カサンドラ症候群でカウンセリングを受けずに苦しい離婚をした体験談
当時27歳女性 これは私が離婚してからカサンドラ症候群に気づいた話です。
専門職で学力もあり、誰から見ても低姿勢で優しくて「良い人」と言われていた彼(当時30歳) 実際にそれは結婚後もあまり変わりはなく、怒りを露わにすることはなく喧嘩もない穏やかな人でしたが、結婚後の生活で 私は彼に徐々に引っかかりを覚えることが出てきました。
当時は気がつきませんでしたが、今思えば

彼は発達に対してどこか偏りを持った人だったのかも…
…としみじみ感じるところがあったのです。
つまり、家族でも上司でも友達でも、誰に対しても同じような態度で接し、常に気を遣っているように見えたのは、

少しズレていて 他人との距離感やコミュニケーションの方法がわからなかったのではないか?丁寧に接するという「ワンパターン」でしか人と関わることができなかったのかもしれない。
…と思い当たり、そう考えると納得がいくことがとても多くあったのです。
大人の発達障害だったかもしれない夫の言動に気づいてはいたけれど…
まだ結婚する前のある日のデート中、なにげなく好きなお菓子のことが話題に上がりました。
するとその後 彼は私に会うたびにそのお菓子を手土産に持ってくるようになったのです。
これはその後も私の興味が変わるまでしばらく続きました。

いくら好きだと言っても、毎週毎週同じものを渡されてもなぁ…。
…と相手が考えるかもしれないこと自体がわからないのです。

だって好きでしょ?喜ぶかなと思って。
また、自分の考えや主張ができない彼は、将来について「話し合いたくても話にならない」という問題がありました。
子どもはどうしようか?家はどうしようか?等、結婚する夫婦なら誰しも考えるようなテーマでも、全て

君の好きなようにしていいよ。協力するから。
はたから見れば、ちゃんと仕事をして、無駄遣いもせず、家族思いで、稼いだお金を好きに使っていいと言うので友人たちからは

なんて良い旦那さんなの!!
…と言われていましたが、始終こういったことを繰り返しているうちに、私の気持ちは段々と不安定になっていきました。

ちょっと待って。この先将来のことも何もかも、全て私が考えて決めて生きていかなければならないの?これは「うらやましい」という次元の話ではないでしょう!?
…と思いを巡らすことが続いたある日、自分の中で急に「プツン」と糸が切れる音が聞こえました。
何度話しても伝わらない。真剣に考えてもらえていない。
相手の意見や気持ちがわからない…という状況で、一人で悩み続けていました私は、思い切って夫に

もうこの件に関して あなたが自分の意見を何も言ってくれないなら、離婚を視野に入れます。
…と伝えました。
ここまで言えば、私が真剣に悩んでいることが伝わるだろうと思ったのです。
ところが夫から返ってきたのは予想外の言葉でした。

自分の意見を言うことで相手とぶつかってエネルギーを使うくらいなら、自分が我慢した方がいいと思ってるから。
この言葉で、私の気持ちは急速に落ち、彼から離れて行きました。

それはいつも我慢してるってこと?「君の好きにしていいよ」と言いながら、本当は我慢していることがたくさんあったの?一体どういうこと?この人は腹の中で何を考えているの?
…と考え始めたら、次々に疑問が湧いてきました。

この人は私と一緒にいて幸せなのだろうか?もしからしたら、私が支配しているだけなのではないか?そもそも信頼関係なんて初めからないじゃないの?
何年も一緒にいたのに 私は夫のことを何も分かっていなかったんだな…と衝撃を受けました。
ある日突然みんなの前で離婚を切り出す…KYすぎる言動に唖然!
3月のある日、私の友人を招いて家で食事をしていた時のことです。
夫は突然、私に向かってこう言いました。

もう無理だわ!別れよう。
何の前触れもなく しかも友人を招いている場で突然そんな言葉を口にしたのです。
その場にいた人間はみんな状況が把握できず その場で固まってしまいました。
彼の中でどのような思考の変化があり、その時にその言葉に至ったのかはわかりませんが、その場の状況を振り返ってみても

やっぱりこの人には何かおかしな部分がある。
…と私は確信しました。
私は彼のことが好きで結婚していますから

彼とわかり合いたい。彼の気持ちを知りたい。なぜ私がこんなに訴えているのか悩んでいるのか、怒っているのか知ってほしい。
…という気持ちで彼に向き合っていましたが「自分の気持ちを言って相手とぶつかることはしたくない」が本音なら、これから先も彼の本当の気持ちはわからないままということです。
将来のことを話し合って進めて行きたかっただけなのに、どんどん心が苦しくなり、相手がわからなくなり…。
そんな中で 私が出した最終結論は

そんな相手と一緒に生活し続けていたら 不信感が募るばかりで、うまくやっていけるはずはない。
カサンドラ症候群で離婚する前にカウンセリングを受けるべきだった…
何も事情を知らない周囲の人からは

こんなに素敵な旦那さんいないよ。
…と言われ、まるで私の方に問題があるように受け取られていました。
夫婦の微妙な問題を友人たちには相談することもできなかったので 私の立場や苦しい心理状態を理解してくれる人はいませんでした。
四面楚歌の状態の私は精神的に追い詰められていきましたが、結局は離婚する道を選びました。

分かり合えない相手とやっていくのはこれ以上無理かもしれない。
…と判断したからです。
この数年後にネットの記事でカサンドラ症候群を知りました。
そのときに「もしかしたら」…というか きっと私たちもそういう関係だったのだろうな…と思い当たったのです。

もう少し早く私がカサンドラ症候群のことを知って理解していたら、違う未来が待っていたのかもしれない。
…と思うと 少し苦しい気持ちになりました。

あの頃に心理カウンセリングを受けて専門家に相談していれば、たぶんカサンドラ症候群を指摘されて、双方が歩み寄る方法を模索できたのかもしれない。
…と後悔が残っていますし、そうしていれば離婚しない選択肢を選べていたかもしれません。

アスペルガー配偶者に苦しめられるカサンドラ症候群とは?
カサンドラ症候群とは、家族やパートナーなど生活の身近にいる人がアスペルガー症候群(現在の診断名は自閉症スペクトラム障害、以下ASD)であることが原因で、情緒的な相互関係を築くことが難しく、心的ストレスから不安障害や抑うつ状態、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの心身症状が起きている状態を指す言葉です。正式な疾患名ではありません。カサンドラ症候群以外にも、「カサンドラ情動剥奪障害」「カサンドラ状態」などと表現されることもあります。
ASDやカサンドラ症候群に関する研究が多くある英国の心理療法家マクシーン・アストンによると、カサンドラ症候群には以下3つの要素があるとされています。
1. 少なくともいずれかのパートナーに、ASD特性などによる、共感性や情緒的表現の障害がある
2. パートナーとの関係において情緒的交流の乏しさを起因とした激しい対立関係、精神または身体の虐待、人間関係の満足感の低下がある
3. 精神的もしくは身体的な不調、症状(自己評価の低下、抑うつ状態、罪悪感、不安障害、不眠症、PTSD、体重の増減など)があるさらに、先ほど出てきたカサンドラ症候群の命名者シャピラの定義では、ここに「その事実を他の人に伝えても理解をしてもらえない、信じてもらえないこと」が加わります。
引用元:りたりこ仕事ナビ
