【ペット火葬車を使った愛犬の火葬】家族の死に涙が止まらない体験談
私は千葉県に住む60代の男性です。
ここに登場する愛犬は「ラブ」という名のキャバリアです。14歳で亡くなりました。
ブレンハイムの綺麗な毛並みでとても性格の良いわんこで、どこに出かけるにもいつも一緒で 家族の一員として大切に育てていました。
妻もラブが大好きで、私がいないときはいつも一所懸命面倒を見ていました。
ラブという名前をつけたのは一人娘で、現在は結婚して埼玉県に住んでいます。
愛犬のラブが亡くなったことを妻が娘に電話で連絡しました。娘は

後悔しないために、無理してでも 最後にラブに会いに行くよ。
…と言い、我が家に向けて出発しました。
そういえばラブを選んだのは娘だったな…と私は遠い昔を回想しながら、娘の到着を待っていました。
ペット火葬を市役所に依頼したが自治体を待っていたら6日待ち
埼玉からやってくる娘のために、火葬の時間を午後にしたいと市役所に電話してみたところ、

火葬する装置が一台しかないので、今は順番待ちですぐに対応できないのですが。
とのこと。それではいつになるのですか?と尋ねると、

今とても混んでいるので、早くても6日後になりますね。
6日後!それではラブがあまりにも可哀そうだと、私はペット火葬の会社を当たってみることにしました。
火葬装置を備えたペット火葬車で自宅までやって来て焼いてくれるペット葬儀社が見つかり、午後一時には来られるとのこと。
1時なら娘も間に合う!私はひと安心して そのペット葬儀屋に火葬を依頼し、娘が到着するまでラブの遺体と一緒に最期の時を過ごすことにしました。
11時半に娘を駅まで迎えに行って帰宅。娘は連れてきた小さな孫をおろして 久しぶりにラブと対面しました。
ラブの変わり果てた姿にすすり泣く声が聞こえ、私はまた胸が締め付けられました。
ペットもかけがえのない大切な家族。愛犬の死に涙が止まらない。
どんなに泣いても消えることのない悲しみとはこういうものだなと、天を仰ぎながら思わずもらい泣きしてしまいました。
ペット火葬車の訪問【ペットの火葬方法】
そして午後1時の少し前に 火葬をしてくれるペット葬儀社のワゴンがやってきました。
何の変哲もない普通の白のワゴンですが、バックドアを開けると、中に小さな窯のようなものが見えました。
ペット葬儀屋の若い男性は、うやうやしく頭を深々と下げました。

これから準備をいたしますので、少しお待ちいただけますか?
ペット火葬前にお花とシキミを手向けて【ペット葬儀の流れ】
しばらくして彼が「準備が整いました」と呼びに来たので、私は冷たくて重くなったラブをしっかりと抱きしめてワゴンへと向かいました。
行ってみるとすでに炉が開けられており、焼くための受け皿のようなものが車の外まで引き出されています。私はその上に静かにラブの体を横たえました。
ラブの顔は生前と同じようにかわいらしく、すやすや眠っているように見えます。
その体にカーネーションや西洋菊などの花を手向け、シキミの葉を散らしてみると、一瞬華やかな時間と空間が訪れたような錯覚を覚えました。

最後のお別れです。よろしいでしょうか?
娘は孫を抱いたまま、ブレンハイムのラブの茶色の背中に優しく触れました。

お別れだね。14年間癒し続けてくれた。いつも励ましてくれて本当にありがとう。あなたと一緒にいられただけで毎日が幸せだった。楽しかったよ。ありがとう、ラブ。
そのあとはもう声にならず、嗚咽の声。
次に妻がラブの腹や頭や背中を何度も何度も触って、子どものように泣いていました。

痛かったんだね。苦しかったんだね。早く気づかなくてごめんね。ゆっくりお休み。そして、私の側に直ぐに戻っておいでね。待っているよ。いつまでも。
私が最後にラブに触れる番がきました。
私は悔いは深かったのですが、ラブの遺体を前にすると もはや感謝の感情しか湧いてきませんでした。
かすれきった声でラブの耳に聞こえるように言いました。

ラブ、君は私の大事な分身だった。別れはつらいけど、すぐ戻っておいで。待っているからね。大好きだよ。いつも助けてくれてありがとう。今は焼かれるけど、君はずっと僕の側にいてくれるね。約束だよ。
私は男性に「どうぞよろしくお願いします」と告げました。
そしてラブが炉の中にゆっくりと入っていく最後の姿を見ていました。
炉の扉が閉まる時、不気味な思いが体を走りました。その音は愛する母が焼かれる時に締まった扉の音に似ている気がしたからかもしれません。
ワゴンのバッグドアを閉めると、男性は再び頭を丁寧に下げて

これより火葬に致します。
そう言って車をUターンさせると、ゆっくりと家の前を通り過ぎて行きました。
私は一陣の熱い風が目の前を通り過ぎていくような感覚に襲われた気がしました。
妻は去りゆくワゴンを見つめ、ポロポロ大粒の涙を流しています。

ラブ、本当にお別れだね。
その言葉は、見送りの皆が思う気持ちそのものでした。
ペット火葬は辛いが悲しみは別の次元に入る
ペット火葬の時間はおよそ一時間だったと思います。
家のチャイムが鳴り、ドアを開けると先ほどのワゴンと男性の顔が見えました。
家の前でバッグドアを開けると、炉から熱気が放射されてきて、少し前にバーナーの火を止めたばかりであることがわかります。

ラブの体はこの激しい熱で焼かれたのだな。ラブは本当にもう戻って来ないのだ。
先ほどのスタンドのようなものを出して、炉の扉が開けられると、骨になったラブが横たわっていました。
頭の部分から尻尾まで、生前の体格を彷彿とさせる骨の形が、熱い鉄板の上にありました。
愛しいラブの頭の骨格はしっかりしていて、頑丈そうできれいに整った骨でした。
お骨になってしまうと、今までの悲しみは別の次元に入るような気がします。
肉体がない分、何故かあっけらかんとしているような感覚で、まるでもうラブは風になったかのような気がするのです。
炉の吐き出す煙と一緒に ラブは空高く登って行ったのでしょうか。
ペット火葬から骨上げしてお骨は?現在は手元供養だが【ペット火葬のその後】
まだ炉が熱いので、一人ずつ何度か交代しながらお骨を拾い出しました。
トングを使って拾うのですが、しっかりした骨なので崩れることはなく、生前のラブの体がいかにがっしりしていたかを物語っているようでした。
最後に私はラブの頭の部分を骨壺の中に入れると、底に残っていた残りの骨を男性は塵取りのようなものですくい上げて、骨壺の中に入れました。
その瞬間、骨壺の中で骨がお互いにこすれ合ってシャリシャリというような音を立て、まるでラブが「ありがとう。さようなら」と言っているかのように思えました。
その後、その若いスタッフに冷たい麦茶を一杯ごちそうしてペット火葬の費用3万円を支払い、ラブの火葬が終了しました。
私たちは一所懸命に作業してくれた男性に皆で感謝しながら彼を見送りました。
現在、ラブのお骨は手元供養しています。
ペットのメモリアル用品、散骨や納骨堂を使うなど 供養方法にもいろいろな選択肢があることが分かったので、今後はどのようにしていくかを検討しているところです。