事故物件でないゴミ屋敷の汚物消臭のため特殊清掃して原状回復した話
これは2020年8月にごみ屋敷を特殊清掃を使ってなんとか原状回復した話です。
友人(40代男性)は平屋の借家を数個経営する大家です。そこには家賃の安さから生活保護を受けている方も数人住んでいたようで、Aさん(50代男性)もそんな住人の一人でした。
Aさんは妻と離婚後、酒浸りの生活からアルコール依存症となって働くことができず、セルフネグレクトに。そして2年ほど前から生活保護を受けて、友人の借家に入居していました。
「ウンコが散らかってる!」セルフネグレクトによる排泄物まき散らし事件
入居した当初のAさんは何も問題を起こすような人には思えなかったのですが、入居から1年ほどたった頃、同じ借家の住人から大家に苦情が入りました。

Aさんの家の近くにティッシュとウンコが散らかっている。くさくて汚い!
…という耳を疑うようなクレームです。
早速大家が現場に確認しに行くと、確かに干からびてはいるものの ティッシュと人糞のような排泄物が砂利の駐車場にところどころ散らばっていました。
これはとんでもないことだ!と思った大家は早速Aさんの家に行き、

屋外にしている排泄物!なんでこんな所に!?今すぐに片付けて!
…と本人に直接 強く言ったそうです。
しかし、Aさんは覇気のない声で「はい…。」と返事はするものの、反省や謝罪の言葉はなし。
結局排泄物もそのまま放置されており、いつまでたっても片付ける気配もないので、最後は大家が処分しました。
その後も

ウンコが散らかっている!
…という苦情が 何度も繰り返し近隣から寄せられていました。
この事態に我慢できなくなった大家は、Aさんを何とか追い出そうと生活保護課に相談しました。そしてまずは職員と一緒にAさんの生活指導のために借家を訪問したのです。
しかし玄関にAさんは姿を現さず、居留守を使うため 職員から電話でAさんに生活態度の指導をしてもらうことになりました。
職員の注意が功を奏したのか その後しばらくは排泄物事件はありませんでした。
セルフネグレクトのゴミ屋敷がまさかの事故物件!?
それから3週間ほどしたある日、大家の元に生活保護課の職員から電話がありました。

Aさんが何度かけても電話に出ないし、保護費も受け取りに来ていないんですが。

倒れているのかもしれない。
…と咄嗟にそう思った大家は 職員と一緒に合鍵を使って Aさん宅に入りました。
玄関ドアを開けると同時にすさまじい異臭とゴミの山、あちこちに排泄物が散らかり放題になっている惨状が視界に飛び込んできました。大家は一瞬で

うわぁ… こ、これは… うちの借家が事故物件になったんじゃないか!?
…と思いました。
そして必死に異臭を我慢しながら ゴミの山の中にいるであろうAさんを探し回ったところ、ようやくビール缶の山のなかに倒れているAさんを発見しました。
職員が声をかけるとAさんにはまだなんとか意識はあって亡くなってはおらず、すぐに救急車搬送されていきました。

人が亡くならなかったからなんとか事故物件化は免れたものの…これはどう手を付けたらいいのかすらわからないレベルだ…。
室内は悪臭が強く、排泄物とごみが山のように散乱している状態で とても素人が手をつけられる状態ではありませんでした。
賃貸ゴミ屋敷の消臭で特殊清掃!原状回復費用に25万円
大家は生活保護の職員に何度も借家の原状回復をお願いに行きましたが、

この状況を回復するのに特殊清掃業者という事業者がありますよ。
…と紹介されるだけで、結局は何もしてもらえませんでした。
特殊清掃業者は孤独死や自殺等で床や壁に体液などの汚れが付着し 強烈な異臭が発生する際に、原状回復をするための特殊技術を用いた清掃作業を行う事業者です。
「特殊」ゆえに費用はかなり高いのですが 賃貸を原状回復して次の住人を入居させなければならないため背に腹は代えられません。

この悪臭は汚物などによるもので 死臭ではないものの はるかに常軌を逸したレベルのニオイだ。一般的なゴミ屋敷清掃では原状回復は無理なのではないか…
…と判断した大家は、特殊清掃業者を入れてなんとか現状の回復を試みることにしました。
その決断は大正解でした。尋常ではない汚部屋が次の住人が住めるところまで回復できましたが、その代わりに大家が支払った特殊清掃費用はトータルで25万円。

まあ、いい教訓になった…としておこう。
…としぶしぶ納得したような友人の様子に「高い勉強代になって災難だったな…」と傍で見ていた私は思いました。
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