エンディングノートの医療項目の内容と書き方・考え方まとめ
医療の基本項目
既往症
手術歴
かかりつけ医と担当医
かかりつけ薬局
服用中の薬
体質…アレルギー体質と遺伝体質
喫煙
飲酒の習慣デイケア・デイサービス利用歴
訪問看護師・訪問介護士の情報
訪問入浴・訪問リハビリの利用の有無
エンディングノートに直近の顔写真を貼っておく
高齢になると運転免許証を返納したりして、顔写真付きの身分証明書を持っていない人も多いです。
またエンディングノートに写真が貼ってあれば そのノートの持ち主がが一目瞭然です。
写真のところに住所と名前も書いておきます。
本人確認用の写真は遺影写真とは違うので、いつも通りの「本人」とわかるものにします。
顔色の良しあしがわかるように、女性でもできればすっぴんがいいです。
医療のページには必要なデータ(持病・既往症の普段の状況・かかりつけ医・服用薬・保険証番号・血液型・アレルギーその他)を記載します。
医療ページの記載の中で アレルギーに関しては把握せずに治療することは危険を伴うため、特に重要です。
医療情報と簡単な日記を入れる
緊急時に病院に担ぎ込まれたとき、意識がないとか 気分が悪くてしゃべれないことは往々にしてありますから、日ごろの状況も日記的に書き添えておくといいと思います。
何かあった時にもエンディングノートをもっていけば、必要な情報を提示することができることも便利な点です。
医療の情報は手書きではなくコピーしたものを貼り付けるのでもOKです(保険証やかかりつけ医の診察券・おくすり手帳など)
もちろんこれらは常に最新情報に更新しておく必要があります。
自分で意思判断ができなくなった時に誰に決断を託すのか
回復の見込みがない病気や事故以外の場合でも、自分で判断ができなくなったら誰に治療方針の決断を任せるのかを決めておく必要があります。
家族会議でも明確な結論が出ないことがあります。
そんな場合に本人が託す相手を決めておけば、家族の誰の意見を最優先するかが決めやすくなります。
時に命に係わる重大な決断になることもありますので、1人に重荷を負わせるのが心苦しい場合は、2人決めておけばOKです。
告知の希望
病名と余命 両方の告知を希望する
どちらも告知してほしくない
告知については繊細な問題なので、人それぞれ希望が違います。
中には「真実を知りたくない」人もいます。
たとえばガンになった時、病名や余命についての告知を受けるかどうかも、心が決まっているなら書いておきます。
医療用には医療専用のエンディングノートを別に1冊作るのがおすすめ
人によっては既往症で定期的に診察を受けているとか 薬の種類が多かったり時々変わるということもあるかもしれません。
毎日体調の変化があるという人もいるでしょう。
そんな方は医療専用のエンディングノートを別に用意するのがおすすめです。
別に1冊作るといってもわざわざ市販のエンディングノートを買う必要はなく、普通の大学ノートで十分です。
大学ノートなら日記的に気軽に体調について記入できますし、更新するのも簡単です。
一人暮らしの方などは、この「医療専用エンディングノート」を玄関の下駄箱の上など、人目に付きやすい場所に置いておくのがいいです。
・・・などとノートの表紙に大きく書いておけば、緊急時にも見つけてもらいやすくなります。
置き場所はどこでもいいのですが、できるだけ第三者に見つけてもらえる場所がいいです。
医療用ノートは人に見てもらうためのものですから。


エンディングノートの延命治療・尊厳死の希望の書き方
内容を理解していない項目にはチェックを入れないこと
延命治療の場合
回復が見込めない終末期の患者に、延命を目的で施す医療行為を延命治療と言います。
人工栄養…点滴・胃ろう・経鼻胃管栄養など
心肺蘇生…心臓マッサージ・電気ショックなど
昇圧剤投与
こういった機材を使うのなら一目で「延命治療だ」とわかりやすいですが、そうではないこともあります。
つまり病状の悪化状況や経過によっては 標準的な治療が結果的に延命治療に移行するケースもあるということです。
さらに「いつからが終末期になるのか?」についても明確な定義はないのも問題です。
「どこまでが救命でどこからが延命か」のボーダーラインも難しいのが現状です。
医療はケースバイケースが多いですから「よくわからなくて迷う」「どうしたらいいか正直わからない」と思う人は 安易に「延命治療を望む」にチェックしない方がいいと思います。
ここはしっかり考えてから決断しましょう。
尊厳死の場合
あなたは「尊厳死」の意味を理解していますか。
尊厳死とは 不治の疾病または末期状態になった時に 自分の意思で 死を引き延ばすだけの延命治療をやめてもらい、人間としての尊厳を保ちながら死を迎えることです。
植物状態になって回復しないことがわかっている時に治療を中止することも尊厳死です。
医療現場で優先される本人の意思を表明するための尊厳死宣言書(リビングウィル)を用意している人もたくさんいます。

