲みたくなるとか お酒がないと落ち着かないといった風になると、アルコール依存症の可能性があります。
アルコールには中毒性があるので、アルコール依存症はれっきとした病気です。
最初は毎日飲みたいという程度ですが、だんだん症状が悪化してくるとお酒が切れると微熱が出たり 下痢をしたりイライラしはじめます。
お酒が原因で遅刻や欠勤、判断ミスやケガが起きるようになり、家族からも禁酒を勧められるようになります。
さらに悪化すると、お酒が切れると手が震えたり迎え酒をするようになります。
家庭内のトラブルが起きるようになり、お酒を飲むために嘘をつくこともありますし、仕事でのミスやトラブルも目立ち始めます。
依存症後期になると、お酒が切れたらうつ状態になったり不安に襲われるため、飲まざるを得なくなります。
社会的信用を失ったり、家族を失うケースが多く、最悪の場合、死に至ることもあります。
アルコール依存症は、側から見たら「だらしがない」と見られることもあり、依存度が高くなるほど家族でさえもそう思うようになります。
そうなると周りに相談したりできなくなり、1人で辛い思いを抱えることになりやすいです。
ギャンブル依存症
ギャンブル依存症はパチンコやスロット、競馬、宝くじなどの賭け事をやめたくてもやめられず、日常生活に支障をきたしてしまう精神疾患です。
ギャンブル依存症の人にあらわれる問題や症状の例として、次のようなことが挙げられます。
■金が無くなる、借金、失業、破産 ■金銭トラブル、人間関係のトラブル ■家族への嘘、隠し事、家庭不和 ■抑うつや不安など、心身の健康への悪影響 ■窃盗や詐欺などの犯罪に手を染める
ギャンブル依存症は本人に病気としての自覚がない場合があるため、治療が遅れやすく、深刻な事態に陥ってしまう可能性があります。
また、世間的にギャンブルをやめられないのは意思が弱いからだと思われがちですが、ギャンブル依存症は脳の機能異常が原因と考えられており、本人もコントロールができずに苦しんでいることが少なくありません。
ギャンブル依存症は、アルコール依存症やうつ病などの精神疾患が併存したり、それらの疾患が相互に影響したりすることがあります。
また、ギャンブル依存症の人はギャンブルに対して非合理的な考え方をしていることが多いため、治療には精神科医やカウンセラーによる認知行動療法という心理療法が多く用いられます。
認知行動療法では、ストレス対処や衝動をコントロールする方法を身につけていくこともあります。
ギャンブル依存症の治療には、家族の関わりや環境の調整も大切になります。
買い物依存症
ストレス発散のためにショッピングに行くことはよくありますが、度を超えて買い物をしてしまったり、借金をしてまで買い物がやめられない場合、買い物依存症の可能性があります。
今はネットで気軽にショッピングができるうえ、クレジットカードの分割払いなども簡単に利用できるため、軽い気持ちで買い物をしているうちに、返済がどんどん大変になる…ということに陥りやすいです。
買い物依存症になりやすい人の特徴としては、生真面目な性格、自分に自信がない、見栄を張りたいということが挙げられます。
生真面目な人は責任感も強く、人に甘えたり誰かに頼らずに1人で頑張ってしまう傾向にありますから、ストレスが溜まっても1人で解消しようとし、結果として1人でできる買い物にハマる傾向があります。
自分に自信がない人は、人の顔色を常にうかがったり、相手にどう思われているかとても気にしてしまいます。
相手のことを気にしすぎてストレスが溜まりやすいうえ、自分の悩みを人に相談することでどう思われるか不安になるので人に頼るのが苦手、結果 自信がない人も1人でストレス解消できる買い物に依存しやすい傾向にあります。
見栄を張りたいタイプの人は、高いブランドものを身につけることで自分の価値が上がったように感じるため 多少無理なローンを組んででも高級なものを購入する傾向があり 買い物依存症になりやすいです。
タバコ依存症
タバコをやめたいのにやめられないという人は意外と多いです。
タバコに含まれるニコチンは脳にある神経細胞の受容体と結びつくと 快感をもたらす「ドーパミン」という物質が過剰に放出されることが分かっていますが、ニコチンの効果は30分程度しか持ちません。
ニコチンが切れると今度はイライラしたり集中力が切れたり、眠くなるといった離脱症状が起きるので、この離脱症状から回復するために、またニコチンが欲しくなるのです。
ニコチンの中毒性は麻薬以上とも言われているため、禁煙できないというのは決して恥ずかしいことではありません。
しかし、タバコがやめられないというと「意思が弱い」「気合が足りない」と思われることも多く、なかなか人には相談できないで1人で悩んでしまう方も多いです。

スマホ依存症(ネット依存症)
その便利さゆえに、手放せなくなり、スマホ依存症になる人が増えています。
最近では、中学生や高校生のスマホ依存症が問題になっていて、SNS中毒になったり、LINEの返信をすぐにしないと落ち着かない、という問題を抱える人が増えています。
実際、80%の女子高生がスマホ依存症を自覚していて、日常生活に支障が出るケースも多いです。
スマホ依存症になると、眼精疲労やストレートネックなどの身体的症状が出やすいだけでなく、うつ病などを招いてしまうこともあります。
ゲーム障害(ゲーム依存症)
