複雑性PTSDによる人間不信と愛着障害をカウンセリングで癒した話
これは2018年8月~現在、私(当時26歳女性)が兄の家庭内暴力が原因で感情のコントロールができなくなり、複雑性PTSDと診断されたときの話です。
ある日突然 それまで普通に送っていた日常生活がなんとなく億劫になってきました。なぜ億劫になったのか、何ができて何ができないのかが自分でもわからなくなり、急に悲しくなったり、怒りがこみ上げたりして 精神状態の浮き沈みが激しくなってしまいました。
今までにこのような経験がまったくなかったため「自分は病気なんだ」と自覚して 精神科を受診して複雑性PTSDが発覚しました。
家庭内暴力や虐待など、逃れることが困難な状況のなかで日常的にくり返されてぎた出来事によって生じたトラウマは、より複雑な症状を示します。この状態をICD-11では複雑性PTSDと定めています。
複雑性PTSDの診断にはPTSDの診断に加えて、以下に示す症状が深刻であり、かつ持続することが必要となります。
1)感情コントロールが困難となる(感情の調節障害)
2)トラウマ的出来事に関する恥辱・罪悪感・失敗の感情を伴う、自己卑下・挫折・無価値感(ネガティブな自己概念)
3)人間関係を維持すること、および他者との親密さを感じることの難しさ(対人関係の障害)
これらの症状(自己組織化の障害)は、個人的、家族的、社会的、教育的、職業的な領域で深刻な機能不全をもたらします。
引用元:後藤内科医院
複雑性PTSDで解離すると自分のコントロールができなくなって引きこもり…
「変だな」と思っても自分の異変には自分では気づきにくく、私の場合は両親が私の異変に気付きました。自分では自分が精神的な病気であることは信じたくないし、認めたくないため病院を受診することはなるべく避けていました。
しかしそれを放置していたことでだんだんと外に出ることも怖くなり、約1か月は自分の部屋に閉じこもる引きこもり生活をしました。
症状が強く出ているときは我を失っている感覚なので おそらく解離状態にあるのだと思います。それがふと通常の感覚に戻ったとき、自分はこのままどうなってしまうのかわからなくなるのです。
この苦しい生活を一掃したいと思い、両親の勧めで地元の精神科病院を受診しました。
結論から言うと、兄が家庭内で母に暴力をふるうことがあり、大きな物音や足音などが聞こえると自分のコントロールができなくなることが分かりました。
また、実際にそういうことが起きていなくても「もしかしたら…」と想像してしまい、恐怖や怒り、悲しみの感情がどんどん大きくなることが多くなり、生きづらさを感じていました。
複雑性PTSDの人間不信の裏には愛着障害と機能不全家族が隠れていた
精神科での診察は定期的にあり、その時の気分や考えをゆっくりと時間をかけて先生に話しました。話しているうちにいろんな感情が沸き上がり、泣いたり怒ったり、ときに冷静になったりの繰り返しでした。
主治医は市内の総合病院で精神科部長を経験されてその後に開業した先生で、どんなときも優しく冷静に話を聞いてくれるため、

人と話していて気持ちが落ち着くという感覚は、生まれて初めてかもしれない。
…と思うと同時に、今までの自分がいかに人間不信に陥っていたかを認識しました。
また、心の不調からくる睡眠障害や胃腸の不具合がありましたが、こちらのクリニックは内科の診療もしてくれるため、いっしょにそちらのお薬を処方してもらいました。
カウンセリングを何度も重ねるうちに分かってきたのは、

私には「死にたい」という自暴自棄な感情はない。ただ、現状をなんとかしたいけどできないし、母が暴力を振るわれるところを見たくない。平和だった過去に戻りたい。でも過去に戻ることも怖い。
…という葛藤でした。
カウンセリングのほかに心理検査や家族への相談なども対応していただいたため、私の病気に両親も親身になって寄り添ってくれています。先生からは、受診するのは私だけではなく

お母さんやお兄さんもカウンセリングを受ける必要がありますよ。
…と強く言っていただきました。裏に愛着障害や機能不全家族の問題が隠れているからということでした。
合理的な考えによれば、親の愛などなくても適度な栄養と世話さえあれば、人は元気に生きていけるはずだった。だが、そこには致命的な誤算があった。特別な存在との絆である「愛着という仕組み」がうまく働かないと、生存にも種の保存にも重大な支障が生じるのである。
全身傷だらけになりながら自傷や自殺企画を繰り返すのも、稼いだ金の大半を吐くための食品を買うためや 飲み代やホスト通いに費やすのも、物や金の管理ができず捜し物と借金に追われ 混乱した人生に沈むのも、原因のよくわからない慢性の痛みや体の不調に苦しむのも…。そこには共通する原因があった。
その原因とは愛着障害であり、愛着障害とは生存と種の維持に困難を生じ、生きづらさと絶望をもたらし、慢性的に死の危険を増やすという意味で「死に至る病」なのである。
引用元:死に至る病~あなたを蝕む愛着障害の脅威
兄がカウンセリングを受けてから暴力を振るわなくなっていった
私がはじめに通院し始めたときは週に1度の受診でしたが、現在は月に1度の受診となっています。メンタル系の病院の受診は、特に初診はとても勇気がいる行動ですが、いざ行ってみると自分とじっくり向き合うことができるので、精神的にとても楽になります。
また、症状が強い時にどうしたら自分が落ち着くことができるのかもだんだんとわかってくるので、症状が出てくることも恐怖のひとつだったのに、こちらも時間の経過とともに徐々に解消されていきました。
私の場合は初めはセロトニンを投薬して落ち着きを取り戻すという内容でしたが、3年たった現在では投薬はせずに落ち着くことができるようになりました。
メンタルヘルスというのはなかなか初めの一歩を踏み出すことができない方も多いかもしれません。しかし心を病んでいる自覚がある方は自分の心をこれ以上壊さないためにも、早めに受診してほしいと思います。
今では兄も先生の所に通ってカウンセリングを受けるようになり、次第に暴力を振るわなくなってきました。
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