アニマルホーダーは精神疾患!動物ためこみ症を目撃した人の体験談
多頭飼育がもたらす3つの影響
本ガイドラインでは、多頭飼育問題を、多数の動物を飼育しているなかで、適切な飼育管
理ができないことにより、下記の3つの影響のいずれか、もしくは複数の問題が生じている
状況と定義しました。
①飼い主の生活状況の悪化 ②動物の状態の悪化 ③周辺の生活環境の悪化
引用元:環境省
①飼い主の生活状況の悪化
生活環境の汚染、経済状況のひっ迫、近隣住民との関係悪化などが挙げられます。
飼い主とその同居人が不衛生な環境に身を置き続けることで、真菌による感染症(皮膚糸状菌症、犬ブルセラ症など)により健康が損なわれることもあります。
②動物の状態の悪化
動物愛護管理法第 44 条に規定される動物の虐待、つまりネグレクトが原因の栄養不良や疾病や死亡に該当する場合もあります。
③周辺の生活環境の悪化
悪臭、騒音、衛生動物(ネズミ、ダニなど)の発生、感染症の蔓延、咬傷事故の恐れなど。
不適切な多頭飼育の原因とは?
環境省のアンケート結果によると 多頭飼育で問題を起こす飼い主は精神的・身体的・経済的な問題を抱えていることが多く、一部の飼い主に知的障害、精神障害、認知症が疑われたということです。
動物ためこみ症(アニマルホーダー)とは?
アメリカ精神医学会は、ホーディングを「他の人からは価値がないと思われるモノを過剰にためこみ、その所有したモノを捨てたり、手放したりするのが持続的に困難であり、その結果、生活や仕事のスペースがモノで溢れてしまう状態になること」と定義しています。このように過剰にモノをためこむ人をホーダーと呼び、特に動物をためこむ人がアニマルホーダーと称されます。
アニマルホーダーには、大量の動物をためこんでいる、動物に対し最低限の栄養、衛生、獣医学的ケアを提供できない、動物が悪化した状態(感染症、飢餓、または死亡を含む)や環境の悪化(過密状態や極めて不衛生な状態)に対処できない、動物の収集により自分自身や家族の健康状態や満足できる生活状況に及ぼす悪影響に対処できないといった特徴が見られます。
これまで、アニマルホーダーは女性が多く、独居老人で、社会的にも経済的にも脆弱な立場にいる人である、という固定観念がありましたが、性別、年齢、配偶者の有無、専門性のある職業に就いているかどうか等に関係なく誰にでも起きる症状であるという最近の研究結果もあります。そのため事例により対応は様々で、セラピーが中心となるものから動物虐待に対する訴追までと多岐にわたります。
引用元:環境省
ためこみ症は、2013年のアメリカ精神医学会の診断基準「DSM-5」で病気の一つとして新たに加わりました。ひとことで言えばその名の通り、大量にモノをため込む精神疾患です。脳の特定の部位が特有の働き方をする生物学的側面だけでなく、心理面と社会面も影響し合っている複雑な状態です。以前は強迫症の症状のひとつとして考えられていましたが、強迫症の人すべてにみられる症状ではないこと、また強迫症でない人にもみられることから、単独の精神疾患として位置づけられました。
動物ためこみ症はためこみ症の対象が動物の場合です。飼い主は当初は動物に必要な餌や衛生状態、温かな触れ合いを提供していたのかもしれません。しかしその状態が増えていく動物たちにとって健康的でない状況、つまり適切な栄養が与えられず、不衛生で獣医学的な対応もされないまま、多くの動物が飼われているとしたら、動物ためこみ症である可能性が高くなります。
動物ためこみ症の場合、そこで生活を送る人は生活環境や衛生状態が良くないことについて否定します。ためこまれている動物は猫が多いのですが、現在日本でどれくらいの人が動物ためこみ症であるか、その全体像はわかっていません。
引用元:片付けられないのは「ためこみ症」のせいだった!?

