愛着障害とは?
愛着形成によって子どもは親のことを、無条件で自分を受け入れてくれる存在と認識し、安全な心の拠り所があるからこそ、新しい環境に挑戦したり、自立心が育ったりしていきます。
しかし、虐待などが原因で、子どもが親や養育者との間に安心感や信頼関係を築けていなかった場合、就学期以降の対人関係やアイデンティティ形成に問題を抱えやすくなります。これを愛着障害といいます。
愛着障害は、他人と極端に距離を取ろうとする反応性アタッチメント障害と、知らない人でもかまわず甘えてしまう脱抑制型愛着障害に分けられます。
ともに、養育者に甘えることができないために上記のような傾向が見られ、共通して意地が強くわがままになると考えられています。
また、大人になっても愛着障害の症状が続く場合、他人との距離感、特に自身の子どもやパートナーに対しての接し方が分からなかったり、感情的・消極的であるためにうつ病やパーソナリティ障害などの原因になったりすることもあります。
物心がつく前に勝負が決まる
物心つく前に勝負は決まる
どうせ幼い子どもの時のことなど覚えていない。その覚えてもいない存在のために心を砕き、手間をかけることは、効率を重視する合理的な人たちにとって無駄なことに思われたかもしれない。実際、手を抜くことはいくらでもできる。どんな目に遭おうとそれについて語ることはできないのだから、とがめられる心配もないはずだった。物心つく前という記憶のカーテンの向こうに証拠は葬られたはずだが、愛されなかったという事実の痕跡を完全に消すことはできない。愛着という太陽がどれくらいその子を照らしたかは年輪のような痕跡となって、さまざまなところに刻み込まれている。
たとえばその一つは、あなたが親に対して親しみや安心を覚えるかどうかだ。親のことを考えただけで心が安らぎ、ほのぼのとした気持ちになれるか。それとも逆にとげとげしい思いや苛立ち、怒りを覚えるか。それとも何の感情も湧かないか。
あなたがあなたのパートナーや自分の子どもに対してどんなふうに振舞うかにも、その痕跡が残っている。よく知られているように、親との関係で味わったことを、自分のパートナーや子供との関係で再現してしまう。あなたの記憶は覚えていなくても身体は忘れずにいて、学習した行動パターンのスイッチが入ってしまう。
徐々に症状化して困難が強まる愛着障害の恐ろしさ
時限爆弾のように遅れてスイッチが入る
愛着障害の恐ろしさはすぐに症状が出ないことも多く、むしろ数年から数十年を経過するうちに徐々に症状化して、困難が強まっていきやすいということだ。そのため因果関係も気づかれにくい。別の病気が原因とされたり、生まれ持った特性のせいにされたりする。幼いころに植え付けられた悲劇の種は、遺伝子と同じようにその人の人生を狂わせ続けるが、その影響と被害は時間が経つにつれて強まってくるものなので、どこからそうなったのかが見えにくいのだ。ほんのわずかずつ軌道からズレていくが、そのズレは1年や2年ではさほど目立たない。しかし5年、10年、20年という時間が経つうちに、途方もない違いとなって現れるのである。
上記引用元:死に至る病~あなたを蝕む愛着障害の脅威
愛着障害カウンセリングのおすすめサービス
5歳までの親の接し方によって愛着スタイルが左右されることから、時間が経って諦めてしまったり、ひどく後悔してしまったりすることがありますが、就学期以降に抱える愛着障害であっても、カウンセリングや周囲の協力によって徐々に解消していくことができます。
子どもと大人に共通して言えることですが、親密なやり取りができる人間関係を認識することが愛着障害の克服につながります。