【デジタル遺品の整理方法】生前整理しておけば遺品整理で困らない!
デジタル遺品とは?
デジタル遺品とは、デジタル形態の遺品、そのまんまです。
パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器はもちろん、その中に保存されているアプリ、写真、メール、アドレス、インターネット上に存在するSNSなどもデジタル遺品です。
現代は有形・無形のデジタル遺品がごく日常に身近に存在します。
誰もが普通に使っているものですから、よほど意識しない限り「遺産」として考えることはないかもしれません。目に見えない無形のデータだけのものなど なおさらです。
パソコンやスマホは物理的に存在しますが、遺族が中身を確認するためにはパスワードを入れて起動する必要がありますから、これもデジタル遺品に該当するとされています。

デジタル遺産の項目…PCソフト「はじめてのエンディングノート2」の中の1ページ

デジタル遺品も「遺品」のひとつであり、それほど特別視するほどのものではありませんが、少々デリケートで 取り扱いに難があります。
デジタルデータは物質と違い、基本的に時間が経過しても劣化しません。しかもコピーも簡単。削除も簡単。
ですがパソコンを手放すときなどは専門業者に手数料を払って処分してもらわないと、個人情報の流出などの心配や怖さがありますよね。
さらにインターネットが絡んでいることから、セキュリティについてもしっかりとした配慮が必要な点が、デジタル遺産ならではの難しさでしょう。
デジタル遺品のパスワード解除に四苦八苦!というあるあるな話
家族が亡くなり、遺族がロックされたスマートフォンを前に四苦八苦…はよくある話です。
持ち主が設定したパスワードを入れなければスマホは開きません。
最近のデジタル遺品についての相談の8割以上が「スマホのロックが解除できない」です。
パソコンは所有していない人も結構いますが、スマホはほとんどの人が持っていますよね。そうなると、故人のデジタル遺品を調べるにはスマホだけが頼りということも多々あります。
それなのにスマホが開けないとなると…。
どうしてもロックが解除されないケースは現代でもかなり多いということです。スマートフォンはある意味、金庫などより強固かもですね。
とはいえ 最近は「デジタル遺品サービス」というものもあり、データ復旧会社などでスマホの解除などを請け負っています。そこでは様々な角度からアプローチしてロックを解除できるケースもあるようです。
が!プロでも確実にロック解除ができるとは限りません。機種によってはプロでもかなり難しかったり、どうにもできないケースもあります。やはりスマートフォンはなかなか手ごわくて 厳しい現実があります。
スマホのロック解除キーがわからないと誕生日とか電話番号とか身近なナンバーで とりあえずトライしてみようと思いますよね。ですがこれはキャッシュカードなどと同じように、何回も続けて間違えるとロックされてしまいます。
大体5回くらい連続の入力ミスで「●分後に再度お試しください」と案内が出てきますが、実はその裏側ではセキュリティレベルが上がるという、厄介なことが起こっているそうです。そうなるとプロでも手に負えなくなることがあるとか…。
どうにも釈然としない場合は ロック解除にトライするのを1~2回程度でやめてみるのがいいです。バックアップを見つけ出して対策してみるなど その他の方法を模索するのもいいですが、素人には太刀打ちがつかないことが多いです。
デジタル遺品解析のプロに相談する方が、こじらせることが少なくなるのでおすすめです。
ちなみにスマホのロック解除費用は 成功報酬で20~50万円もかかることがザラだとか(汗)
デジタル遺品整理はどうしたら?遺品整理のストレスは生前整理で減らせる!
2021年現在、デジタル遺品に対する認識は少しずつ深まりつつあるものの、困った時に何をどうしたらいいのか、どこに相談したらいいのかがはっきりしていません。
キャリアもメーカーも売るだけ。当然のことながら 個人情報が詰まった中身はアンタッチャブルですよね。現時点ではこのあたりのガイドラインの整備が待たれるところです。
ということは、家族が困らないためには、個人個人がデジタル遺品の処分や死後の取り扱いをあらかじめ決めておくしかありません。すなわち それは「終活」です。
デジタル終活を念頭に入れておかないと、自分の死後に遺産整理ができずに 家族が大変な思いをするかもしれません。
遺族に苦労させないデジタルの「遺品整理」は 本人の生前整理にかかっています。
また、デジタル遺品の中には 人に見られたくないもの、死後も隠しておきたいものがあります。
単にネットの閲覧履歴を残したくないのであれば、特定のサイトを開くときだけにブラウザのシークレットモードを利用すれば、ほかの人にはわかりません。
ちなみにシークレットモードはGoogle Chromeなら Cntl+shift+n で起動します。
ですが「隠したいもの」は、おそらくそんな単純なものではないですよね(笑)
それには違う端末を利用してがっつりロックしておくとか、家族にわからないようなクラウド上に保管して知られないようにするとかの工夫が必要です。
デジタル遺品の整理方法!生前整理のやり方は?
デジタル遺品を洗い出し、デジタル遺産の一覧表を作る
デジタル遺品の生前整理でまずはじめにやるべきは、自分のデジタル遺産をかき集めて、一覧表にまとめることです。
デジタル遺産はスマホやパソコン、デジタルデータだけでなく、ネット銀行やネット証券会社の金融資産も含みます。
金融資産・・・インターネットバンク、ネット証券会社、オンライン保険、仮想通貨など
支払い関連・・・サブスク、定額契約サービスなど
デジタルデータ・・・アドレス帳、SNSアカウント、メール、写真、ブログなど
秘密のもの・・・人に見られたら恥ずかしいもの、死後もずっと隠しておきたいもの