【英雄気取り系ネグレクト】世話が十分ではないのに「動物を救ってあげている」つもりの飼い主
30代女性 私の職場の先輩(40代男性)は間違いなく「動物ためこみ症」です。先輩の自宅には雑種の猫が30頭近くいます。1人暮らしで借家の一軒家に住んでいて、6畳の部屋が4部屋とリビングがありますが、それぞれに猫が5~6頭ずつ飼われています。
元々そこまで多くなかったみたいですが、私が職場に入ってからも近所の野良猫を数匹保護をしたりして、どんどん数が増えていったようです。
その保護した野良猫たちにも適切な避妊、去勢手術を行わず、自然交配して子猫が産まれてしまい、現在の大所帯になってしまいました。一応本人は 子猫がこれ以上増えてしまわないように、雄猫と雌猫で部屋を分けたりして配慮しているようです。
頭数があまりにも多いため 避妊・去勢手術はもちろんのこと、ワクチン接種も金額的に難しいので受けさせていません。そのため、新たに引き入れた野良猫病気を持っていたために、他の先住猫たちに病気(伝染性腹膜炎)がうつってしまい、何匹も死んでいくのを見てしまいました。
私にも飼い猫がいるので非常にその状況を見るのが辛く、そのたびにワクチン接種の必要性を訴えてみているものの

ワクチン接種をして亡くなる猫もいる。免疫力を普段から上げていれば大丈夫。
…と言うだけで、現在も劣悪な環境で飼われています。
30匹のうちの10匹近くは猫エイズに罹患してしまっていて、すでに発症して見ていられないくらい弱ってしまっている猫もいます。しかし先輩本人は動物病院にも連れていっておりません。本人は『私は殺処分になる猫たちを救っている』と思って込んでいるヒーロー気取りだと思います。
50代女性 友人がホーダー(アニマルホーダー)だと思います。犬(特定の犬種2種)で重い疾患を抱える子、不幸な境遇にいた子を好んで里親に立候補し、自分のキャパを超えて抱え込み、多い時で8頭いました。
自身も療養中の健康状態なので不幸を合わせ鏡にしたのかもわかりませんが、目が見えない子、耳が聞こえない子、生涯投薬管理の必要な子、売り物にならないミスカラーで殺処分寸前で引き取った子たちの日常をブログで公開していました。個人的に付き合いのあった私には しょっちゅうメールやLINEで「聞くに堪えない」近況報告をしてきました。
きちんと通院させ必要な治療は受けさせているとはいっても【自分が入院している間に家で死んでいた】【仕事の間に死んでいた】 見るに耐えない【苦しんでいる姿】【血まみれの姿】【亡骸】…などの詳細の報告ばかり。そんな惨状を聞くことも見ることも望んでいないこちらは困惑するばかり。たいへん迷惑でした。
【愛着障害系ネグレクト】心のすきまを動物で満たそうとする飼い主
30代女性 知人の元小学教師が動物溜め込み症です。彼女は若い頃は犬猫などの愛玩動物にはかなりのヘイトを持っていましたが、自分の子供が巣立ってしまい、その後ほぼ絶縁する形になった時に 何か愛情を込められるものを…と猫を飼い始めました。
猫たちを多頭飼いすることで 一時的に行き場のなくなった愛情や自分の感情のやり場に目を向けられるようになりましたが、そもそも猫に対して全く関心がなかったので、世話がいい加減です。
猫たちに餌や水をあげ、トイレをたまーに掃除する…というようなやる気のない世話の仕方だったので、あっという間に猫は繁殖しました。
一度彼女の家に入れてもらったことがあったのですが、目を覆いたくなるような惨状でした。壁紙や家具が全てボロボロになっており、猫の糞便の匂いで吐きそうになりました。
猫たちはどの猫も身体が満遍なく汚れており ベタベタした見た目で、ガリガリの子や目脂を溜め込んだ子、耳が齧られて欠けてしまった子などがいて、地獄絵図とはこういうものか…と思うような情景でした。
30代女性 現在、父、私、兄が住む家で、猫を二匹飼育しています。父が年金暮らしとなり、私も兄も収入が不安定で勤務時間が不規則な中、猫たちを病院に連れて行くこともままならない状況で、飼っている猫のうち、一匹は避妊手術すらできていません。連れて行こうとしても父と兄に拒否され、お金を出してくれません。
しかし兄は 猫を確保しようとして逃げられても「もっと飼いたい」「家に来る野良を確保しろ」と言い続けています。餌やりの管理が雑で 虫が湧いていることもあります。
