病院跡地の活用にアパート経営を選んだオーナーの話
これは2015年4月に営業停止した病院の跡地を土地活用した話です。
私がアパート建築の営業で外回りをしていた時に、元々病院だったと思われるが 明らかに今は使われていないであろう建物を見つけました。
法務局にて建物謄本と土地謄本を取得して所有者を確認し、自宅の電話番号を調べて電話をするも 誰も出ません。思い切って直接ご自宅を訪問するも、応答はなし。仕方なくポストに名刺を入れて帰りました。
廃病院をどうしたらいいかわからず放置していたオーナー
その後もご自宅を何度か訪問していたところ、ある日ご子息の方がインターホンにて出てくれました。
土地の名義人(80代)はデイサービスを利用していてあまり家にはおらず、ご子息(40代)の方も忙しいとのことで なかなかお時間を頂く事ができませんでした。
しかし病院は10年近く前に閉鎖(近所の方からの情報)しており、拝見するに 建物の老朽化がかなり進んでいました。
その維持・保管については何か思う所があるのでは?…と思い

土地・建物の今後について迷っていたり悩んでおられるならば、是非お力添えをしたいのです。
…という旨の手紙を投函しました。
すると同封した名刺に書いてあった私の携帯電話に ご子息の方から手紙を読んで電話をしてくれました。

あの病院は実際にはどうしたらいいかずっと悩んでいました。以前にも別の不動産会社の人からもアプローチはあり その時は忙しく対応が出来なかったのですが、今回はきちんと時間を作って向き合いたい。どうすべきか考え、何をすべきか、アドバイスを頂きたい。
と仰って頂き、後日忙しい合間を縫ってお時間を頂戴し、初めてご自宅にてお話をする事が出来ました。
廃墟にホームレスが侵入し孤独死していた事例も…
病院を経営していた名義人(父親)は既に引退しており、病院を引き継ぐ人が誰もいなかったために閉鎖をしており 再開の予定はありませんでした。

建物が自宅から離れていたために 定期的な手入れをしに行くこともできず 老朽化が進んでしまった。あれでは近所迷惑にもなりかねない等の不安もあったのですが どうすべきかが分からずに10年程経ってしまっていた。
近所では廃屋化しつつある病院の建物にホームレースが侵入し、そのままその空き家で孤独死していた事件もあったそうです。
病院跡地のオーナーがアパート経営を決意
こちらからの提案としては 売却 解体後に駐車場経営 解体後アパート経営…の3つを挙げましたが、

資産売却の考えはないです。できれば土地を残したい。
…ということでしたので 賃貸需要の強いエリアということもあって アパート経営での提案をしました。
銀行融資に不安はありましたが、

固定資産税を払い続けていくよりも 幾分か毎月収入が入るならば…
…ということで名義人・ご子息共にご納得いただいて アパート経営を決意されました。
建築費、解体や諸手続き含め約1億円。銀行への毎月の返済は約30万円程で 毎月の手取りが30万円前後となりました。
管理も運営も業者にて行うため、煩わしさも何もなく、名義人・ご子息共に大変満足していただくことが出来ました。
あの時手紙を綴っていなかったら、どこかの不動産会社と同じように 何も進展しなかったのではと思うと、気持ちを込めた手紙を書いてよかったなと思いました。

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