デイサービスに行きたがらない高齢者を行かせる・行く気にさせる方法
これは私が知り合いのケアマネから聞いた話です。
ある方が一人暮らしの母親をデイサービスに通わせたいと考えました。
その母親は遠く離れて暮らしているので様子を見に行くこともままならず、誰とも会わない、誰とも口をきくことなく一日が過ぎていく毎日です。
デイサービスに通ってもらえれば母親にとって肉体的にも精神的にも良い刺激になると思ったのですが、本人は通所を断固拒否。
そこで地域包括支援センターの職員と相談した結果、定期的な見守りを兼ねて 生活援助でホームヘルパーを依頼することにしました。
ヘルパーは一緒に台所に立って調理を手伝ったり、おしゃべりをしたりして 次第に母親と仲良くなっていきました。
ヘルパーは利用者家族の「母親をデイサービスに通わせたい」希望を聞いていたので 折りにふれてデイサービスの楽しさを伝える話をするようにしていたそうです。
そして1年くらい過ぎたころに
…と言って、自分からデイサービスを利用することを決めました。この方は現在もデイサービスに楽しく通っているとのことです。
誰でも知らないところに入っていくことは緊張しますし、躊躇もします。ですが信頼している人から
…と言われれば
…という気持ちになりやすいです。
どうしてもデイサービスは無理!という場合は、こんな風にヘルパーさんの力(助言)をうまく利用する方法もあります。
…というように指図や強制されている感が強いと、誰しもがそこに抵抗感を感じてしまいますが、仲良くしているとか信頼を寄せている人の助言があれば 素直に受け入れられます。
高齢者自身が自ら「行ってみよう」という気持ちに自然になれることが多く、うまくいきやすいです。
余談ですが、私が住んでいる地域では、デイサービスのお試し(1日体験)は ほとんどが無料で受けられます。
近隣の人気のある事業所を5か所調べてみたところ、デイサービスの1日体験を無料で受けられるところは4か所ありました。1か所だけ 昼食代のみを600円程度徴収させてもらうということでした。
昼食代も無料でお試し体験を受けられるのであれば なおさらハードルは低いですし、とりあえず1回くらいはデイサービスのお試し体験を受けてみるのも悪くないと思います。
料金については地域によりさまざまですので、最寄りの地域包括支援センターに問合せしてみてください。
介護保険のヘルパーは家政婦ではない!何でもやってくれるわけではない
介護保険のホームヘルパーによる助言でデイサービスに行きたがらない高齢者を行かせることに成功した事例を紹介してきましたが、ここで一つお断りしておかなければいけないことがあります。
それは介護保険のヘルパーをいわゆる「家政婦」や「便利屋」のような存在だと思っている方が多いですが、これは間違いだということ。
ホームヘルパーは利用者さん以外のためのサービスはできませんので、一般的な家政婦のように何でもやってくれるわけではない点を押さえておいてください。
介護保険のヘルパーは 利用者さんのための調理はしますが、家族の分の調理はしません。
また、庭の草むしりして。植木の手入れをして。ペットの世話をして。大掃除を手伝って・・・なども、日常生活の援助ではないとされているためNGです。
家の中の掃除の場合、ヘルパーは利用者さんの居住空間の掃除はしますが、家の中全体を掃除するわけではありません。
また掃除といっても 掃除機かけと床ふき程度の簡易な掃除しかしません。例えばガラスふきやワックスがけなどはやらないことになっています。
「利用者さんへの援助」以外の私的な(=同居する家族にも関わる)生活援助については 介護保険のケアプランには含まれませんから、どんなにヘルパーに頼んでも 原則としてやってもらえません。
介護保険のヘルパーだけでは足りない部分は 民間サービスを検討してみるのがいいでしょう。介護保険外のホームヘルプである「家事代行サービス」ならば ほとんどのリクエストに対応できます。
ヘルパーにできることは少なすぎる!混合介護で家族の負担を減らそう
介護保険給付上では融通が利かないことでも 自費負担で利用できる家事代行サービスならば 利用者さんがやってもらえることの自由度が広がります。
介護保険外のホームヘルプサービスの多くはNPO法人や民間企業などが提供しており、保険適用外となる人も対象にした家事支援です。
また、介護保険を使わずに自費で家事代行サービスを利用するのであれば、利用回数に制限ははありません。
介護保険では事業所によってサービス対応できる時間帯が異なり、365日24時間対応ということはほとんどありませんし、中には土日祝日には利用できない事業所もあります。この点は事前に確認しておくことが必要ですが、民間業者の方が希望時間の融通が利く場合が多々あります。
一方で、家事代行サービスでは「身体介護」を受けられない場合が多いです。※事業所によりサービス内容は異なります。
医療行為までは行えないものの、身体介護については ホームヘルパーや介護職員初任者研修などの資格を持つプロの領域です。
ただ「見守り」などのサービスが付与する場合は、入浴やトイレの介助まではやってくれる家事代行サービスも一部ありますので、あらかじめサービス会社に問い合わせてみてください。
介護はたいへんな大仕事です!介護保険の給付サービスだけではどうしても足りない部分がでてきます。
そういった部分を埋めるためには 介護保険のホームヘルプに介護保険外の家事代行サービスなどを組み合わせる混合介護をおすすめします。