兄は元よりおかしなこだわりが強く、自分の思い通りにならないと癇癪を起こす人で友達もおらず、昔からやたらと動物を飼いたがり、過去には犬やハムスターも飼っていましたが、その子らもやはり管理が雑ですぐ死んでしまいました。
人間と違って「餌をやれば自分になついてくれる」動物に執着している節があり、無計画に猫を増やそうとしているんだと思います。正直、迷惑でしかないです。
【ゴミ屋敷住人系ネグレクト】衛生状態がひどい汚部屋に住む飼い主
20代女性 私の母が、1R(7帖)ほどの部屋で、彼氏と猫2匹を飼育して暮らしているのですが、たまに家に行く機会があって入ると、ひどい悪臭とちらばった猫の糞、猫のおしっこのツーンとした鼻をつく匂い、服や生ごみが部屋中に散乱しており足の踏み場すらない汚部屋です。
10年ほど前から母には精神疾患があると診断を下されていて、生活保護を受けていますが、部屋の片づけや飼育について私が口出しをしても全く聞きません。それなのに「もう一匹迎えるつもり!」とこの前に笑顔で言われ、さすがに「やめて!」と強く止めました。
7帖一間に男女二人と猫3匹なんて、しかも人が住んでいるの?と疑うよう屋汚部屋で、ネコを私が引き取ると言っても聞く耳を持たず、猫がかわいそうで仕方ありません。もっと広くて清潔な部屋でしっかり遊んであげたり、しっかりご飯を食べさせてあげたいです。
30代女性 ご近所に息子(20代)と母親(50代)2人暮らしのお宅があり、もともと猫を2匹飼っていました。その後息子さんを交通事故で亡くしてから数年に渡ってそのお宅の猫が徐々に増えていき、私の家の庭で糞尿をしたり 猫が喧嘩する声で眠れなかったりとトラブルが頻発するようになりました。
思い余って私の母親が注意をするためにその方のお宅に行ったところ、玄関に入る前からすごい異臭がしていて、チャイムを鳴らして玄関が開くやいなや数匹の猫が一斉に外へ逃げ出したそうです。部屋の中に目を向けるとごみがうず高く積み上げられて散乱するゴミ屋敷そのもので、とても人が住むような状況ではなかったとのことでした。
聞けば息子さんが亡くなり 最初のうちは寂しさのあまり野良猫を捕まえては飼ってを繰り返し、どんどん頭数が増えていったのことでした。何匹いるのかも本人にも正確にはわからないらしく、パッと見ただけでも15匹以上は確実にいたように思います。
猫たちはやせ細っていて汚いケージに入れられていたりと悲惨な飼育状況だったので、私の母から当時の町内会長に相談して、ネコを保護する施設を紹介してもらい、なんとか事を収めました。
【飼い殺し系ネグレクト】餌はやるが世話をろくにしない飼い主
20代女性 私の親戚は、もともと大型犬を一匹飼っていました。その大型犬を飼っているうちは、犬1匹しか飼ってなかったので、トリミングや健康診断などの動物病院への検診や、定期的な予防接種などにもしっかりと連れて行っていました。
ですが、その大型犬が亡くなってから猫を複数飼うようになり、1番多い時で保護した野良猫を8匹飼っていました。
この時点でも動物ためこみ症だ…と思いましたが、避妊・去勢手術をされていない8匹からどんどん子猫が増えていきました(今は何匹いるのかわかりません)
さすがに病院に連れて行くお金がなくなってしまったようで、ネコたちは餌をもらっているだけで、必要な予防接種をしていません。それなのに庭に出したりしていたので、感染症になって亡くなってしまった猫もいました。
30代女性 近所の平屋建て一軒家のお家に住むおじいさんが以前から猫を飼っていています。奥さんが亡くなって一人暮らしになったのですが、猫の繁殖がすごくて 今では何匹いるの?という状態です。20匹くらいは家に出入りしています。
外猫のため正確な数の把握は難しく、おじいさんも自分の猫なのかどうかすら判断がつかないこともあるようです。エサをあげているところは見たことがありますが、全頭分がまかなえているとは思えないくらいの量しかありませんでした。
実際猫たちはやせ細っていて、去勢・避妊手術をしているわけではないので、何らかの手を打たなければこれからどんどん子猫が増えて行くばかり。どうなっていくのかな…と心配しています。
40代男性 近所に犬を沢山飼っている家があります。通勤の時に自転車でその家の前を通りるとひどい悪臭がして気になります。思わず息を止めたくなる程の犬の臭いが常に漂っています。
