65歳未満の特定疾病の介護保険受益者がスポーツサークル参加した話
これは2019年2月~8月に65歳未満の特定疾病の人が介護サービスを受けて社会参加できるようになった話です。
登場する人物
Aさん:50代女性、骨粗鬆症患者
Bさん:60代男性、Aさんの夫
Cさん:50代女性、介護支援専門員
Dさん:40代男性、障害者者福祉センター職員で障害者スポーツ指導員
私:30代男性、相談窓口担当(社会福祉士)
50代女性が骨粗鬆症と脊柱管狭窄症から歩行困難に
Aさん(50代女性)は元々はテニスやマラソンなどスポーツを愛好する活発な人でしたが、50代半ばにスポーツ中に骨折したことがきっかけで骨粗鬆症と診断されました。リハビリを受けるも、その後も骨折を繰り返してしまっており、腰痛で検査を受けると脊柱管狭窄症であることがわかりました。
やがて歩行するのに杖が必要になり、痛みなど症状が辛いときは歩行器や車いすを使わかなければならないなど、日常生活を送るのも大変になってきました。
夫のBさん(60代)はひと通りの家事はできるものの、定年退職後にも同じ会社で再雇用されてまだ働いており、日中に一人になるAさんのことを案じていました。
しかしAさんがまだ50代であることからどうすればいいかわからず Aさんと一緒に相談窓口にやってきました。Aさんは

身体を動かすのが好きだったのに 動きにくくなってきていることが辛いつらい。誰かと一緒に何かに取り組みたいし、リハビリになることをしたい。できる範囲の家事は自分でもやりたいが、物事によっては手伝ってほしいこともある。
…などの希望を持っていましたた。
そこで介護支援専門員のCさん(50代女性)にも話に加わってもらい、Aさんの希望からどのようなサービスを利用するのがよいかを考えることになりました。
骨折を伴う骨粗鬆症と脊柱管狭窄症は介護保険の特定疾病に該当する
まずCさんと私から、骨折を伴う骨粗鬆症と脊柱管狭窄症は介護保険第2号被保険者として介護保険サービス受ける際の特定疾病にあたることを情報提供しました。
Aさん・Bさんともに65歳未満でも介護保険サービスを受けられる可能性があることを知らなかったので驚きつつも「是非利用したい」という意向を示しました。
そのうえでCさんはAさんの住まいを管轄する地域包括支援センターに連絡・調整して、Aさんは介護認定調査を受けることとなりました。その結果「要介護1」と認定され、機能訓練型デイサービスとホームヘルプサービスを利用することになりました。
障害者手帳がなくても参加できるサークルがある
これで「リハビリになることをしたい」「家事を手伝ってほしい」というAさんの希望をカバーすることはできましたが、「身体を動かしたい」「誰かと一緒に何かに取り組みたい」ということは介護保険サービスだけではカバーしきれませんでした。
そこで私の知人で障がい者福祉センターの職員で障がい者スポーツ指導員でもあるDさん(40代男性)に、

特定疾病で介護保険サービスを受けている人でも参加できるサークルのようなものはないですか?
…と聞いてみたところ、

障害者手帳を持っていない人でもメンバー募集している障害者スポーツのサークルがたくさんあるよ。
…ということで、そういったサークルを紹介してもらえることになりました。そして数あるサークルの中で、Aさんは車いすの卓球とスポーツ吹き矢のサークルに入って、久しぶりにスポーツに取り組むことができました。
元々気さくで活発な性格も手伝って、Aさんはサークルにはすぐに溶け込んで メンバーと仲良くしている様子がみられました。介護保険サービスのような制度内のサービスだけでなく、サークルのような制度外の取り組みも活かした結果として、Aさんは元気を取り戻して暮らしています。
65歳未満も介護保険対象となる「特定疾病」(とくていしっぺい)とは?
【関連記事】特定疾病とは、心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられる疾病であって次のいずれの要件をも満たすものについて総合的に勘案し、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因し要介護状態の原因である心身の障害を生じさせると認められる疾病である。
1) 65歳以上の高齢者に多く発生しているが、40歳以上65歳未満の年齢層においても発生が認められる等、罹患率や有病率(類似の指標を含む。)等について加齢との関係が認められる疾病であって、その医学的概念を明確に定義できるもの。
2) 3~6ヶ月以上継続して要介護状態又は要支援状態となる割合が高いと考えられる疾病。■がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)※ ■関節リウマチ※ ■筋萎縮性側索硬化症 ■後縦靱帯骨化症 ■骨折を伴う骨粗鬆症 ■初老期における認知症 ■進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病※
【パーキンソン病関連疾患】■脊髄小脳変性症 ■脊柱管狭窄症 ■早老症 ■多系統萎縮症※ ■糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症 ■脳血管疾患 ■閉塞性動脈硬化症 ■慢性閉塞性肺疾患 ■両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
(※印は平成18年4月に追加、見直しがなされたもの)
引用元:厚労省
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