デジタルデータでも、買い切り型で追加料金が発生しないものは、自分が必要と考えないならば ここではスルーして大丈夫でしょう。
SNSやブログもデジタル遺品!すべて把握&記録しておくのが理想的
故人の金融機関口座は凍結されますが、SNSやブログなどは人の生死に連動はしていません。放置されればそのままインターネットの海の中を漂ったままになります。
遺族が故人のアカウントの存在を知っていて 故人のログイン設定のままでアカウントを開くことは、厳密には法に抵触する可能性があります(不正アクセス法)
家族がログインして訃報を知らせることはごく普通に行われていますが、運営がそこにNGを出したという話も聞いたことがありませんので、おそらく「遺族ならば」ということで黙認なのかもですね。
フェイスブックは故人のアカウントを「追悼アカウント」に切り替えるシステムが整えられています。
私が死んだ場合、Facebookアカウントはどうなりますか。
追悼アカウント管理人を指名して追悼アカウントの管理を任せるか、Facebookからアカウントを完全に削除するかのいずれかをあらかじめ選んでおくことができます。アカウントを完全に削除しないことにした場合は、亡くなられたことをFacebookが認識した時点で、自動的に追悼アカウントに移行されます。ご自分が亡くなったときにアカウントを削除する
ご自分が亡くなったときにアカウントを完全に削除するという選択もできます。この場合、あなたが亡くなったことを誰かがFacebookに知らせると、あなたのメッセージ、写真、投稿、コメント、情報が直ちにFacebookから完全に削除されることになります。
引用元:facebook
SNSやブログなどの取り扱いもなかなかビミョーな問題だと思います。なぜなら故人のアカウントが乗っ取られて悪用されるケースが後を絶たないからです。
故人のページの情報を何らかの形で盗み出し、故人の友人が詐欺に遭った…という話もありますし。まあ、生きているうちからアカウントを乗っ取られたという話も多いですが。
今さらですが、ネットは危険がいっぱいなので 利用する場合は要注意です。
家族や友人をトラブルに巻き込まないためにも、SNSやブログなどのアカウント情報は遺族にわかるようにしておいた方がいいでしょう。

【情報共有】エンディングノートにデジタル遺品情報を残しておく
パソコンやスマートフォンが開示できなければ、故人以外はデジタル遺産にたどり着けません。それでは遺族が困るので、エンディングノートを使った終活が必要となります。
もっとも大切なのが ロック解除キー(パスワード)です。これがなけれぱ始まりません。
パスワードはもちろんのこと、 デジタル機器に保存してあるデータファイルもその存在が家族にわかるように わかりやすい場所に保存したり、エンディングノートにメモしておく方がいいでしょう。
デジタル資産(金融資産)はエンディングノートの「財産」の欄に記載してもOKです。お金なので、そちらにまとめた方がわかりやすいかもしれません。
家族に託したい情報は、パソコンやスマートフォンのトップ画面にアイコンをわかりやすく表示させておかないと 見つけてもらえない可能性もあります。
家族がデジタル機器の取り扱いに明るい人たちであれば 簡単な必要事項だけ残しておくことで対応できますが、もしスキルや知識がない場合は 「手順」なども含めて できるだけ詳しく情報を残した方がいいでしょう。
エンディングノートを作る場合、スマホアプリよりも「紙」のノートやファイルなどに情報をまとめておく方が望ましいです。
そしてそれは金庫に入れて保管するなど、セキュリティ面での十分な配慮が必要であることは言うまでもありません。
デジタル遺品情報には有効期限があることを心得ておくべし
エンディングノートにデジタル遺品情報をしっかり登録したとしても、それがずっと先まで有効であるはずはありません。
スマートフォンなどは数年で機種変するのが普通ですし、パソコンも性能やサービスが年々進化を続けています。デジタルデータは劣化しませんが、その要れものであるハードディスクなどは数年で故障します。
つまりデジタル遺品の変容は想像以上に速く、その有効期限は意外に短いということです。
ですから、デジタル遺品に関するエンディングノートは、定期的に見直し、書き換えるメンテナンスが必要となります。
定期的といっても忘れてしまうんですよねぇ、これが(汗) でもぐずぐずしていて更新しそびれると 最悪の場合「明日やろうはバカ野郎」的な結果になりかねません。

毎年誕生日にエンディングノートの確認とアップデートをする!
・・・など、エンディングノートの更新についての自分ルールを決めておくことも大切です。
【エンディングノートの盲点】ノート(紙)の劣化には要注意
終活ノートがデジタルエンディングノートならばデータの更新と保存だけで済みますが、注意が必要なのは「紙」の場合です。
紙は意外と劣化が早いのです。1年や2年では劣化はしませんが、保存状態や種類、品質により 保存期間は大きく変わります。
また、筆記用具やインクによっては文字が薄くなって読めなくなってくることもあります。
今は「人生100年時代」ですから エンディングノートも長期保存になる可能性が高いです。
ですから紙のエンディングノートはこの点を過信せず、常に保存状態に注意を払うようにしたいものです。
エンディングノートを始める年齢にもよりますが、ノートの保存期間が長くなると予想される若い人は 長期保存に適した紙質のノート・ペン・コピー用紙を使うのがいいでしょう。
酸性紙は長持ちしない。化学パルプ100%の上質紙でも20年程度で劣化してしまう。ではその対策は?ということで開発されたのが中性紙。中性紙のコピー用紙は100年持つというわけです。
引用元:紙の知識と雑学
従来の一般的な「紙」は酸性洋紙です。保存状態にもよりますが、酸性洋紙は長期保存には耐えられません。これは公的文書の保存において1980年ころから社会問題となっています。
エンディングノートを手書きで残す場合は 少しお高くつきますが 劣化に対抗するための必要経費と思い、紙とペンにこだわってみることも大切です。


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