飼育スペースはコンクリートの床で屋根はビニール製の波板、壁はブロック塀やフェンスです。広さは3m四方くらいで そこに小型犬が10匹以上押し込められて飼われています。
トイレもそこでそのまましているようで、たまにご主人が犬を外に出してホースで犬舎を水洗いして掃除しているのを見かけます。犬たちは全員毛並みが汚くて臭いので、健康そうには見えません。
50代女性 ご近所に60代のご夫婦と30代の息子さんが住む家があり、猫を約30匹前後、多頭飼育されています。前後というのはその時々によって死亡したり 出産して増えたり いなくなったりと 絶えず猫の数が増減しているからです。
大きな旧家なので敷地は広く、気に入った猫だけ家の中で飼っています。敷地内には倉があり ほとんどの猫は夜にそこで寝ていますが、昼間そこに入るとたいへんな悪臭がします。
先日もそこの猫が家の前で交通事故にあい、足を1本失くしました。また、その家のご主人は 猫の毛が喉に詰まって救急車で搬送されたこともありますから、かなり手入れも行き届いていないのでしょう。
虚勢・不妊手術もされておらず、増やし放題で飼っています。地域のお寺や公園には「猫の被害を撲滅しよう!」という看板がたてられていますが、全くお構いなしの放し飼いです。
20代女性 義母が猫を現在分かっているだけで11匹買っていて、定期的にトイレの処理はしているようですが、家中に糞尿がある状態で 私は足を踏み入れることすらできませんでした。扉を開けただけで刺激臭がして、沢山の毛玉が転がっているのが見えました。オンラインでご挨拶した時に見えたのですが、餌の器は出しっぱなし、缶詰めの空になったものなども床に放置されている状態でした。
夫に聞くと、動物病院にかかる飼育に関する費用を自分で出すことができず、子供達のうち余裕がある人が出している状況だそうです。もう増やしてはいけないと避妊手術をさせているようですが、野良やよその子猫をもらってくるなどするので増えてしまうそうです。一人暮らしで出かけることも多い人なので 猫達がまともに世話されているとは思えません。
【自己犠牲系多頭飼育】多頭飼育により自分の生活状況が困難な飼い主
40代女性 衛生状態、栄養状態、健康状態に問題があるかないか正確な判別がつかないのですが、私の実家ではケージに猫を入れて10匹以上飼っているので、狭くないのか気になっています。
野良猫を保護したもので、ひとつのケージに猫は一匹ずつ入れられており、自由に外に出られる時間はあまりない印象です。糞尿の処理や餌は適宜行われるので虐待的要素はなく、純粋に野良猫や産んで捨てられていた子猫、道路で事故にあった猫等を病院で治療してからの保護です。ケージはひとつの家屋の中に頭数分あります。
以前は犬を30頭ほど飼っていて、家族が毎日掃除や餌やりのために朝・晩に4時間を費やしていたので、世話をする許容量を超えていたと感じていたこともありました。動物が多数いるので自由に出かける事もできませんでした。
本当にかわいそうに思った犬猫を保護して大切にしていると思うので「適切に飼われていない」とは言えないのと、これを「動物ためこみ症」と呼べるかはわかりせん。しかしながら、家族が日常生活に影響が出る数を無理して飼っているのはどうかと長年感じています。
ためこみ症の治し方・治療法は?
ためこみ症状は11~15歳頃に現れ、20代中頃までに日常生活を妨げるようになり、30代中頃までには仕事や私生活などで著しい苦痛が生じます。このように人生の10年ごとに増大し、しばしば慢性化します。
ためこみ症の治療は非常に難しいとされています。強迫症と似た症状がありますが、強迫症に有効な治療がためこみ症にはほとんど効きません。ためこみ症の患者さんのうち、薬物療法と認知行動療法に反応したのは18%に過ぎないと報告されています。患者さん自身の治療意欲が低いことが関係しているようです。
有効性がある治療としては、意思決定と分類のトレーニングが挙げられます。これは認知行動的な療法で、物を捨てるという刺激を繰り返して慣れていき、「捨てても大丈夫」という認識を身につける方法です。
引用元:ハートクリニック
ためこみ症の治療はカウンセリングだけでは難しいです。心療内科か精神科への相談をおすすめします。
