発達障害とは?
対人関係がうまくいかず生きづらい、頑張っているのに仕事でミスが多い、そうしたことから発達障害を疑う人が増えています。
発達障害は、脳機能の発達が生まれつき異なるために、コミュニケーションや社会生活で様々な困難を抱えやすくなることが大きな特徴です。
発達障害というと昔は子どものみに使われやすい言葉でしたが、最近では大人の発達障害という言葉を多く目にするようになり、大人になって初めて発達障害と診断されるケースも増えています。
発達障害には大きく分けて3つの種類に分類されます。
注意力が極端に欠如する注意欠陥・多動性障害(ADHD)
相手の気持ちが読めなかったり社会的なコミュニケーションが苦手な(空気が読めない)傾向がある自閉スペクトラム症(ASD)
読む・書く・計算することが極端に苦手な学習障害(LD)
どれか1つに偏っている場合もありますし、2つもしくは3つが複合している場合もあります。
…などでお困りの場合も、もしかすると発達障害が原因かもしれません。
ADHD(注意欠如・多動性障害)
注意欠陥や多動症と言われる発達障害をADHD(注意欠如・多動性障害)と呼びます。
主に小学生の時期に多く診断され、不注意傾向と多動・衝動性が日常生活の妨げになっている場合に適応されます。
■不注意…細部の確認が苦手、集中が途切れる、もの忘れが多い、課題を順序立てるのが苦手、など
■多動・衝動性…身体をせわしなく動かすことが多い、静かに遊ぶことが難しい、順番を待てないことが多い、など
ADHDの中には大人になると軽減される症例もありますが、やはり「集中できない」「急に気分が変わる」などで実生活で失敗を経験することがあり、生きづらさを抱える人も多いとされています。
ADHDは生まれつきの特性としての要素が大きく、具体的な原因までは知られていません。
認知行動療法を含むカウンセリングやスケジュールなどの行動管理によって、自身のADHDの症状を客観的に理解することが、困難を乗り越えるための手助けになります。
ADHDの性質によって親元を離れてから生活環境が悪くなったり、学業や社会での失敗などからネガティブな感情を抱えたりすることも多い一方で、大人になって職業において「独創的」と言われる人も多いとされています。
「普段どのようなことで困難を抱えることが多いか」について整理をし、日常の困難に適応していく方法やADHD傾向によるストレスを軽減させるための工夫などを、カウンセラーと一緒に考えていけるといいでしょう。
うららか相談室には発達障害を抱える人の社会支援を行なってきたカウンセラー(社会福祉士や精神保健福祉士など)も多く在籍していますので、専門家にお話してみてください。
自閉症スペクトラム(ASD)
自閉症スペクトラムとは発達障害の一種で、自分のやりたいことや興味のあること、自分のペースを最優先させたいがゆえに、対人関係が苦手という特徴があります。
少し人付き合いが苦手…という程度で社会生活に支障がない場合もありますし、非常に生き辛さを感じる場合もあります。
コミュニケーションが苦手、想像力が欠如している、社会性が伴わない…ということが主な症状です。
みんなと一緒の行動ができない、当たり前のことができない、簡単に想像できることができずミスをしたり失敗が多い、言葉が理解できず無視してしまうことがある…などがあります。
小さい頃に自閉症スペクトラム(ASD)と診断されていれば、先天的に障害があると周囲も理解しやすいですが、大人になってからやっと自分が自閉症スペクトラムと分かってそれまでの生き辛さの原因がわかったというケースも少なくありません。
脳の障害は、体の障害と違ってパッと見て分かりません。「どうしてこんなこともできないの」「わがままばかり言わないで」と言われることも多く、それによってさらに傷付いてしまい、1人で悩みを抱えてしまう方も多いです。
自閉症スペクトラム(ASD)は脳の障害であり、周りからパッとみて分からないので、理解されないことも多いです。
学習障害(LD)
学習障害(LD)とは、知的な発達には遅れや問題がないのに、読む、書く、計算する、話す、といった基本的な学習能力のいずれかに困難があることを指します。
知的な発達に遅れがないので、学習障害と気がつかれないまま子供時代を過ごす人も少なくありません。
特定のことだけが苦手で あとは他の子と同じようにできるため『怠けている』『わざとサボっている』というように誤解されることが多いです。
学校の先生からはどうしてできないのか?と怒られ、それを聞いた親からはガッカリされ…とても傷つきますよね。
頑張っているのにできない、周りからはガッカリされる、そんな経験を積むことで、自尊感情が損なわれたり、学校に行けない、社会の中でうまくやっていく自信がない、という二次障害も引き起こしやすくなります。
学習障害は読み書きなど、特定の学習能力が苦手というだけで、知的な発達には全く問題はありません。
苦手というだけで、きちんとその人に合った方法で学習すれば学ぶことはできますし、他の個性や強みを発揮することにもつながります。
学習障害によって受けた心の傷を癒したい、学習障害を克服しつつ前向きに生きたい、そんな風にお悩みであれば、ぜひうららか相談室のカウンセリングを活用してみてください。
発達障害のグレーゾーンとは?