こういう状況になったら自分はどうしたらいいのかわからない…と迷っている場合は やはり「延命治療の希望」と同じように 安易にチェックを入れない方がいいでしょう。
医療の項目ページには必ず記入した日付を入れる
延命治療についての考え方は自分の持病や体調、医学の進歩、家族との関係などによっても変わってきます。
しかも人の心は移ろいやすいもの。
時間の経過とともに考えが変わることもありますから、延命治療の希望には必ず日付を入れましょう。
「希望する」「希望しない」のチェックだけでなく その理由も書き添える
延命治療の選択を迫られた家族の苦悩は想像以上のものです。
家族にしてみたら「1日でも長く生きていてほしい」と願っていますから、仮にエンディングノートの延命治療の欄の「延命治療は望まない」にチェックが入っていたとしても、家族はそう簡単には即断できません。
長い闘病生活の末に力尽きたのであればあきらめもつきやすいですが、急に倒れて容態が悪化して 家族が最後の決断を迫られる時などは なおさら返答に苦しみます。
もしエンディングノートに「家族の判断に任せる」とあったなら、延命措置が取られる可能性は高いと思います。
それに医療現場では最後まで延命措置を施すのが当たり前なので、最後の最後までできることを全てやるでしょう。
そこで しっかりと自分の希望を表明しておく必要があります。
家族の苦悩を少しでも和らげるためにも 「延命措置を望まない」場合は エンディングノートに書き添えておいた方がよいことがあります。
ノートの余白に「延命治療を望まない理由」を あえて書いておくのです。
■意識のない状態で寝たきりにはなりたくない。
■チューブや機械を付けられるまでして生き永らえるのは嫌だ。
■延命措置は望まない。尊厳死を希望する。
■経済的負担が心配だから延命治療は必要ない。
本人の希望と覚悟を家族が知ることができれば、彼らの決断の苦悩を減らせるかもしれません。

エンディングノートの臓器提供の希望の書き方
臓器提供できる年齢は、めやすとして心臓は50歳以下、肺と腎臓は70歳以下、膵臓と小腸は60歳以下が望ましいとされています。
角膜(眼球)には年齢制限がありません。
日本臓器移植ネットワークでは 臓器提供について規定の5つの方法で意思表示することを提唱しています。
引用元:日本臓器移植ネットワーク
②意思表示カード
③健康保険証
④運転免許証
⑤マイナンバーカード
これらのしっかりとした意思表示方法があるので、エンディングノートにのみ臓器提供の希望を書き記すだけでは 明確な意思表示として扱われない可能性があります。
意思表示カードには本人の署名以外に家族の署名も必要となっており、家族の同意がなければ臓器提供できません。
しかし2010年の法改正により 本人の意思がなくても家族の同意が得られれば 臓器提供行えることになっています。
つまり「私は臓器提供をしません!」と明確に意思表示をしなければ、死後に臓器提供することになる可能性があるということです。
絶対に臓器提供はイヤだ!という人は必ずその意思表示をしておきましょう。
臓器提供を希望する場合はいずれかの方法で意思表示をしたうえでエンディングノートに書き込み、その旨を家族に知らせておく必要があります。
臓器提供後は 一般的な手術と同様に摘出手術の傷跡は縫合され ガーゼが当てられてご遺体が戻ってきます。
ガーゼなどの詰め物はしないということですが、見た目はほとんど変わりません。
ご遺体はすぐに遺族のもとに戻ってきますので、普通に葬儀を行うことができます。
エンディングノートの献体・献眼の希望の書き方
献体とは人体解剖学の研究のために遺体を提供することです。
献体するには居住地付近の医科・歯科大学や、献体を受け付けている専門機関に献体登録しておく必要があります。
登録には家族(親・配偶者・子・兄弟姉妹)の同意が必要です。
献眼は「アイバンク」への登録が必要になります。
これにも家族の同意が必要です。
献体するとお葬式ができなくて家族に迷惑がかかるのでは!?と思いがちですが、お通夜や告別式はできます。
ただ、引き取り前に葬儀ができなかった場合には 遺体がない状態での葬儀となります。
献体するためには エンディングノートに書いておくだけではだめですが、献体登録しているならば ノートには亡くなった時の連絡先や献体先、手続きに関する資料のありかなどを家族にわかるように記載しておきましょう。
献体と臓器提供、両方とも希望することはできます。
しかし実際にはどちらか一方しか行われない可能性が高いです。
これは地域によりケースバイケースで、対応する機関もあるようです。
献体登録の際に詳細を尋ねてみてください。
献体は火葬にされる直前のタイミングで献体先に搬送され、搬送費と火葬代は大学側が負担します。
献体先で1~3年以上保存されることがあり、いつ遺骨が戻ってくるかわからない場合がありますので、そのことも家族にはきちんと伝えておくべきです。
以前は献体する人は少数派でしたが、最近は希望者が増えて、逆にお断りされることもあります。
また遺骨の引き取り手が現れないため、大学の納骨堂に合祀することもあるそうです。