ゴミ屋敷片付けを自力で!ボランティアと地域包括支援センターで決行
これは2020年5月~2020年8月に地域ぐるみでゴミ屋敷化した借家にすむ高齢者の支援をした話です。
ある大家が賃貸している借家に10年ほど前から高齢女性Aさん(80代)が一人暮らししています。
入居したばかりの当初は特に何も問題なく賃貸をしていたのですが、5年ほど前から徐々に家賃の滞納が見られると同時に 室内外にゴミが目立つようになっていき、現在は完全なゴミ屋敷です。
【ゴミ屋敷あるある】トイレが使えず草むらで用を足すゴミ屋敷住人に苦情殺到!
今年に入ってから大家が窓越しから室内をのぞくと、居間や台所、玄関など至る所に衣類や雑誌などが天井近くまで積まれており 足の踏み場もない状態でした。
また屋外にも近所から集めてきた建材やパイプ、ぼろぼろになった戸棚などが無造作に置かれ、細かいゴミが散乱している状態でした。
山積みになったゴミのためにどうやらトイレも使えないようで、最近は近所の草むらでAさんが用を足して 近所からの苦情も出始めていました。
大家としては、再三 Aさんに家を片付けて掃除するように!と注意していましたが、大家の注意も何の効果がなく 時間だけが過ぎ去っていきました。
自分からは動かない行政!最後の頼みの綱は民生委員
このままだと火災の危険性も感じるため なんとかAさんを借家から追い出したかったのですが、Aさんには近くに連絡が取れる子供や親戚などの身寄りもない状況です。
行政に相談しても

私有物の処分には こちらでは手を出すことは出来ません。
…と断られて、大家は最後の頼みの綱として 民生委員に相談したのです。
民生委員や近隣住民に相談したところ、

まずは関係者に声をかけて、火事の危険性の回避と Aさんの生活に支障がないところまで、みんなで力を合わせて片付けよう。
…ということになりました。
ボランティアと地域包括支援センターによるゴミ屋敷片付けを決行
まずは社会福祉協議会を中心に、町内会、民生委員、地域包括支援センターに関係者を集めて会議を開催。
その中でゴミ片付けに必要な人員の数、ゴミを処分場まで運ぶための軽トラックやごみ袋の用意、処分場で支払うゴミの処理料金などの事務処理等、それぞれの役割分担を検討しました。
軽トラックは町内会の役員で当日もボランティアに来る方が貸し出してくれることとなり、大量のゴミ袋は地域包括支援センターが用意してくれることになりました。
ゴミの処分料金だけはなんとかAさんから捻出してもらうことを前提にして社会福祉協議会が本人に掛け合ってくれ、合意を得られました。
さらにゴミ屋敷片付け当日は各関係団体から1~2名の清掃ボランティアを出してもらうことも決まりました。
そしてゴミ屋敷片付けの当日、朝から7名のボランティアが集まってゴミ屋敷の掃除が開始されました。もちろんAさんにも現場に立ち会ってもらい、手伝いをお願いしました。
居間、玄関、トイレにあふれかえっていた雑誌や衣類、腐敗した食料品を次々に仕分けして軽トラックに積み込み、合計で軽トラック8台分のゴミを 半日かけて処分。なんとかゴミ屋敷はだいぶ片付けられて居間とトイレは使用可能なレベルにすることが出来ました。
しかしこの時点では本人の意識はまるで変わっていませんから ゴミ屋敷化が再発する恐れがあります。そのため今後は社会福祉協議会が定期的にAさん宅を訪問して様子を見守ることになりました。
認知症とためこみ行動
高齢者の人口が増えるにつれて認知症も増え続け、2025年には700万人まで増加するといわれています。認知症にはいくつか種類がありますが、そのなかでもアルツハイマー型認知症や、前頭側頭型認知症などにためこみ行動が見られます。
「買った(モノを入手した)ことを忘れる」からだと思われるかもしれませんが、認知症の人の場合は物忘れとは区別されるため、入手したことを忘れるというよりは、所有しているものが頭に入力されていないという表現の方が的確かもしれません。
特徴としては「足りなくなるのではないか」「何かあった時のために」など、モノが手元にない状態や不足する状態を考えて余分にモノを購入するので、結果的にためこんだ状態になりがちです。
また、食料品を購入しても腐ってしまうまで保存し続け、処分しません。
認知機能が低下すれば、分類することも困難になります。それに加えて高齢になればなるほど、人生において多くの喪失体験をしています。そのためモノを手放すことに対して過敏になっていることが影響しているのかもしれません。
引用元:片付けられないのは「ためこみ症」のせいだった!?
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