夫死亡!家は相続したかったが限定承認費用が高すぎて相続放棄した話
これは2020年04月に起きた、夫の突然死と残された多額の借金についてのエピソードです。
私は当時43歳、夫は44歳。会社経営をしていました。
コロナ禍で主人の会社の経営状況は悪化、眠れない日々が続き 夫は精神科にも通うほど悩んでおりました。
そんなある日、洗面所から

ギャー!
…と悲鳴。なんと、主人の頭に円形脱毛症が・・・まあるくツルツルになった部分があるのです。それは本当にショックでした。
何も言わずに多額の借金を残して夫が急逝
そこまで精神的に追い詰められていたにもかかわらず 見栄っ張りの主人は私に仕事の愚痴をもらすこともなく、ただただ「大変だ」と言うだけ。
そのうち、借金取りが自宅まで来るようになりました。
夫に聞くも「大丈夫」というだけ。でももちろん大丈夫ではないことはわかります。
さらに問いただそうとするとキレだして、日に日にいつもの主人ではなくなってきました。
精神科でもらう薬の量がどんどんと増え、

薬のせいで頭がボーっとする。
…と言って昼間は寝てばかり。
起きれば、逃げるように、コロナ禍だというのに飲み屋に出かけてしまい、帰宅すれば泥酔。
私が口出しをすると大声をあげる・・・家庭は最悪でした。
そんなある日「ご主人が緊急搬送されています」と救急からの電話。
私はわけがわからず病院に急行しましたが、主人はそのまま亡くなりました。
多額の借金が発覚!選択肢は相続か 相続放棄か 限定承認か
それからが大変でした。夫の多額の借金が発覚したのです。私に内緒で私名義でも借金をしていました。
会社も経営していましたので、会社の多額の借金も出てきました。
私に秘密にしていたものが、毎日毎日出てくる現実。「悲しい」と感じる以前に 目の前のとんでもない現実に私は呆然と立ち尽くすだけでした。
ここまで問題が大きくなると私一人ではどうにもできず、とりあえず弁護士さんに相談をしました。

選択肢は3つあります。相続するか、相続放棄するか、あるいは限定承認を選ぶか。
相続を選べば借金もプラスの財産もすべて相続する。相続放棄すれば借金も財産もすべて相続しない。
限定承認は借金返済の上限として相続した財産までの借金は支払うが、それ以上の借金があった際は支払わなくて良い。
毎日あちこちから借金が発覚してくる時に、どれだけの借金があるかが把握できませんでした。
当初は自宅には住み続けたい(財産を相続することになる)という希望があったので「限定承認」の方向で進めよう思っていたのですが、限定承認をするにあたっての手続きがかなり煩雑かつ弁護士費用が高額でした。
相続放棄であれば2~3万円といった程度でできるのですが限定承認となると場合によっては30万~100万円単位での費用がかかることもあります。まず相続財産と負債の全体を把握することが必要になりますが、不動産の場合は調査費用として不動産鑑定士に数十万円がかかることもしばしばです。
また、手続き自体が非常に複雑で、個人が自分で行うことはほぼ不可能に近いため専門家への依頼が必要になり、これも相続財産の規模にもよりますが数十万円となっております。
引用元:限定承認は費用が高額になりやすい
これを視野に入れると「限定承認」が認められたとしても 結局はマイナスになってしまうのは確実でした。
結果、借金をかかえたまま現在の家に住み続けることは不可能だと知り、最終的は相続放棄をする選択をすることにしたのでした。
相続放棄にも限定承認にも3か月という期限がある!
限定承認という制度があることは、相続が発生した今回 はじめて知りました。
そのメリットは理解していたものの、借金している相手への対応や相続人全員で行うなど ひとつひとつの処理を細かくしていかなければならない労力は計り知れないと思いました。
身内の突然の死亡は何もなければただただ悲しく、辛いものですが 同時に発生する葬儀の手配から役所関係の処理、周りへの連絡や、SNS等の処理など、本当に沢山の「死後事務」という雑務が出てきます。
それに加えて相続問題はとても難しいもので、私のように多額の借金が存在する場合は 悲しんでいる暇ではありません。
相続放棄にも限定承認にも3か月という期限がありますし、借金取りは(税金取りの役所も)ここぞとばかりに生命保険や香典を狙って返済を求めてきます。
ですが、相手方から言われるままにすぐに返済する必要はありません。落ち着いて弁護士さんや信頼できる人に相談してください。それを狙ってくる人物も現れるので注意が必要です。
怖くなって一度支払ってしまうと相続放棄が出来なくなる場合もありますので気を付けて下さい。
【限定承認は弁護士に相談】借金があっても相続したいものがあるなら…
限定承認とは、例えばマイナスの財産として親の借金が2000万円あるところ、プラスの財産として600万円の建物が相続財産に残っている場合、2000万円の借金のうち600万円の負担のみで、残りの1400万円を弁済せず、相続したい建物を引き継げるといった具合です。
相続には単純承認以外にも相続放棄という方法もありますが、相続放棄をしてしまうと相続人でなかったものとされ、プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継ぐことができなくなるため、守りたい財産がある場合には不向きといえます。
限定承認は、親が多額の借金を残しても相続財産をあきらめずに済む制度ですが、その強力な効果ゆえ、利用には下記のような条件があります。
●相続があったことを知った日から3ヶ月以内に、相続財産について調査して財産目録を作成し、家庭裁判所で限定承認の手続きをしなければならない
●相続人全員で申し立てを行う必要があるさらに、家庭裁判所での手続きは手順が多く複雑であることなどから、法的知識のある方でも手間取ってしまうため、限定承認は実務上ほとんど利用されていないのが現状です。限定承認を利用するのであれば、相続人全員で協力した上で、ほぼ確実に弁護士など専門家への相談が必要になると考えておいてください。
上記引用元:Yahoo!ニュース
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