引きこもり脱出のきっかけは大人の発達障害の診断だった体験談
20代女性 これは私の兄(当時30歳)が引きこもりから脱出した時のエピソードです。
兄は大学を卒業しましたが、新卒の正社員採用がもらえず 就職に失敗し、派遣会社を転々としていましたが なかなか職が見つかりませんでした。
どこに行っても仕事がうまくいかない兄が引きこもりになった
兄はバイトや派遣先でいじめに遭うことが多かったようです。「作業が遅すぎる!」と即日解雇されたこともあります。
プールの監視員の仕事をしていた時は同僚にプールに突き落とされる。イベントスタッフの仕事をしていた時は不況でシフトを減らされた上に「もう来なくても良い」と言われ…。
どこに行ってもうまくいかない兄はとうとう職を探す気力がなくなり、家に引きこもり、家族が仕事を探すように促しても逆切れするばかりでした。
兄がどんな仕事についてもうまくいかないのは本人のコミュニケーション能力の不足が原因だと、私たち家族は感じていました。
次第にセルフネグレクトに陥っていった兄
引きこもりになった兄は 自分の部屋からは出てくるものの 家の外にはほとんど出なくなりました。
昼夜逆転の生活を送り お昼頃に起きてきて1階のリビングでテレビを見て過ごす毎日を送っていました。
家族からすると ずっとソファに座ってダラダラしている兄を見ていて腹が立ちました。親が仕事を探すように言ってもまったく聞く耳を持ちません。
昔から兄は家のご飯を食べたがらないおかしなところがあったため、母親がスーパーのお惣菜やお弁当を買ってきて食べさせていました。
兄はこれまでのバイトで得た収入(自分のお金)を使うことはほとんどなく、お腹が空いても自分で食事を買ってきたり、自炊することもありません。
体調を崩して嘔吐や発熱があっても一切病院にも行きません。当時の兄は完全にセルフネグレクトに陥っていました。
心配した母が行政の相談窓口に兄のことを相談したのですが、

本人を連れてきてもらわないと対処できません。
…と一蹴されて終わりました。
大人の発達障害の診断が下りて今までのことが腑に落ちた
兄は度々癇癪を起こして 家庭内で暴れていました。
「眠れない!」と言って暴れだし「睡眠剤をよこせ!」と叫んで壁に物を投げつけ、壁が大きくへこんだこともあります。
そこまで暴れているにもかかわらず 翌朝にそのことについて兄に尋ねると本人はポカンとして「覚えていない」と言うのです。
この出来事から家族は「長男が完全におかしくなった!」と心配し、兄自身も自分がおかしいことを自覚し、ようやく病院に行く決意をしました。
母が兄を精神科病院へ連れて行き受診させたところ、兄に「発達障害」の診断がおりました。
確かに兄には少し変わった面があるな…と 昔から私も感じていましたが、それが発達障害のせいだったとは思いもしませんでした。
その後 両親が行政に掛け合って 兄に障害者手帳を取得させました。そして障害者年金を取得しながら、障害者雇用で働くことを勧められました。
たまたま家の近所に障害者就労をサポートしてくれるところがあり 仕事を紹介してもらえたので、現在 兄はその作業所に就職して働いています。
大人の発達障害とは?何が問題なのか?
発達障害とは、脳の情報処理や制御に偏りが生じ、日常生活に困難をきたす状態のことをいいます。決して心や育て方により起こるものではありません。
発達障害の中でもあえて「大人の」と言われるものは、概ね大学生以上の年齢の人の発達障害のことを言います。その症状は子どもの発達障害と同じですが、症状が軽かったため大人になるまで発達障害とは気付かなかったり、周囲の人に発達障害を特徴や個性の一つと捉えられていたため、日常生活を送る上において特に問題がなかったケースも多いようです。
今まで日常生活に支障がない程度の発達障害を持つ人が、大学などへの進学や就職により異なる環境に置かれた場合、その環境がその人に合わない場合に、もともとの発達障害に加えて、うつ病などの二次的な情緒や行動の問題が起きてしまうことがあります。
引用元:発達障害専門の就労移行支援【atGPジョブトレ】