仕事や勉強などの日常生活に支障をきたすようになると、それはゲーム依存症かもしれません。
ゲーム依存症になるといつもゲームのことが頭から離れず、ゲームのことを何よりも優先してしまい、日常生活において大きな問題が起きるようになります。
ゲームはもともと脳が興奮するような作りになっていて、脳が興奮するとドーパミンという快楽物質が分泌されます。
このドーパミンが出ると幸せな気分になったり楽しい気分になり、やる気が出てきます。
しかしこのドーパミンは過剰に分泌されると 体がバランスを取ろうと分泌が抑えられ、すると体内のドーパミンが少なくなり、脳が「ドーパミンが足りなくなった!もっと欲しい!」と快楽を求めてしまいます。
その結果、ゲームがやめられなくなるのです。
ゲーム依存症の症状が悪化すると、一日中家にこもり、寝る時間や食事の時間も惜しんでゲームをするようになったり、最悪なケースではゲーム依存症が原因で亡くなる人もいます。
ゲーム依存症は約90%の人が男性で、その中でもほとんどの人がオンラインゲームをしていると言われています。
薬物依存症
覚せい剤や大麻、シンナーなどの薬物を使用することは違法行為にあたります。
仕事のストレスがスッと消えるような感じがした。つらい時に薬物を使うと気分が和らいだ…などの経験から、最初は1回だけなら大丈夫だろう、もう1回くらい大丈夫だろう…と使用しているうちに、やめられなくなってしまいます。
しかし薬物依存症が他の依存症と違うのは薬物の使用自体が違法行為であることで、周りにバレないように使用しなければならないため、嘘をついたり隠しながら使用することになります。
そのため薬物依存症を治したいと思っても周りに相談できなかったり、相談したら通報されるのではないか…という不安から、一人で悩みを抱えることになります。
男性依存症
男性依存症は正式な病名ではありませんが、常に男性に必要とされたいとか、常に彼氏がいないといけない…など 男性に注目されている状態でないと落ち着かない人のことを指します。
男性に対して精神的な興奮を求めてしまうため、略奪愛や不倫、浮気などの刺激的な恋愛を求めてしまい、周りの人を傷付けてしまうこともよくあります。
彼氏がいるのに複数の男性と関係を持っている。結婚しているのに他の男性と常に肉体関係にある…といった周りのことを顧みずに恋愛してしまう人は要注意です。
男性依存症になりやすい人の特徴としては、幼少期に親から十分な愛情を受け取れなかったことが挙げられます。
両親が離婚して親に甘えられなかった。親と不仲で信頼関係を築けなかった…といったことがあると、愛情の欠如や不安感から男性に依存してしまう傾向があります。
女性依存症
恋愛依存症は女性に起こるイメージが強いですが、男性も女性に依存するケースは意外と多いです。
常に恋愛をしていないと落ち着かず、パートナーは常に監視したいという強い執着心があります。
また、パートナーがいなくなってしまうことに大きな不安を持っているので、パートナーを強く束縛してしまう傾向にあります。
女性依存症になる原因はまずは自分に自信がないということが挙げられます。
誰かに愛されていないと自分に価値がないと思ってしまうため、常に愛されたいと願います。
また、両親から十分な愛情を得られなかった場合、大人になってからその愛情をパートナーに求める傾向にあります。
しかし女性依存症の男性は彼女の方から愛想を尽かされてしまうことが多いです。
そんな経験が重なるとますます女性を信用できなくなって さらに依存度合いが強くなっていきます。
【共依存】依存症者が近くにいると共依存になりやすい
共依存とは、もともとアルコール依存症の旦那さんがいる奥さんが、夫の飲酒問題をなんとか救おうとして苦しんでいる状態からつけられた言葉で、お互い疲れ切っているのに依存しあって離れられないような関係を指します。
アルコール依存症者がいる夫婦だけでなく、相手への依存が強いカップル、子離れできない親子(特に母娘関係)、部下を支配下に置きたいと思っている上司部下など、様々な関係において共依存は起きる可能性があります。
そのほか、ギャンブル依存症、薬物依存症などの依存症者が近くにいる場合は、その人と共依存状態になることがあります。
共依存のこわいところは、一方が「あなたのため」という言葉を使って相手を思いやっているように見えますが、実は支配しようとしていることに無自覚であるという点です。
もう一方も「自分のためにしてくれている」と甘えてしまい、自分自身の考えや意思よりも、相手の機嫌に気を取られてしまいますが、それにも無自覚であることが多いため、お互いが共依存であることをなかなか気がつけません。
共依存はお互いに無自覚であることが多いですが、支配される側は相手の機嫌に気を取られて疲れやすくなるだけでなく、依存をやめにくくなります。支配する側も「相手のために」と心身をすり減らして、疲れやすくなります。
自分の気持ちや考えよりも相手のことに気を取られて疲れている方は 共依存関係にあるかもしれません。
依存症カウンセリングのおすすめサービス
依存症を治すには、脳内にできた回路を「止め続ける」ことが大切で、そのためには1人で抱え込まず、誰かに相談して頼るということも大切です。
それには、家族や友人だけでなく、専門機関やカウンセラーのアドバイスがとても有効になります。