発達障害のグレーゾーンとは、発達障害の診断基準に満たないものの、発達障害の傾向が認められる状態を指します。
グレーゾーンの人は発達障害の診断がされていないため、発達障害に特有の症状による困りごとや性質が、周囲に理解されなかったり、本人がどのように改善すればいいのか分からなかったりすることが多くなります。
グレーゾーンの人の中には、発達障害の人がとるような環境調整やケアなどがなされなかったことで、様々なストレスへの対処ができず、うつ病などの精神疾患を発症することもあります。これを、二次障害といいます。
また、精神疾患でなくても極端な思考の癖が身についてしまったことによって日常生活にさらに多くの困りごとを抱えている場合があります。
発達障害のグレーゾーンに対しても、傾向のある発達障害とおおよそ同様の対処法が有効であると考えられるため、カウンセリングなどで専門家に相談することで、自分にあった生活上の工夫を考えていくことができます。
また、グレーゾーンの人が定期的にカウンセリングを受けることで、同時にストレスケアの役割を果たし、二次障害の予防になることも期待できます。
ピーターパン症候群(ピーターパンシンドローム)
ピーターパン症候群とは、年齢や見た目は大人であるにもかかわらず、自立していなかったり、社会に適応できなかったりと、精神的に大人になりきれていない状態を指します。
これは病気や正式な診断名ではありません。
子どものような自己中心的な考えや依存性によって、日常生活に支障をきたしていたり、周囲が困惑しているような場合には、パーソナリティ障害の診断を受ける場合があります。
夫婦やカップルの女性側が男性に対して精神的に未熟な部分を感じ、「ピーターパン症候群なのではないか」と思うケースも多いようです。
ただし、このような場合、男性がパーソナリティ障害ではなく発達障害(グレーゾーンを含む)の症状が表出しているということも少なくありません。
基本的に相手の気質を変えることはできないため、子どものような性質とどのように付き合っていくかということを考えていかなければなりません。
ピーターパン症候群では生育環境などにより、自己愛や依存性、誰かに見捨てられるのではないかという不安が極端に大きく、精神的に大人になりきれていない可能性があります。
カウンセリングで、どの部分が大人になりきれていないのか、何か考えられる理由はないか整理することによって、ピーターパン症候群の改善方法を考えることができます。
発達障害とグレーゾーンのカウンセリングおすすめサービス
発達障害を抱える子どもは、学校などで挫折や失敗を経験して落ち込みやすく、様々な工夫や適切な対応によって心を守ることができます。
大人になって対人関係や仕事などで生きづらさを感じて、初めて発達障害に気づくような「大人の発達障害」では、子どものころから自尊心がうまく育まれずに自分に自信がなかったり、二次障害(重ね着症候群)として気分が落ち込みやすかったり…といった悩みを抱えている方も多いです。
カウンセリングでは「発達障害を抱える自分」について理解を深めたり、困難に直面しやすい考え方や行動のパターンについて見直したり、自分らしく生きるためにできることをカウンセラーと一緒に考えたりすることができます。